うしうなぎ
A子 「ねぇねぇ。土用の丑って知ってる?」
B男 「夏になると必ず耳にするよな」
A子 「『金曜のサラリーマンと土曜の牛はいつも以上に元気だ』みたいな会話でね」
B男 「違うね!? なんか『いつもよりテンション高め』みたいなことじゃないね!?」
A子 「13日の金曜日みたいな?」
B男 「そういうんでもない!」
A子 「25日の日曜日は?」
B男 「何もないよね!? 給料日がその日だと翌月曜日に振り込まれるのか前の金曜日に振り込まれるのか気になるくらいだよね!?」
A子 「なんなの、牛達の土曜日って?」
B男 「違う! 言葉が完全に変わっちゃってる! 土用の丑!」
A子 「牛が何をする日?」
B男 「うなぎを食べるの!」
A子 「牛が!?」
B男 「牛は食わねぇよ!」
A子 「それは、宗教か何かで?」
B男 「俺が牛食わないんじゃなくてね!」
A子 「牛は食べるの?」
B男 「俺は食うよ!」
A子 「土用の丑の日に?」
B男 「土用の丑の日には食わないよ!」
A子 「絶対に? 何があっても?」
B男 「いや、そこまでは徹底してないけども!」
A子 「宗教上の問題で?」
B男 「だから宗教関係ないし! 俺、牛食っちゃいけない宗教とか入ってないから!」
A子 「豚?」
B男 「何かを食べちゃいけない制限は、俺にはない!」
A子 「エブリディ食べ放題か!?」
B男 「なんだその、ちょっと楽しそうな催し物は!?」
A子 「つまり、土用の丑の日には食べ放題に行こうということだね」
B男 「違うね!?」
A子 「宗教に入る日?」
B男 「宗教関係ない! 土用の丑はうなぎを食べるの!」
A子 「牛が!?」
B男 「土用の丑は牛じゃねぇ!」
A子 「牛は牛じゃない? 何を言っているのかよく分からないのだけど?」
B男 「だから、土用の丑の丑はモーモー鳴く牛じゃないの!」
A子 「よく聞くと『ブォー』なんだよね?」
B男 「そんな細かいニュアンスの話じゃないんだ! 時間とかを表す言葉なの、丑って!」
A子 「『あ、もう丑かぁ、急がなきゃ』」
B男 「そんなことは言ったことないけども! 二十四節季とか、雑節とか、そういうののヤツだよ! 丑の刻参りとか言うだろう?」
A子 「あぁ、知ってる。わら人形に五寸釘を打ちつけるスポーツだね」
B男 「スポーツじゃないね!?」
A子 「交互に打ちつけて点数を競う」
B男 「二人いるの!?」
A子 「ダブルス」
B男 「四人いた!?」
A子 「ターゲット、物凄い呪われる」
B男 「怖いわ!」
A子 「そうやって涼しくなるのが土用の丑の日?」
B男 「違いますってば! うなぎを食べるの!」
A子 「交互に?」
B男 「交互に食わないし、点数も競わない!」
A子 「ダブルス」
B男 「ダブルスもしない!」
A子 「ターゲットが物凄く呪われたり」
B男 「しない! うなぎを食って精力をつけるの!」
A子 「なぜ?」
B男 「暑いから! うなぎを食べて、精力つけて、『元気に夏を乗り切るぞー』みたいな感じでテンションあげてくの!」
A子 「それが、『金曜のサラリーマンと土曜の牛はいつも以上に元気だ』って言われる所以だね」
B男 「だからそんなこと言われてないってのに! もういいよ」




