悩み。
幸人と竜希シリーズ第一段です。テーマは「高校生」で、おさななじみの二人を書いてみました。まだ自分の気持ちに気付いていない二人の恋が成就するまでを書いていきます。
最近の俺の悩みは幼なじみの幸人。
昔から幸人は人懐っこい性格だったけれど、高校に入ってからそれがもっとひどくなった。
最初は特に気にしていなかったのだけれど・・・
最近、女子の間で俺と幸人の仲が良すぎると噂になっているらしく、どうも視線が痛い。
「たーつーきっ!」
「うわっ!?」
放課後、家に帰ろうとカバンを手にした途端、後ろから幸人に抱きつかれ、俺は驚いて悲鳴をあげてしまった。
「一緒に帰ろうぜ!」
「・・・幸人、普通に言え、普通に。」
あぁ、まただ。
また女子達の視線を感じる・・・
「何?こーゆうの竜希は苦手なの?」
じっと俺の瞳をみつめながら聞いてくる幸人。
「そ、そうじゃないけど・・・ほら、女子の視線が・・・」
「視線?そんなの気にしなくていいじゃん。見たいなら見ろって感じ。」
幸人は全く気にしていない様で、ケラケラと笑っている。
幸人らしいっちゃらしいけど・・・
「そう言ったって・・・」
もしこれが原因で学校生活が送りにくくなったら困る。
「もー俺がいいって言ったらいいのっ!」
「そんな・・・」
幸人のワガママ、別に嫌いじゃないけど・・・少しは俺の言葉も聞いて欲しい。
「俺が竜希のことを好きで、竜希が俺のことを好きならいいじゃん。」
「えっ・・・?」
聞き返そうとしたら、幸人はにこっと笑って俺の腕を引っ張り歩きだした。
幸人の後ろ姿しか見えなかったけれど、幸人の耳は赤く染まっていた。
きっと、顔も赤くなっているのだろう。
「うん。」
俺は何故だかとても嬉しくなって、そのまま幸人の後ろを歩いた。
もう誰の視線も気にならなかった。
END
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