逡巡
お父さんとママに手紙を書いたんだ。
いつもごめんなさい。
明日の日曜日は、一日中お手伝いをがんばるよ。
いつもありがとう。
……でもなあ、手紙渡すと、本当にがんばらないといけなくなるし、疲れたりしたらどうしよう……
そうだ、あしたは夕方から、サッカー中継があったんだ。手紙渡すと見れなくなるな。
お父さんもママも、少しイライラしているみたいだし、やっぱりやめた。
やめてはみたけど、なんか、嫌な気分だな……。
あーあ。
僕はズルいな……。
僕は生きていてもいいのかな……。
僕がいなければ、ご飯代が、幾らか助かるんだろうな。
いつもつけっぱなしの電気も、電気代が節約されるだろうし。
僕が食べた晩御飯の片付けの洗剤や、冬のお母さんの洗い物、これも無くなるじゃない?
僕がいなくなると、良いことばっかりだ!
どう考えたって僕がいなくなる方が良いに決まってる。
ああ、僕はどうすればいいんだ!
お父さんとママのために出来ることって何?
でも僕は、いなくなることもできないんだ。決まってるだろ、家族が心配するからさ。
何もできない僕は、酔っ払いのマネをするんだ。
母さんが僕を呼んでも、返事しないのは、そんな理由なんだ……




