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笑いは世界を救う  作者: たくえりすきぃむ


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校内放送

A子 「ねぇねぇ。放送室って入ったことある?」

B男 「あるよ。俺、小中と放送委員だったから」

A子 「じゃあアレやった? 給食の時間に『今日の献立』とか『筋肉を作る食べ物』とか」

B男 「なんか、栄養素別に『赤』とか『緑』とかに分類したヤツな。今もあんのかね?」

A子 「そしてなぜか給食の時間にクラシック」

B男 「流れてた流れてた」

A子 「あとウグイス嬢ね。『4番、センター、根岸君』」

B男 「それはないだろう!?」

A子 「そうよね。根岸君はせいぜい8番よね」

B男 「打順じゃねぇよ! で、なんで根岸をちょっと持ち上げてんだよ!?」

A子 「田舎からご両親が出てくるからいい格好したいって」

B男 「マンガによくありがちな設定だな! 」

A子 「でも、ご両親は全てお見通しなのよね。だったら最初に言えよ! 気遣わすだけ遣わせといて!」

B男 「いいんだよ、そんな事は! 給食の時間にウグイス嬢はなかったろ!? メシ食ってるときに4番バッター出てこられても困るしさ!」

A子 「5番、ショート……」

B男 「打順の問題じゃねぇってのに! 給食の時間は音楽と給食の情報くらいでいいんだよ!」

A子 「ウチの学校、生徒からリクエスト募集して有線流してたよ」

B男 「あぁ、ちょっとしたラジオみたいなヤツな。あったあった」

A子 「『はい、というわけで、住職によります般若信教聞いていただきました』」

B男 「なに流してんだよ、給食の時間に!?」

A子 「『ただいま放送部では、皆さんからのリクエストを募集しています。応募していただいた方の中から抽選で6千名の方にグアム旅行をプレゼント』」

B男 「学校潰れるわ! 全校生徒を軽く超えてるだろう!?」

A子 「いや、ウチの小学校各学年2千人ずついたから」

B男 「分けろよ! いくつか学校作ってさ!」

A子 「でも、教師が3人しかいないから」

B男 「少ねっ!? 絶対ちゃんと見られてないだろう! ほとんどのクラスが自習じゃねぇか!」

A子 「いやいや、全学年合同だったから」

B男 「どんなデカイ教室だ!? 横浜アリーナか!?」

A子 「結局、先生の顔ハッキリと見られなかったなぁ」

B男 「いい席取れなかったんだね!」

A子 「給食の時間、放送室に行けるのが楽しかったな」

B男 「たしかに、みんなと違うことしてるっていうのが妙に嬉しかったりね。貴重な経験してる気がして」

A子 「みんなは横浜アリーナで食べてるのに、一人だけ放送室」

B男 「どっちかっていうと横浜アリーナで給食食べる方が貴重だけどね!」

A子 「そんな中、給食時間の放送するのが楽しくてね」

B男 「リスナー数1万2千もいりゃ、スポンサーも簡単についてくれそうだな!」

A子 「『では、ここでお便りを紹介します。「こんにちは。毎日楽しく聞いています」 こっちはちっとも楽しんじゃいないけどね』」

B男 「いいんだよ、そこで本音を言わなくて!」

A子 「『質問があります。どうして給食は残しちゃいけないんですか?』」

B男 「あぁ、小学生っぽい質問だねぇ」

A子 「『と、校長先生からいただきました』」

B男 「いいから黙って残さず食えよ、校長!」

A子 「『ちゃんと食べないと大きくなれないからだよ』」

B男 「もう成長しきってるだろう、校長は!」

A子 「『お便りをくれた校長先生には二宮金次郎像を4つプレゼントします』」

B男 「そんないらねぇだろ!?」

A子 「『続きまして、1年生の男の子からいただいたお便りです』」

B男 「お、1年生が書いてくれたんだ」

A子 「『小学校に入学して早40年。早く2年生になりたいです』」

B男 「何やってたんだ40年間!? さっさと進級してさっさと出て行け!」

A子 「『この方には、根岸君の通知表をプレゼントします』」

B男 「ヤメてやれ! 根岸が何をした!? 他人の通知表もらった方も対処に困るし!」

A子 「『では、お便りをくれた1年生の男の子からのリクエストです』」

B男 「もう男の『子』ではないけどね!」

A子 「『住職で、般若信教』」

B男 「お経大好きか!?」

A子 「『さて、来週はいよいよ住職生出演!』」

B男 「ゲストに来るほど大人気なんだ!?」

A子 「『住職の根岸さんに対する質問もお待ちしております』」

B男 「根岸、住職の息子だったんだ!?」

A子 「だから、ご両親がお見えになるから、8番バッターの根岸君を4番だっていう事にしてあげるのよ」

B男 「それでかい!? もういいよ」


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