第76話 そして1週間後。
あれから1週間。
紫音と全力で楽しんだ。
外でも家でも可能な限り、ずっと一緒にいた。
日に日に紫音への気持ちが大きくなっている自覚はあった。期間が1週間で本当に良かった。これ以上長くなったら、自分が抑えられなくなってしまいそうだ。
最後の日も一緒に遊んだ。
……そろそろ家に帰る時間だ。
俺は、最後の日は駅前で別れようと思っていたのだけれど、駅につくと、紫音が泣き出してしまった。
紫音は涙を拭いながら言った。
「わたし、今日はここでお別れしようと思ってたけれど、今日はまだ残り時間あるし。1秒でも長く、颯太の彼女でいたい……です」
俺も同じ気持ちだった。
一緒に帰って、一緒に夕食をとって。
自室にいると、ドアがノックされた。
「紫音だよ。今夜、最後に一緒に寝たいの」
期限オーバーになっちゃいそうだな。
でも……、終わりにするのは、明日の朝でもいいか。
「あぁ。入れよ」
紫音は、オシャレをしていた。
ちゃんとメイクをしていて、可愛い服をきていて。
俺は思わず聞いてしまった。
「ど、どうしたの? これから寝るんだろ?」
すると、紫音は照れくさそうな顔をした。
「だって。最後の時は、可愛い彼女でいたいじゃん……」
俺は……。
本当にこの子に愛されているんだな。
紫音はそのまま布団に入ってきた。
はにかむような顔で、俺を見つめている。
「今日で最後の日だね。また明日から、わたしは妹に戻るんだ。ねぇ。颯太」
「ん?」
「1週間、本当に本当にありがとう。わたしね。本心では、颯太と付き合えることはないって諦めてたんだ。でも、颯太の彼女になれて、夢が叶って嬉しいよ。それにね?」
「それに?」
「颯太の気が変わった時のために、スカートの中はパンツ履いてないよ♡」
俺は紫音にデコピンをした。
「いたっ。なにすんだよぉ?」
紫音は額を押さえて抗議した。
「ばかなこと言ってないで、早く寝るぞ」
部屋の電気を消すと、紫音が話しかけてきた。
「……、颯太起きてる?」
「あぁ」
「あのね。なんで今日を最後の日にしたか分かる?」
俺が黙っていると、紫音は続けた。
「そっか。覚えてないか。今日はね、颯太と家族じゃないって知って、子供の頃わたしが泣いていたらね。颯太が水色の飴玉をくれた日なの。わたしの頭を撫でて「元気だしな」って言ってくれた」
俺の頭の中に、あの日の夕焼けの土手が思い浮かんだ。
「……そんなことあったな」
「あの日にね、君は、わたしの中で、男の子になったんだよ? 君がお兄ちゃんになってくれた日は、わたしの中で、君を男の子として意識した日なの。だから、その日にまた兄妹に戻るのがいいかなって。……それで期限を今日までにしてもらったんだ」
「そっか」
今日は、子供の時に、2人で土手にいって夕焼けを眺めた日か。季節外れの向日葵が咲いていた。……あれから何年経ったのかな。
「ヒック……」
紫音の方をみると、俺にしがみついて泣いていた。顔もくしゃくしゃで、美人が台無しだ。
「颯太ぁ。わたし、わたし、やっぱ諦められない。1週間前より、もっともっと好きなの。こんなの諦められないよ」
紫音はキスしてきた。
紫音の涙で、頬のあたりが濡れてしまった。
紫音は俺のズボンを下げると、馬乗りになってきた。
お互いの性器が、数センチの距離にあるのが分かった。紫音のはトロトロになっていたし、俺のも同じようになっている。
俺が数センチ腰を持ち上げれば、あるいは、紫音が数センチ腰を落とせば、紫音は俺の女になる。
そうしたら、きっと、明日も明後日も。
この先ずっと。
紫音の中は、どんななんだろう。
きっと、気持ちいいんだろうな。
他の男に渡すのは……、イヤだな。
せめて、最初は俺が……。
すると、紫音が話しかけてきた。
紫音の涙がポタポタと、俺の胸の辺りに落ちた。
「颯太。わたしを貴方の物にして。ね。お願い……。そうた。そうた。わたし、貴方を愛してる。ずっと、一緒に。うん。明日も彼女で居させて欲しいです」




