あのころ流行ってた
A子 「ねぇねぇ。フラフープって知ってる?」
B男 「あぁ。昔流行ってたよな」
A子 「室町時代後期に」
B男 「そこまで昔じゃないかな!?」
A子 「『おりありはベり、いまそかり~』とか言いながら」
B男 「なんでおりあり言いながらフラフープしてんだよ!?」
A子 「手まりだって、なんか呪文唱えながらついてたでしょ!?」
B男 「呪文じゃねぇよ、あれ!」
A子 「独り言?」
B男 「手まり唄!」
A子 「なにそれ?」
B男 「手まりをつく時に歌う歌だよ!」
A子 「あぁ、あの呪文みたいな?」
B男 「だから呪文じゃねぇってのに!」
A子 「なんだっけ? ひと~つ。人の世の生き血をすすり……」
B男 「それは違うな!?」
A子 「ふた~つ、ふっくらふかふか」
B男 「柔軟剤っぽくなってるけど!?」
A子 「みっつ、見なかったことにする」
B男 「なんでだ!? なんで見て見ぬふりだ!?」
A子 「厄介なことが大嫌いな正義の味方、手まり仮面、見参!」
B男 「なんか感じの悪い正義の味方だな!? 正義の味方はだいたい厄介事に首突っ込むもんだろうが!?」
A子 「っていうのが手まり唄?」
B男 「違うね! 何度も違うと言っている!」
A子 「どんなんだっけ?」
B男 「イチジクにんじん山椒にしいたけゴボウ、みたいなやつだよ」
A子 「カレーの材料か!?」
B男 「ニンジン以外入ってねぇだろ!?」
A子 「それを延々とやるんだよね?」
B男 「そうだな。上手に手まりをつけるように、何度も練習するんだよ」
A子 「そして、世界大会へ!」
B男 「行かないよ! なかったから、世界大会!」
A子 「昔の子供はずっと同じ遊びをしてたのかな?」
B男 「まぁ、今ほどいろんなものがあったわけじゃないからなぁ」
A子 「ゲームとかフィギュアとかなかったんだもんね」
B男 「そうそう。持ってるもので遊ぶしかなかったんだよ」
A子 「スマホ」
B男 「持ってなかったよ! なんなら俺、いまだに持ってないよ!?」
A子 「ずっとアプリで遊んでる」
B男 「そういう意味では、今の子供達も同じもので遊んでるっていえなくもないのかな!?」
A子 「変なキノコを育てたりね」
B男 「アプリのゲームって、単純なほどハマっちゃうんだよな!」
A子 「室町時代から、変わらない風景」
B男 「変わってるからね! なかったから、室町時代にスマホ!」
A子 「あれ、タブレット派?」
B男 「タブレットとかガラケーとか関係なく、そういうのが一切なかったの!」
A子 「暇じゃない?」
B男 「そりゃ暇だったろうよ。だから、お手玉とかメッチャうまくなってたんじゃん」
A子 「3つのお手玉が残像で20個に見える」
B男 「物凄い技だな!?」
A子 「6歳くらいで誰もが覚える技」
B男 「末恐ろしいわ!」
A子 「戦争とかがあってモノが不足してくると、ますます遊びが制限されるよね」
B男 「そこらにあるもので、なんとか遊ぼうとしてたんだろうな」
A子 「『お~い、村長さん飛ばしやろう~ぜ~!』」
B男 「飛ばすなよ!」
A子 「そこら辺にあるもので遊んでたの!」
B男 「村長さんはそこら辺にあるものじゃねぇよ!」
A子 「そんな時代を経て、フラフープとかが誕生したんだね」
B男 「珍しいオモチャに子供達は大喜びして、物凄いブームになったんだよな」
A子 「室町時代後期にね」
B男 「だからそんな昔じゃないから! もういいよ」




