市民を守る警察官
A子 「ねぇねぇ。警察官になりたい」
B男 「市民を守る大変な仕事だな」
A子 「市民との心温まる交流をしてみたいからさ、ちょっと犯罪者やって」
B男 「市民と心温まる交流しろよ!」
A子 「するよ! ここじゃないとこで」
B男 「いや、ここでやれって!」
A子 「犯罪者を捕まえて、やっぱ警察官はカッコいいなぁって」
B男 「その心温まるシーンに俺も混ぜてくれるかな!?」
A子 「じゃあ、市民との交流をやってみるか」
B男 「おう。俺は善良な市民な」
A子 「じゃあ私は、警察官を装った詐欺師ね」
B男 「心温まらないよね!?」
A子 「え、詐欺にあったの? もう、おっちょこちょいさん」
B男 「そんな軽いノリでは済まされないんだ!」
A子 「警察の名を語る詐欺氏は多いみたいだね」
B男 「信用しちゃうからな、警察って言われると」
A子 「この前宇宙人見たんだ、警察」
B男 「警察って言えばなんでも信じるわけじゃないからな!?」
A子 「語尾が警察の人はなんでも信じてもらえるね」
B男 「もらえないし、いねぇよそんな人!」
A子 「じゃあ、語尾が警察の詐欺師やるね」
B男 「やんなくていいよ! 誰も信じねぇよ、そんな胡散臭いヤツ!」
A子 「非協力的だな!?」
B男 「普通の警察官と市民でいいだろう!?」
A子 「心温まっちゃうじゃない!」
B男 「心温まっちゃえばいいだろ!?」
A子 「じゃあ、普通の市民と警察官が何気ない感じで触れ合うところをやろう」
B男 「市民との交流も大切なことだからな」
A子 「ちょっと君、その自転車君の?」
B男 「自転車乗ってるとよく止められるけど!」
A子 「ちょっと疑ってかかっていいかな?」
B男 「いいことあるか! 疑ってかかるなよ!」
A子 「それは本当に自転車かい?」
B男 「どこを疑ってかかってんだ!? どう見ても自転車だろう!?」
A子 「いやぁ、お巡りさんにはバッタにしか見えないなぁ」
B男 「どんな自転車だ!? ピョンピョン跳んでるのか!?」
A子 「何言ってるかよく分かんないから、とりあえず逮捕していい?」
B男 「とりあえずで逮捕すんな!」
A子 「ちょっと自転車の登録番号調べさせてもらえますか?」
B男 「まぁ、いいですけど。俺ホントによく止められるんですよね」
A子 「胡散臭い顔してるからねぇ」
B男 「失礼極まりないな!? 面と向かって言うか、そういうこと!?」
A子 「大丈夫です。陰ではもっと酷いこと言ってますから」
B男 「何ひとつ大丈夫じゃねぇわ!」
A子 「あれ、おかしいな」
B男 「どうしました?」
A子 「この番号、二時間前に調べたばっかりです」
B男 「だからホントによく止められるんだよね! 一日三回とか止められたことあるから! ねぇあれはなんでなの!?」
A子 「まぁ、平たく言えば、自転車泥棒顔なんでしょうね」
B男 「どんな顔だよ!?」
A子 「ご協力ありがとうございます」
B男 「あ、もうオッケーなんですか?」
A子 「え、なんで日常会話に英語挟んできたの? 藪からスティックとか言っちゃう感じ?」
B男 「いや、オッケーくらいは普通に使うだろう!?」
A子 「なんか胡散臭いな。ちょっと自転車の番号調べさせてもらえますか?」
B男 「今調べたところだよね!?」
A子 「だってあなたが、嘘つきは泥棒のオープニングセレモニーとか言うから」
B男 「言ってねぇ! あとセレモニーはない! 泥棒の始まりにセレモニーとかないから!」
A子 「うん、心温まる交流だね」
B男 「こっちはどんどん荒んでいくけどな!」
A子 「警察官を煙たがるのは心にやましいことがあるからだよ!」
B男 「お前が人のことを疑ってかかるからだ! もっと普通に、心温まる交流しろよな!」
A子 「するよ! あなたを逮捕した後、ここじゃないとこで」
B男 「だからここでしろってのに! もういいよ」




