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笑いは世界を救う  作者: たくえりすきぃむ


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お爺様お婆様

A子 「ねぇねぇ。お爺様~?」

B男 「誰がお爺様か!?」

A子 「今日は敬老の日だよ」

B男 「そうだな」

A子 「おめでとうございます」

B男 「だから俺、お爺さんじゃないから! まだ早い!」

A子 「だって、毎日山へ芝刈りに行ってるじゃない!」

B男 「行ってねぇわ! っていうか、最近の爺さんも行ってないからね、芝刈り!」

A子 「お婆さんは川に大きな桃を流しているのに?」

B男 「いつの間に流す係になった、お婆さん!? 拾う方だろ!?」

A子 「いやぁ、最近人手不足で」

B男 「無理してやるようなことでもないと思うけどな!」

A子 「いくつからお爺さんなんだろうね?」

B男 「いくつというか、敬老の日を祝ってもらえるのは、孫のいる人なんじゃないのか?」

A子 「え? 私は道行くお年寄りを片っ端から祝って回ってるけど?」

B男 「どこのボランティアだ!?」

A子 「日課」

B男 「今日だけだよ、敬老の日は!」

A子 「この日のために、お爺さんを見極める練習を欠かさずやってるの!」

B男 「見極めるってなんだよ!?」

A子 「あの人は60歳だから祝う。あの人は50歳だから今回はパス!」

B男 「見た目で年齢を当てる練習か?」

A子 「あの人は32歳だけど、趣味がお爺ちゃんくさいから祝う!」

B男 「趣味は関係ないだろう!?」

A子 「趣味、盆栽、ゲートボール」

B男 「確かに爺さんがやってそうだけども!」

A子 「あと、ヒップホップ」

B男 「そのイメージはない!」

A子 「で、いつも悩むんだけど、いくつからお年寄り扱いなんだろう?」

B男 「孫の有無で見分けないとなると、定年になったらかな?」

A子 「90歳?」

B男 「どこの会社それ!? 働かせ過ぎじゃない!?」

A子 「いくつになったら、自分で『あ、もうお爺さんだな』って思う?」

B男 「どうかな? 子供のころは40、50でもう爺さんだと思ってたけど、実際その年齢になるとまだまだだと思うんだろうな」

A子 「じゃあ思い切って、24からにしよう」

B男 「思い切ったな!?」

A子 「おい、年寄り」

B男 「お前もな!」

A子 「お年寄りに席を譲ると、たまに怒られるよね」

B男 「本人は年寄りだと思ってないんだろうな」

A子 「親切心なのにね」

B男 「年寄り扱いされるのが嫌なんだよ」

A子 「『やい、ジジイ。座りやがれ』」

B男 「言い方に問題があったね!」

A子 「『やい、ジジイ。お座り!』」

B男 「もっと酷くなったよ!」

A子 「国が決めてくれればいいのに。『お酒は二十歳から』みたいに」

B男 「『お年寄りはいくつから』って」

A子 「『シルバーシートは60歳から!』」

B男 「そうなると、分かりやすくはなるかもしれないけどな」

A子 「56歳くらいでシルバーシートに座ってると、『おませさん』とか言われて」

B男 「おませさんなの!?」

A子 「満59歳までは、敬老の日を祝う側」

B男 「いや、それは個人個人で祝ったり祝われたりすればいいんじゃないか?」

A子 「きっちり線引きしといてもらわないと、道行くお年寄りを祝えないでしょう!?」

B男 「だから、祝う必要ないんだって、それは!」

A子 「私は、日本を支えてきたお年寄りに敬意を表したいの!」

B男 「まぁ、その心がけはいいことだけどな」

A子 「『おい、ジジイ。おめでとう』」

B男 「言い方! 祝う気ゼロか!?」

A子 「あ、あなたも、おめでとうね」

B男 「だから俺はまだ爺さんじゃないってのに! もういいよ」


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