自由自在
僕は、暗い夜道を死刑執行前の囚人のように暗く力無い感じであるいていたんだ。禁断の森の入り口に入ったら、森の木々がざわざわざわざわと笑うんだ。
この森までが僕に出て行けと言っている。
僕は、歩き疲れて寝転んだんだ。
いいんだ。
狼や熊に襲われたって。
彼らの空腹を満たしてあげられるなら、少しは役にたてるよね。
目が覚めると、そこにカバがいたんだ。
でも、普通のカバと少し違うのは、そのカバは、大きな口を開けたまま動かないんだ。
よく見るとカバの目は優しいな。
僕は、カバの頭をなでてみた。
カバは動かない。
耳も回さない。
僕はプロの写真家みたいにいろんな角度からカバを観察した。
大きな口のなかに手を入れてみた。
あれ?
と、僕は思ったんだ。
舌や歯を触ろうとしたのに何もない。
僕は、カバの口をのぞいていみた。
カバの口のなかには、宇宙が広がっていたんだ。
たくさんの星が見える。
僕はカバの口から宇宙へ旅に出たんだ……。
宇宙は自由だ。
これは多分夢だろう。
構うもんか。
夢でもいい。
今僕は自由だ。
あ……体が無い。
僕は、すべての感覚だけを残して、子どもの僕の小さい体が無い。
僕は宇宙を自由な速度で飛び回っている。
宇宙は思ったよりも広い。
地球一周するくらいの速度で移動するけど、土星どころか、金星にさえ届かない。




