第29話 まおうぷりくら。
それから3人でゲーセンに行った。
紫音がUFOキャッチャーの前で物欲しそうにしていた。
「欲しいの?」
そう聞くと、紫音は黙って頷いた。
何回かチャレンジしたが、お目当てのものはとれず、ペンギンのぬいぐるみが取れた。
「ごめんな。欲しいヤツとれなくて」
「ううん。嬉しい」
紫音は、ペンギンを抱きしめた。
意外と素直なとこもあるんだな、と思った。顔は可愛いんだから、いつもこうだと良いのだけれど。
すると、きらりも何かいいたげにしている。
「ウチも……。ウチも、記念になるものほしいです」
きらりには、犬のぬいぐるみをとってあげた。ほれ、と渡す。
すると、きらりは、お日様にあたるタンポポのような笑顔をした。
「ありがとう。ウチ、ずっと大切にするね」
紫音が隣でブツブツ言っている。
「わたしだって、ずっと大切にするし」
こうしていると、本当に妹が2人てきたようだ。落ち着くし、俺はこの空気感は好きだな。
その後は、紫音の希望でプリクラを撮ることになった。
筐体に入って、写真交換やカウントの秒数を選ぶ。
「3……、2……、1……」
(ちゅ)
2人がこっちを向いて両頬にキスをされた。
出来上がったシートを見ると、2人は笑顔で、俺だけ真顔だった。
撮り直したいというと、2人に却下された。
紫音は、シートを右手でペラペラとなびかせて、お局OL風に言った。
「颯太は真顔でしょ? そこが逆にリアルで良いんだよ。光と影の陰影が広がる世界観を表現するとかなんとか(略)。っていうか、颯太なんてどうせ平凡なんだから、女子のうつりを優先しなよ」
意味のわからない理屈並べやがって。
おまえ、どこの写真家だよ。
それにしても、こいつ、いちいち挑発的だな。
俺は渋々受け入れることにした。
しかし、その代わりに、どうしてもやってみたいことがあるのだ。
俺はダメ元で提案した。
「魔王ポーズでプリクラ撮ってみたい」
「は?」
紫音にゴミ虫を見るような目をされたが、俺は負けない。
「きらりはしてくれるか? どうしてもしたいんだ……」
すると、きらりは恥ずかしそうに頷いた。
「そうくんがそんなにしたいなら。魔王ポーズが何なのか分からないけれど、ウチ、してあげる」
さすが天使タン。優しい。
このチョロさに無限の愛を感じる。
しかし、魔王ポーズには女子が2人必要だ。もう一体の猛禽類の協力もとりつけねば。
紫音の方をみると、意外にも、モジモジしていた。
「きらりがするなら、わたしも負けたくない。……いいよ」
よしよし。いいぞ。
2人とも連動している。
量子もつれか?
まぁ、我が望みは承認された。
フハハハハハ。小娘どもよ、得体の知れないポーズを許したことを後悔するがよい。
ってことで、贄たちの気が変わる前に遠慮なく。
2人を前に立たせ、俺は2人の背後に立つ。
そして、きらりは俺の右胸のあたり。紫音は俺の左腹部あたりに屈んでもらった。
俺は何度か拳を握り、自分の手の動きを確認する。よし、I'm ready。
そして、カウントにあわせてアレをやるのだ。
「3……、2……、1……」
俺は魔王らしく不敵な笑みを作ると、右手でキラリ、左手で紫音の胸を鷲掴みにした。
そして、パシャ。
「ひゃんっ……!!」
「んっ……!!」
2人の嬌声がBOX内にこだました。
やった!! 俺の夢が叶った。
これは、美女2人がいてこそ映えるのだ。
1人じゃハーレム感が足らん。
死ぬまでに到底実現不可能かと思ったのだが、こんなにもあっけなく経験できるとは……。
ついでに、どさくさに紛れ、2人の胸も揉めたし。
紫音の胸は、綺麗なお椀型なので手にちょうど収まる。正直、おれに揉まれるためにあるような胸だ。重力に抗うだけあり、少し硬めだった。
きらりの胸は、小ぶりだが可愛い。
とにかく可愛いんだ!! マジ天使。そして、柔らかい。
さて、俺は何事もなかったかのように2人から離れ、身だしなみを整えながらシートの現像をまつ。
そう。胸揉みは、あくまで演出上、致し方ない所作なのだ。決してエロ目的ではない。
「よし。出てきた」
そこには、ハーレムラノベなどでよく見る構図(魔王と美女奴隷2人)があった。
きらりも真っ赤で可愛いが、紫音は不意をつかれて、めっちゃ『女の子』な顔をしていた。
「紫音、この顔、メッチャウケるんだけど」
(パチンっ)
紫音にビンタされた。
「おま、そんな怒らなくたっていいじゃん」
紫音は涙目だ。
「こ、こんなの。全裸より恥ずかしいし!!」
「いや、それよりも。おまえ、乳首が少しおおき……」
(ドガガッ)
言葉が終わる前に蹴り飛ばされた。
あぶなっ。椅子とかに頭ぶつけたらどうするんだよ。
この猛獣のことは無視して、次いこう。
俺はきらりに言った。
「きらりの可愛い顔のプリクラ撮れて嬉しいよ」
きらりは恥ずかしそうに答えた。
「どういたしまして……」
紫音がむくれているので、そちらにも感謝を。
「紫音。ほんと可愛いな」
すると、紫音は黙った。
いやぁ、チョロい。
きらりといると、シナジーで紫音の凶暴性が数ランク落ちる。
俺はルンルンだった。
だって、一生物のお宝をゲットできたのだ。
すると、きらりが照れくさそうに言った。
「あのね。そうくん。ウチ、男の子にお胸を触られるのは、初めてで。その、できればプリクラの箱の中よりも、ベッドだったら嬉しかった……かな?」
おれは、その罪深さに愕然とした。
……本気でごめん!!
きらりは、もうちょっと思った事を言えるようになろうな?




