スッチーからCAへ
A子 「ねぇねぇ。スチュワーデスになりたい」
B男 「今はスチュワーデスって言わなくなったんだぞ」
A子 「ステュワゥディス」
B男 「発音の問題じゃねぇよ! しかも絶対間違ってるし!」
A子 「あ、そうだそうだ。名前変わったんだ。たしか、アテンションプリーズ」
B男 「キャビンアテンダント!」
A子 「そうそう。キャビンアテンションプリーズ」
B男 「アテンションプリーズじゃねぇってば!」
A子 「ケビン、アテンションプリーズ!」
B男 「ケビンって誰だ!?」
A子 「人の話全く聞かないのよ!」
B男 「知らねぇし! 間違ってるし! キャビン『アテンダント』!」
A子 「アテント?」
B男 「大人用紙オムツじゃねぇか!」
A子 「ポリデント?」
B男 「入れ歯用洗剤! お年寄りグッズから離れろ!」
A子 「失礼な! アテントは20代でも使えるわよ!」
B男 「あぁそうかい! 大人用だもんね!」
A子 「私はいつか立派な大人用紙オムツになるんだ!」
B男 「キャビンアテンダントは!?」
A子 「あ、そうだそうだ。似てたから間違えた」
B男 「えらい違いだぞ!」
A子 「キャビンアテンダントになりたい!」
B男 「結構難しいんだよ」
A子 「大丈夫。キャビンアテンダント準2級持ってるから」
B男 「ねぇよそんなもん!」
A子 「趣味も特技もキャビンアテンダントだから!」
B男 「じゃあちょっとやってみろよ。俺乗客やるから」
A子 「だったら上カルビやってくれた方が……おなかもすいたし」
B男 「乗客の乗は『乗る』ね! 上カルビとは全く関係ないから!」
A子 「じゃあ、どうやっても寝顔がサイにしか見えない乗客やって」
B男 「普通の乗客やるわい!」
A子 「え~、では。皆様、右手に見えますのが浅草・浅草寺でございます」
B男 「高度が低い! もっと高く飛べよ! 危ねぇな!」
A子 「でも、観光名所は押さえておきたいもんでしょ?」
B男 「飛行機は観光名所押さえなくていいんだよ! 空からなんとなく見てろ!」
A子 「皆様、ず~っと下をご覧ください。あれが渋谷のハチ公でございます」
B男 「見えるか! 思ってたより小さくて初めてのときは徒歩でもちょっと見つけにくかったわ!」
A子 「皆様、窓をご覧ください」
B男 「今度はなんだよ!? 窓がどうかしたのか!?」
A子 「付け忘ました」
B男 「窓全開!? 止まれ止まれ! とにかく一回空港に戻りやがれ!」
A子 「大丈夫大丈夫。雲の上では雨降りませんから」
B男 「気圧とか酸素とか温度とか、問題山積みだろうが!」
A子 「大きく息を吸って~……ガマン!」
B男 「出来るか!」
A子 「仕方ない。こんな事もあろうかと用意しておいたスペアの窓を取り付けますか」
B男 「スペアを用意する暇があったら元の窓を付け忘れるな!」
A子 「スペアの窓、出窓なんですがかまいませんか?」
B男 「気持ち悪い飛行機だな!? 機体ボコボコじゃねぇか! まぁ、それでいいよ、仕方ねぇから!」
A子 「お客様の中でお医者様はいらっしゃいませんか!?」
B男 「ほら見ろ! 窓忘れたりするから体調崩した人出ちゃったじゃねぇかよ!」
A子 「お医者様ですか? お客様もお医者様? お客様も? お医者様、全部で90名」
B男 「多いな!? 殆ど医者じゃねぇか!」
A子 「内、年収1000万以上の方は?」
B男 「関係ねぇだろ!? なぜ聞く必要がある?」
A子 「いや、先輩が合コンをセッティングしろとうるさくて……」
B男 「後にしろ!」
A子 「この中で内科のお医者様は!? ……ゼロ」
B男 「こんだけいて一人もいねぇのかよ!?」
A子 「ちなみに、歯科医師だという方は? ……91名」
B男 「一人増えたよね!? 誰かウソついてんだろ!?」
A子 「あ、お医者様の皆様、もう結構ですのでご着席ください」
B男 「聞いただけかよ!?」
A子 「飛行機1機にどれくらいいるのかなって。好奇心です」
B男 「お前なんかキャビンアテンダント辞めちまえ!」
A子 「仕方ない。じゃあパイロットと交代してきますね!」
B男 「そう簡単に交代出来るか!」
A子 「大丈夫! 私パイロット準2級持ってるから!」
B男 「もういいよ!」