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カバのくち  作者: 永井淡
ピーマン
6/8

絶望

 こんな曇り空の日に限って嵐が起きるんだ。



 その日から、いじめが始まってしまった。



 全員が僕を無視するんだ。



 誰も僕の挨拶に答えてくれない。



 そこに僕が存在しなかったみたいに。



 友情の始まりはいつだって、ふらふらと勇気を振り絞るところから始まるもんだ。



 勇気を出して話しかけたら、いきなり足を蹴られたんだ。



 勇気を出し切ってしまって怒る元気もなかった。なんで蹴られたかわからなくて、モジモジしてると突き飛ばされたんだ。



 こけた時に、頭から血がたくさん出てしまった。



 先生にどうしたの? って言われたから、そのまま話したら、無視が始まったんだ。



 もう、無視されて1ヶ月がすぎた頃、いじめっ子が言うんだ。



「おまえ学校に来るなよ。臭くなるから」



 僕はもともと綺麗好きだ。でも最近、なんで無視されたのかをずっと考えてたら、なんだか疲れちゃって、ぼんやりして学校に行くことが増えたんだ。



 わからない!



 僕は暗い底なし沼に沈んでいくんだ。



 あがけばあがくほど沈んでいく……。



 僕が学校で話さなくなって2ヶ月経ったころに、



「なんで学校来たんだよ」



 って、言われて、



 勉強が遅れるから



 親が心配するから



 とか、思いついてたんだけど、



「ああ、それはね……」



 ってかすれたE.T.みたいな声になってしまったんだ。



「うわあ、しゃべった。恐い、恐い」



 って、言われた。



 もう僕は、何をやっても不自然で、歩き方も、笑い方も、椅子に座る時も、すべてがおかしいと言われるようになったんだ。



 なんで僕がいじめられるのかがわからない。



 僕がいることで誰もが迷惑している。



 なんで僕は産まれたのだろう。



 邪魔な存在であり続けることが僕の役回りなのだろうか。



僕は大人になったら、いけ好かない金持ちになって、権力を振りかざし



「私を優先的に助けなさい! 私を誰だと思ってるんだ」



 と、人々をどやしつけて助かろうとする人みたいに迷惑な人になるのだろうか。



 僕はタイタニック号で、沈没の前に、デッキの床を掃除する人みたいに誰にも気づかれずに死んでいくんだ。



 沈む前に演奏を続けた誇りある音楽家でもなく、多くの人々を助けて自分は死んでしまった偉大な人でもなく、あの時の奇跡の恋人たちでもない。



 僕は誰にも気づかれることなく……。



 可哀想だったんだね。



 人知れず、寂しかったんだね。



 つらかったんだね。



 そんな風にひっそりと、誰にも気づかれず死んでいった人が世の中にたくさんいるんだね。



 僕は、みんなと仲良くしたいだけなのに。



 なんでこんなに苦しい思いをしないといけないんだろう……。



 わからない。



 全然、わからない。



 何もかもがわからない。

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