きゃいきゃい
A子 「ねぇねぇ。女の子にキャーキャー言われてみたい?」
B男 「そりゃあ、言われてみたいよ」
A子 「じゃあ、お化け屋敷で働こう!」
B男 「キャーキャーの種類が違った!?」
A子 「急にバイトが辞めちゃって人手が足りないんだよね」
B男 「急に辞められると困るよな」
A子 「なんか、『これ以上ここにいたくない』とか、震えながら言って、逃げるように辞めちゃって」
B男 「そのバイト君、確実に何か見ちゃってるね!?」
A子 「『足音が~足音が~』って言ってた」
B男 「不気味な足音でも聞いたのか?」
A子 「『足音が「ぽよ~んぽよ~ん」になる~』って」
B男 「足音変わっちゃうの!?」
A子 「呪いかな?」
B男 「随分ユニークな呪いだこと!」
A子 「なんでも、トイレにこもってバイトをサボってた時に足音を聞いたんだって」
B男 「まずサボんなよと言いたい!」
A子 「他のバイトはみんなまじめに働いてるはずなのに、足音が近付いてくるんだって」
B男 「そいつも真面目に働けばいいのに!」
A子 「で、自分が隠れてるドアの前で足音が止まったの」
B男 「おぉ、なんかそれは怖いな」
A子 「そしたら、ドアがノックされて、『お~い、サボんなー』って、店長の声が……!」
B男 「サボってんのバレただけじゃん!?」
A子 「『もうここにはいれません! 辞めさせてもらいます!』」
B男 「どっちみちクビだったと思うぞ、そのバイト君!?」
A子 「『じゃあ俺も』『じゃあ私も』」
B男 「なんで!?」
A子 「みんな仲良しだったの」
B男 「仲良し過ぎるだろう!?」
A子 「そして、誰もいなくなった」
B男 「それで人手不足なのか」
A子 「店長まで辞めちゃったしね」
B男 「じゃあもう営業出来ないじゃん!?」
A子 「大丈夫! 店長についてた悪霊は残ってくれたから」
B男 「一番残って欲しくないのが残ってる!? っていうか、取り憑かれてたのか店長!?」
A子 「1ヶ月で40キロやせたからね」
B男 「メッチャ痩せてるじゃん!?」
A子 「もとが2トンあったんだけどね」
B男 「その人本当に人か!?」
A子 「ぽっちゃりさん」
B男 「2トンのどこがぽっちゃりだ!?」
A子 「『最近体が重いんだよなぁ』って言ってたんだよね」
B男 「そりゃ重いだろうな!?」
A子 「取り憑かれてたんだろうね」
B男 「太ってたからだよ!」
A子 「ぽっちゃりさん!」
B男 「譲らないねぇ!? もう今となってはどうでもいいけどね!」
A子 「で、このままじゃお化け屋敷が潰れちゃうから、私と怨霊で力を合わせて盛り立てていこうと!」
B男 「怨霊、力貸してくれるんだ!?」
A子 「メッチャいい人」
B男 「それ怨霊じゃないんじゃないかな!?」
A子 「口癖は『呪っちゃうぞ!』」
B男 「可愛らしいな、なんか!?」
A子 「あなたは受付を担当して」
B男 「俺受付でいいのか?」
A子 「うん。私と怨霊は裏でゲームしてるから」
B男 「働けよ、人手がないんだから!」
A子 「大丈夫! お化けは本物をわっさり用意しといたから」
B男 「そしたらもうここお化け屋敷じゃなくて心霊スポットだよ!」
A子 「ただ気を付けてね。その受付……」
B男 「何か曰くがあるのか?」
A子 「足音が『ぽよんぽよん』になるから」
B男 「だから呪いがユニークだってのに! もういいよ」




