ショートコントをやろう
A子 「ねぇねぇ。ショートコントをやろう」
B男 「どした、急に!?」
A子 「いや、ちょっとショートコントをやってみたくなってね」
B男 「じゃあちょっとやってみるか」
A子 「『いや~、ここ一ヶ月飲まず食わずだから小腹がすいたなぁ~。あ、こんな所に美容室出来たんだ。よし、ちょっと入ってみよう。ウィーン。ショートコント、バスの運転手。お客さんどちらまで?』」
B男 「入りが下手!」
A子 「『どちらまで?』」
B男 「続けんなよ! 出来ねぇよ!」
A子 「どこが悪い?」
B男 「何もかもがおかしかったよ!?」
A子 「運転手が?」
B男 「いやそれ以前に! 一ヶ月飲まず食わずだったくせに小腹しかすいてないわ、どっか軽いわ、挙句に新しく出来た美容室に入ったしね! 倒れちゃうよ!? お腹すき過ぎて、シャンプー終わった辺りで意識失っちゃうよ!?」
A子 「『ウィーン。ショートコント。バスの運転手。お客さんどちらまで?』」
B男 「何もなかったかのように続けるな! あとなんで『ウィーン』って店内入ってからバスの運転手になるの!? そして、バスの運転手は客に行き先を聞かない!」
A子 「今日はよくしゃべるね。」
B男 「言いたいことが山ほどあってね!」
A子 「ショートコントって、どうやって入ればいいのかな?」
B男 「さっきみたいに、『ショートコント。バスの運転手』って言って入ればいいんだよ」
A子 「『あ~、お腹すいたなぁ。そうだ、バスの運転手を食べよう。ショートコント。バスの運転手』」
B男 「違う! まずバスの運転手を食べるな!」
A子 「うまく入れないなぁ、ショートコント」
B男 「前に色々しゃべらなきゃいいんだよ」
A子 「『ショートコント。バスの運転手』」
B男 「そうそう」
A子 「『社長。急なことで申し訳ないんですが、今日をもって辞めさせていただきます』」
B男 「辞めんなよ! バスの運転手やって!」
A子 「『長年の夢だったラーメン屋を始めようかと思って』」
B男 「それは後日始めればいいから、今はバスの運転手やろうか!?」
A子 「『けどね、お客さん。私はこのバスに乗って、夢っていう終着駅に辿り着いたんですよ』」
B男 「そういうのいいから! 俺を乗せて!」
A子 「『よっ! 名運転手!』」
B男 「乗せ方が違う! お客さんとして乗るの!」
A子 「バスなんか乗ってどこ行くの?」
B男 「どこだっていいんだよ! 行き先なんか適当でいいの!」
A子 「自分探しの旅か!?」
B男 「違うわ! ショートコントするの!」
A子 「『あ~、お腹すき過ぎて髪の毛伸びてきたなぁ。そうだボーリングに行こう』」
B男 「どこか具合でも悪いのか!? 言ってることが滅茶苦茶だよ!?」
A子 「『ストライ~ク! 髪の毛さっぱり~!』」
B男 「ならないよ!? どんなシステムなの、そのボーリング!?」
A子 「倒したピンはその場で調理してくれるから、お腹もいっぱい」
B男 「倒したピンは調理出来ねぇよ! なにを『釣った魚はその場で』みたいなノリで言ってくれてんだ!? ピンは食べられません!」
A子 「『でもね、お客さん。ボーリングで投げるのは、立ち塞がる障害をなぎ倒して前に進む、希望という名のボールなんですよ』」
B男 「だからそういうのいいから! ショートコントやろう!?」
A子 「『ショートコント。領土問題』」
B男 「そんな軽い気持ちで取り扱えない問題だね!? もっと分かりやすいヤツ!」
A子 「『ショートコント。パイロット。あ~、お腹すいたなぁ。あれ、こんなところに空港出来てたんだ。よしちょっと飛行機に乗ってみよう』」
B男 「空港は知らない間に出来るようなもんじゃないよ!?」
A子 「いや~、実際やってみると、ショートコントって楽しいもんだね」
B男 「一切出来てなかったわ! もういいよ」