表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告白したら違う子でした。いまさら憧れ女子が絡んでくるんですが。〜ショートカットのスポーツ少女ヒロインが勝つための物語  作者: 白井 緒望


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

69/83

第69話 入院。

 

 あれからレスキューの人が来てくれたのだが、かなりの大騒ぎになってしまった。


 隊員がロープと金具カラビナを器用に使い、1人ずつ吊り上げてくれた。


 櫻子は大怪我をしていて、素人の俺にも一目で骨折しているのが分かった。


 「櫻子、大丈夫か? 俺がこんなところに誘ったばっかりに。ごめん」


 すると、櫻子は「そんなことない」とでも言いたげに首を横に振った。


 櫻子は、そのまま入院することになった。不幸中の幸いで、骨折時に神経や血管の損傷はなかったようだが、日常生活が送れるのに、3ヶ月はかかるということだった。


 きらりと櫻子は、元通り……とまではいかないが、時々メッセージのやり取りをしているらしい。お節介をした甲斐があった。


 そんな訳で、今日は櫻子のお見舞いに来ている。


 病院につくと、受付で面会者名簿に記入するように言われた。名簿には部屋番号と名前を書くようになっているので、部屋ごとの来訪者名が分かる。


 俺は名簿に自分の名前を書きながら言った。


 「きらりの分も一緒に書くよ。櫻子の部屋は……、あれ。俺たちの少し前に来ている人いるや。名前は、神楽坂すみれ……」


 きらりの顔色が変わった。


 「ね。そうくん。ウチ、お見舞いの品を忘れちゃったよ。ちょっと買い物に付き合って」


 そんなハズはないのだが、きらりの言う通りにした方が良さそうだった。


 駅の近くのデパートに行って、お菓子を物色した。きらりは、変わったお菓子を見つけてはニコニコしている。


 「きらり。さっきの名簿の人は……」


 きらりは俯いて、胸に手を当てた。


 「櫻子ちゃんのお母さん」


 やはりそうか。


 「今日のお見舞いはやめとくか?」


 すると、きらりは首を横に振った。


 「ううん。大丈夫。もう帰ったみたい。櫻子ちゃんがメッセージくれた」


 「そうか」


 俺は、きらりを抱きしめた。


 背中をギュッと抱き寄せると、きらりの華奢な肩がすくむように持ち上がった。きらりは冗談っぽく言った。


 「そうくん。痛いよー」


 「きらりのことは、俺が守るから」


 俺は、きらりが大切だ。人違いで告白してしまったこの子は、もはや、俺にとって欠かせない存在になっている。


 「ありがとう。もう大丈夫」


 きらりは笑った。


 病院に戻り、病室につくと、すでに櫻子のお母さんは居なかった。


 櫻子はこちらに向くと、申し訳なさそうな顔をした。


 「2人とも。気を遣わせてしまってごめんね」


 「いや、俺たちの方こそ、病人に気を遣わせてしまってごめん」


 きらりの口数は少なかったが、海の時のような壁は感じなかった。


 5分ほど世間話をして、帰ろうとすると櫻子が言った。


 「きいちゃん。お母様のことだけど、わたし、このままじゃダメだと思ってるの。だから……」


 すると、きらりが言葉を遮った。


 「櫻子ちゃん。その話は怪我が治ったらしよ? まずは、早く元気になってね」


 ひとまず、ヘビーな話は先送りになった。


 

 帰り道、気になって、きらりに聞いてみた。


 「きらり。櫻子の家とのこと、どうするの?」


 「あーあ。ウチも分からないよ。ねっ。そうくん。どこか遊びに連れて行って」


 きらりは、いつも控えめなので、こういうことを言うのは珍しかった。そんな子の我儘には、全力で付き合ってあげたい。


 「ちょっと待ってて」


 俺はそう言うと、バイト先に電話した。夕方からバイトの予定だったが、陽菜にヘルプをお願いして、休めることになった。


 戻ると、きらりが不安そうな顔でコチラを見ていた。


 俺はピースサインを作って答えた。


 「もちろん。遊びにいこう!! 今日は、とことん付き合うぜっ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ