ラブレターの書き方
A子 「ねぇねぇ。ラブレターって出したことある?」
B男 「いや、ないなぁ」
A子 「じゃあ、書き方教えてあげるよ」
B男 「いや、出す予定ないし」
A子 「覚えといた方がいいって。試験にも出るし」
B男 「出ないよね!? 何の教科だ!?」
A子 「公民」
B男 「絶対ない!」
A子 「国語かな。ほら、百人一首も、いわばラブレターみたいなもんじゃない」
B男 「まぁ、確かにね。でも、百人一首は文学みたいなもんだけどさ、一般人のラブレターはテストにはならないだろう、どうやったって」
A子 「次のラブレターを読んで、作者が言わんとすることを答えよ」
B男 「好き以外なくねぇ!? ラブレターなんだから!」
A子 「正解は仕事の愚痴」
B男 「ラブレターに何したためてんだよ!? 絶対フラれるぞ!」
A子 「次のラブレターを読んで、以下の問いに答えよ」
B男 「晒し者だな、コレ書いたヤツ」
A子 「問1。寒くね?」
B男 「ほっといたれ!」
A子 「言い回しとか、クサくね?」
B男 「いいだろ、ラブレターなんだからクサイこと書いても!」
A子 「問2。この作者はどんなフラれ方をしたでしょう?」
B男 「そんなもんまで問題にしてやんなよ!」
A子 「と、このような目に合わないためにも、キチンと書けるようになっておいた方がいいよ」
B男 「どうやりゃ、そんな目に合うんだよ!?」
A子 「国語の先生に届いたラブレターが、余りにも滑稽だったので、つい」
B男 「ついじゃねぇよ、ついじゃ!」
A子 「全国に公開されても恥ずかしくないラブレターを書こうね」
B男 「なんで全国に公開されること前提なんだよ!?」
A子 「独り占めはよくない」
B男 「もらった本人だけが読むもんなんだよ、普通!」
A子 「今は2015年だよ?」
B男 「何年経っても一緒だよ!」
A子 「まぁ、一人しか読まないにしても、ちゃんと書けた方がいいに違いない」
B男 「そりゃまぁね」
A子 「教えてあげるよ。私、ラブレター準2級持ってるから」
B男 「あるんだ、資格!? 微妙に低いけどね、準2級!どうせなら1級持っててほしかったよ!」
A子 「日本語がちゃんと書けてれば2級が取れるの」
B男 「お前、ちゃんと書けてなかったのかよ!? どんな低いレベルの試験だ!?」
A子 「年間200人が受験し、199人が1級に合格」
B男 「お前だけじゃん、落ちたの! むしろ、逆に貴重だよ!」
A子 「意味ないんじゃねぇかってことで、去年廃止」
B男 「懸命な判断だよ」
A子 「とっても貴重な準2級保持者!」
B男 「世界にたった一人だな!」
A子 「ナンバーワンよりオンリーワンです」
B男 「いいよもう! 分かったから、書き方とやら教えてみ」
A子 「何だその上から目線は!? 気に入った!」
B男 「気に入んのかい!? じゃあ、さっさと教えろ」
A子 「まず、あぶり出しはやめた方が無難」
B男 「当たり前だ! どこの世界にあぶり出しのラブレターがあるんだよ!?」
A子 「枚数は300枚以下が望ましい」
B男 「小説か!? 2~3枚で充分だろう!」
A子 「筆記用具は、鉛筆、ボールペン、またはイカの墨を使用」
B男 「イカの墨はなしだろ!? 準備はいいから、内容を教えろよ!」
A子 「まず、入りの文章はさりげなく」
B男 「天気の話とかな。」
A子 「1992年の10月4日は晴れてたね」
B男 「何があった日!?」
A子 「いや、特に何も」
B男 「覚えてねぇよ!」
A子 「で、あとは、好きなら好き、嫌いなら嫌いとストレートに書く」
B男 「嫌いなら出す必要ないだろ!?」
A子 「最後に、コレが一番重要なんだけど。誰に出すかを決めます!」
B男 「最初に決めとけよそれは! もういいよ」