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笑いは世界を救う  作者: たくえりすきぃむ
11/365

桃太郎スピンオフ

A子 「ねぇねぇ。桃太郎って知ってる?」

B男 「知ってるよ」

A子 「え、知らないの!? 仕方ないなぁ、じゃあ読んであげるね」

B男 「いやだから知ってるって!」

A子 「『昔々あるところに』」

B男 「ちょう待てい! 知ってるってのに!」

A子 「本当の桃太郎は知らないでしょ?」

B男 「本当の? どういうこと?」

A子 「だから、今から読んであげるから、ちょっと聞いてなって」

B男 「お、おぉ」

A子 「『桃太郎フィーチャリング犬』」

B男 「ちょっと待って! なにそれ?」

A子 「タイトル」

B男 「フィーチャリング犬?」

A子 「犬目線から見た桃太郎。主人公を客観的に見ることによって、真の姿が垣間見えるというものでしょ」

B男 「あ、そう。じゃあ、読んでみて」

A子 「『昔々、まだTシャツをズボンの中に入れていた時代』」

B男 「1980年代か!?」

A子 「『ある所に一匹の犬がいました。ある日犬が歩いていると、おなかをすかした若い侍が倒れていました』」

B男 「おい、まさか桃太郎か?」

A子 「『犬は持っていたきび団子をその侍に分け与えてあげました』」

B男 「犬にもらうな!」

A子 「『犬は侍に「犬太郎」という名前をつけました』」

B男 「桃太郎は!?」

A子 「出会う前のお話なの。俗に言うスピンオフよ」

B男 「桃太郎出てこなきゃ桃太郎じゃないだろう!?」

A子 「出てくる出てくる。この後登場するから」

B男 「早く出せよな」

A子 「『ふと見ると、川下の方でおばあさんが洗濯をしています。「あ、こんな所に大きな桃が。よし、川に流してみよう」』」

B男 「お前か! お前が桃太郎を流した張本人か!?」

A子 「おなかをすかしたおばあさんにさりげなく食べ物をプレゼントする、心温まるお話じゃない」

B男 「中にいた桃太郎はビックリだよ! 『流されてる~!』って!」

A子 「この経験が、後に鬼を退治してしまう桃太郎の強い精神を作り上げたのね」

B男 「いや、それはない」

A子 「『その後犬は、警察犬、盲導犬を経て桃太郎の仲間になりましたとさ』」

B男 「物凄い頼りになるヤツだったんだな、犬」

A子 「そりゃあもう。じゃあ、次は『猿太郎』の話ね」

B男 「桃太郎の話にしてくれ。『フィーチャリング猿』でいいから」

A子 「はいはい。『ある日、猿が歩いていると、犬を連れた若い侍、桃太郎に出会いました。以下、桃太郎参照』」

B男 「短っ!? 猿何も無いじゃん!」

A子 「ま、そういうヤツも中にはいるわよ」

B男 「じゃあ読む必要なくねぇ? もう次いって」

A子 「ほいほい。では、『桃太郎フィーチャリング牛』」

B男 「出てこねぇだろ、牛!」

A子 「影ながら見守ってる健気な乙女牛の話なの!」

B男 「聞きたかねぇよ! 次!」

A子 「『桃太郎フィーチャリングぶなしめじ』」

B男 「ぶなしめじ!?」

A子 「桃太郎の大好物!」

B男 「知ったことか! キジ出せよキジ!」

A子 「わかったよ! 『ある日、キジが道を歩いていました』」

B男 「いや、飛べよキジ!」

A子 「『すると、ベンチに腰掛けたおじいさんがパンくずを撒いていました。キジはそれをおいしそうに食べました』」

B男 「ハトじゃん! 公園でハトにエサあげてる風景じゃん!」

A子 「『すると、向こうから犬と猿を連れた桃太郎がやってきてこう言いました。「やぁ、ハトっぽいキジ君」』」

B男 「ハトなんだろ!? なんでキジだって言い張るの!?」

A子 「『ハト胸なキジは言いました』」

B男 「もうハトでいいじゃん」

A子 「『「桃太郎さん、お腰につけてるそれはな~に?」 すると桃太郎は言いました「これはね、今流行りのウェストポーチさ」』」

B男 「何つけてんだよ!? どこで流行ってるのか言ってみやがれ!」

A子 「『そう言うと桃太郎は着ていたトレーナーを脱ぎ、おもむろに腰に巻きつけました。するとどうでしょう、それはそれはなんともトレンディなファッションに早変わり』」

B男 「だから1980年代かって!?」

A子 「どう? こんなメンバーで鬼退治を成功させた桃太郎がどれだけ凄いか、よくわかったでしょ?」

B男 「もういいよ!」


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