第55話 妹と旅行気分も悪いもんじゃない。
部屋に戻って、食事にした。
俺はさっき食べたので、お酒がメインだ。
テーブルに惣菜を並べると、紫音がグラスを出してくれた。缶でもグラスに注げば気分があがる。
可愛い子にお酌してもらうのって、最高だな。
たしかに、恋愛は顔だけじゃないと思う。でも、こうして見たときに、可愛いのはやっぱり尊い。
紫音は、小さな時から見ていて見慣れているはずなのに、可愛い。これは、他人がみたら、すっごく可愛いということなのだろう。
お酒がまわってきたのを見計らって、紫音が質問をしはじめた。
ラブホで何していたのかとか。
何回したのかとか。
だから、答えた。
「紫音の顔が浮かんで(最後までは)できなかった」
嘘ではない。
そんまま本当でもないが、嘘でもない。
本当は手で瞬殺されたからだったとしても、嘘ではない。
すると、紫音は嬉しそうな顔をした。
「わたしのこと思い出してくれたんだ……。ね、今日だけ、颯太くんって呼んでいいかな?」
「別にいいけど」
お酒を飲んでいたら、お腹が空いてきた。
惣菜、少ししか買ってきてないから、コンビニにいくか。
紫音には留守番をしていてもらって、買い出しにでた。店内をしばらくウロウロしてみるが、どうも気にいるや惣菜お弁当がない。
「コンビニの弁当って、どれも同じ味に感じるんだよなぁ……、ってこれは」
俺は玉子や野菜などの素材コーナーで足をとめた。最近のコンビニは近隣の八百屋や肉屋と提携しているらしい。素材はそこそこ良いものがある。
「作るか」
うちらの部屋には長期滞在向けに簡単なキッチンがあった。ホテルに頼めば、調味料やフライパンなどを貸してくれるらしい。
肉や野菜を買って、部屋に戻った。
「ちょっと作るよ」
すると、紫音が俺の買い物袋を奪った。
「わ、わたしが作る……」
俺の知る限り、こいつが料理をした記憶がない。
「できるのか?」
「まかせてっ。わたし、実は料理得意なんだからっ」
なんだかすごく楽しそうだ。
こうして紫音と泊まって2人だけで過ごすのは、考えてみれば、初めてかもしれない。
駄々をこねられて面倒だと思ってたけれど、来てよかったかも。
しばらくソファーに座って様子を見ていたが。かなり難航しているようだった。
覗き込むと、目玉焼きを焼いているようだったが、剥がれなくなってしまったらしい。
紫音もまだ高一の女の子だ。
料理できなくても、普通だよな。
俺は、紫音の横に立って、フライ返しを持つ手に右手を添えた。塩、胡椒と朝食用に買っておいたヨーグルト、マーガリンを少し加えて軽くかき混ぜる。
焦げつきを巻き込まないように、皿に移した。
紫音が俺の方をみた。
「紫音、よそ見するなよ。もう一つ作ろうか」
もう一つのフライパンをよく熱してから、油を回し入れる。油の流れに波が見えてきたら、右手で玉子を割り、フライパンに落とす。
左手でフライパンを振り、目玉焼きと鉄板を油で剥離させてから、一気にひっくりした。
「鉄板と油を馴染ませてからじゃないと、くっつくんだよ」
紫音をみると、バツが悪そうな顔をしている。
フォローした方がいいか。
「このフライパン、女の子には少し重いからな。難しかったよな」
いつもの紫音なら、言い返してきそうだが、この日は違った。
「ね。颯太くん。わたしね、違う出会い方をしてても、君のことを好きになってたと思う。そうしたら、他人だったら、わたしと付き合ってくれたのかな……もし、生まれ変わったら、他人になりたいよ」
紫音のそれは独り言のようで、答えを求めていないと思った。
でも、アルコールが入ってて、俺も気が緩んでいたのかも知れない。気づいたら答えていた。
「おれ、お前のこと好きだよ。女の子として。だから、別に生まれ変わる必要なんてねーじゃん」
紫音は目尻を下げて幸せそうな顔をした。
「颯太くん。颯太くん。……大好き」
そのままベッドに押し倒されてしまった。
「ちょっと、紫音」
「わたしの好きを受け取って欲しい……。お願い、わたしの初めての人になって」
そう言った紫音の顔は、いつもと違って初々しくて、少しだけ不安そうに見えた。
紫音は立ち上がると、服を脱ぎ始めた。
恥ずかしそうに立つ紫音の裸体は真っ白だったが、胸元は少しだけ紅潮していた。
紫音は、俺の服も脱がせはじめた。パンツを下ろす。すると、怒張した性器が弾かれるように出てきたので、紫音は目をまん丸にした。
「颯太くんのおっきぃ……わたしのこと欲しがってる。嬉しい」
紫音はそういうと、なんの躊躇いもなく口に含もうとした。
だが、俺の脳裏には、きらりの顔が浮かんだ。
俺は紫音の肩を持って、持ち上げた。
紫音は不思議そうに俺の方を見た。
さっき、コンビニでゴムを買うか迷ったのだ。でも、買ったら、きっと最後までしてしまうと思って、買うのをやめた。
「今日は、そういうのしないって約束だろ?」
紫音は泣きそうな顔になった。
「それに、ゴムもないし」
「なくてもいいし」
「良い訳ないじゃん。紫音、まだ成長期だし、早いっていうか」
「わたしとしたくないの?」
「したいに決まってるじゃん。でも、まだ早いっていうか。それに」
「それに?」
「……それに、俺は、紫音のこと好きって伝えられて満足してるっていうか。紫音はそれじゃ足りない?」
紫音は首を横に振った。
「そんなことない。すっごく嬉しかった。うん、わかった。今日は、添い寝だけで満足してあげる」
「なんか偉そうだな」
「変態シスコンおにーちゃんは、ツンデレの方が萌えるでしょ?」
「はは。たしかに」
おれは紫音を抱き寄せて、そのまま寝た。裸の紫音はほどよく暖かくて気持ちよかった。
「んっ……んん」
夜中、紫音の喘ぎ声で目が覚めた。
俺の胸に顔を埋めて、もぞもぞしている。
親しき兄妹にも礼儀ありっていうしな。
気づかないふりをしてやるのが優しさだろう。




