メールだよ!
A子 「ねぇねぇ。ポストペットって知ってる?」
B男 「あぁ。Eメール届けてくれたりするヤツだろ?」
A子 「それになりたい」
B男 「無茶言うな!」
A子 「頑張るからぁ!」
B男 「頑張るも何も、どうやってパソコンの中に入る気だよ!?」
A子 「資格を取って」
B男 「何の資格だ!?」
A子 「ポストペット検定1級。国家試験を受けるの」
B男 「聞いたことねぇよ!」
A子 「実技頑張るからぁ! 学科もうまいこと誤魔化すから!」
B男 「学科も頑張れよ!」
A子 「私、頭より先に体が動くタイプの人間だから」
B男 「それでも学科は必要なんだよ!」
A子 「答えを考えるより先に答えを見ちゃうのよね」
B男 「それカンニング!」
A子 「いや、頭よりも先に体がね」
B男 「言い訳になるか!」
A子 「まぁ、なんやかんやありつつ、資格取得し・ま・し・た!」
B男 「あぁ、なんかもう取得しました的な流れで話し進めるわけね」
A子 「というわけでポストペットになります!」
B男 「ポストペットっていうと、やっぱクマ?」
A子 「ううん。ヤンバルクイナ」
B男 「なんで!?」
A子 「希少価値」
B男 「分かりにくい! パッと見て『あ、ヤンバルクイナだ!』って言える人そんなにいない!」
A子 「じゃあ、ベルツノガエルでいいや」
B男 「南米に生息する大きなカエルね! だったらアマガエルにしてくる!? そっちの方が小さくてかわいいし!」
A子 「でも、大は小を兼ねるって言うし」
B男 「そうだけど、今はそのことわざを使う時じゃないよね!?」
A子 「じゃあ、アマガエルでいいや。メール届けるね」
B男 「はいはい。お願いします」
A子 「メールだよ! 数少ないお友達から」
B男 「余計なこと言わなくていいんだよ! いいからメールよこして!」
A子 「このメール、なんかヌメヌメしてるよ」
B男 「お前が触るからだろ、両生類! じゃあ早速返信するか」
A子 「何マン? あ、何レンジャー?」
B男 「その『変身』じゃねぇよ! 返事を返すの!」
A子 「返事を返すって、返すから『返』事なんでしょうが!?」
B男 「細かいよ! お前が返信で引っかからなきゃすんなり行ったんだよ! ほら、返事書いたから送ってきて!」
A子 「切手代」
B男 「いらねぇだろ!」
A子 「お駄賃!」
B男 「さっさと行け!」
A子 「カエル使いの荒い人だよ、まったく。あ、ダメだ。着拒されてる」
B男 「なんでだ!? なんで送ってきて返事拒否なんだよ!?」
A子 「メールがヌメヌメしてるからじゃない?」
B男 「じゃあ、お前のせいじゃねぇかよ!」
A子 「あんたがアマガエルがいいって言ったんでしょ!?」
B男 「『ベルツノガエルよりかは』ってのが頭についてたろうが!」
A子 「あ、新しいメールだよ」
B男 「内容読んでみて」
A子 「『このメールを5人の人に送信しないと、あなたは不幸になります』」
B男 「不幸の手紙じゃねぇかよ! そういうのは受信しなくていいの! 削除しといて」
A子 「あ、今度は幸せのメールだよ。『このメールを5人の人に送信すると幸せになれます』」
B男 「一緒じゃねぇか! 言い回しが変わっただけ! それも削除しとけ!」
A子 「まったく、人使いの荒いカエルだよ!」
B男 「入れ換わってんじゃねぇかよ! カエルはお前だろう!」
A子 「私だって好きでカエルやってるわけじゃないわよ! ホントは違う動物がよかったのに」
B男 「何がよかったんだよ?」
A子 「ヤギ! 手紙食べ放題だから」
B男 「食っちゃダメだろう! もういいよ」