クレーム処理担当
A子 「ねぇねぇ。クレーム処理って大変だよね。で、お馴染のカスタマーセンター、担当の佐々木です」
B男 「コントに入るの早っ!?」
A子 「もしもし? 佐々木ですよ? あの、佐々木ですよ?」
B男 「どの佐々木か知らないけども!?」
A子 「なにか御用でしょうか?」
B男 「え~と、じゃあ、お前んとこの商品どうなってんだよ!?」
A子 「どうにかなっちゃてるんでしょうね。お電話ありがとうございました」
B男 「切るな切るな! まだ切るなよ!」
A子 「あぁ、そうでした。佐々木が担当いたしました」
B男 「いや、最後に名乗るとか、どうでもいいから! まだ何も解決してないからね!?」
A子 「何も解決しない、佐々木が担当いたしました」
B男 「解決しろよ! 何を枕詞みたいに使ってんだ!?」
A子 「どうかされましたか?」
B男 「したよ! お前んとこで洗濯機買ったんだけどなぁ!」
A子 「洗濯機と同化されたんですか?」
B男 「同化はしてねぇよ!?」
A子 「じゃあ今、お客様の半分は洗濯機で出来ているわけですね?」
B男 「わけないよね!? 分かるよね!?」
A子 「いいえ、分かりかねます」
B男 「分かれよ! 昨日買った洗濯機が大変なことになってるんだよ!」
A子 「でしたら、洗濯機に優しい言葉をかけてそばにいてあげてください。そうすれば、洗濯機も自分の力で乗り越えられると思います」
B男 「じゃあなに? 俺が洗濯機に『頑張れ』とか『大丈夫!』とか声かけんのか!? 俺が大丈夫じゃねぇよ、その状況!?」
A子 「大丈夫ですよ。お客様が大丈夫じゃないことは、私がよく理解しております」
B男 「理解者とかいらないから! いいから洗濯機の話を聞けよ!」
A子 「『洗濯機と、薄紫のおばさん』」
B男 「そういうお話じゃなくて! あと薄紫のおばさんってなんだ!?」
A子 「肌の色が薄紫なんです」
B男 「髪の毛じゃなくて!?」
A子 「始まり始まり~」
B男 「始まるな! 聞きたくもないから、その話!」
A子 「ある日、渋谷のクラブでDJが言いました。『もっと大きいハコで皿回してぇなぁ』」
B男 「多分だけど、その話、洗濯機も薄紫おばさんも出てこないよね!?」
A子 「中盤でちょっとだけ見切れるよ」
B男 「メインに据えろよ、洗濯機と薄紫おばさん!」
A子 「そんな話が聞きたいですか?」
B男 「聞きたくないねぇ!」
A子 「じゃあいいじゃないですか、DJの話で」
B男 「DJの話も聞きたくないんだよ!」
A子 「一体なんの話が聞きたいのか、吉田はちんぷんかんぷんです」
B男 「佐々木は!? お前佐々木だよね!?」
A子 「え? ……佐々木なんて人、ウチにはいませんけど?」
B男 「怖い!? 俺最初誰と話してたの!?」
A子 「あ……そう言えば昔、佐々木さんっていう女性社員がいて……でも彼女、8年前に……」
B男 「ストップ! それ以上は聞きたくない!」
A子 「じゃあなんの話が聞きたいんですか?」
B男 「聞きたいんじゃなくて、俺の話を聞いてほしいの!」
A子 「では、お手元のサイコロを振ってください」
B男 「サイコロトークとかしないよ!?」
A子 「テーマもなく話をして、ちゃんと笑いを取れますか? それだけの腕を持っていますか?」
B男 「持ってねぇし、笑いは取らない! クレーム入れたいの!」
A子 「うわっ、メンドっ! 本日は、佐々木が担当いたしました」
B男 「おい、切るな佐々木! って、やっぱり佐々木いるじゃん!?」
A子 「はい。おりますが?」
B男 「さっき吉田が、佐々木はいないっつってたぞ!?」
A子 「吉田? ……ウチに吉田という人間はおりませんが!?」
B男 「今度は吉田がいないのかよ!? もう、どうなってんだよ、お前んとこの会社!?」
A子 「どうにかなっちゃてるんでしょうね。お電話ありがとうございました」
B男 「だから切るなっつうのに! もういいよ」