4/4
第四章 余白に生きる
塔に戻り、《契約の書》を開く。追加の選択は危険だ。だが、修正には力が要る。私は代償として、元の世界の記憶の一部を差し出した。
力が増す。世界の行が見える。私は欠けた章を補い、矛盾を縫い合わせた。王の存在が戻り、歴史が再接続される。
亀裂は閉じた。
すべてが終わった後、私は街に戻った。英雄にはならなかった。だが、世界は安定した。
私は書庫で働き続ける。小さな誤字を直し、大きな破綻を防ぐ。夜、塔の上で空を見る。
ここは異世界だ。だが、居場所になった。
物語は続く。余白を残して。




