第25話 椎名の気持ち。
椎名……。
よくよく考えれば、椎名は俺がいく飲み会にはいつもいた。しかも、決まって正面か隣に座る。
思えば、部活動でも、いつも視界の端っこには居た気がする。
俺は改めて、椎名をつま先から見上げてみた。
足首もきれいで、スカートから見える太もも肉感的だ。太っている訳ではなく、胸も大きい。まさしく「男好き」のする身体なのだ。
顔も決して悪くない。というか、普通に可愛い。うちの部では貴重な存在だ。性格だって、変人ではあるが、悪くはない。
さっきの椎名の提案は、要は「セフレ」のお誘いだ。正直、この身体を毎日自由にできるのは、捨てがたい。
うーん。でも、すでにあいつら(妹2人)で手一杯なのよね。
俺は椎名の目を見た。
「あのさ。気持ちに気づいてやれなくてごめん。でも、ごめん。やっぱ、その提案は受けられない」
椎名は泣きそうな(さっきまで実際に泣いていたが)目で俺を見る。
「……それは、神楽坂さんのことが理由ですか?」
ちゃかさず、真剣に向き合うべきだろう。
「いや、違う。実は彼女がいてさ。その、まぁ、(人違いだったり)色々あるんだけど。俺はその子が大切で、裏切ることできないかなって」
「……。そうですか。可愛いだけで性格が悪そうな神楽坂さんよりよっぽど納得できます。先輩にそんな良い人いたんですね。仕方ないですね……わかりました。んじゃあ、今日の1回だけしときますか? ノーカンってことで」
俺は椎名にデコピンした。
椎名は両手で額を押さえている。
「せんぱーい。痛いっす」
「調子に乗るな!! でも、本心から嬉しいよ。俺なんて冴えないし」
「先輩っ。ところで、さっき、わたしを下から舐めるようにイヤらしい視線で見ましたね?」
え、この人。
『冴えない』のところはフォローしてくれないのね。
「バレた? いやぁ。エロい身体してるから、断るの惜しいなって」
椎名は笑顔になった。
「先輩、さっき、わたし相手にアソコ元気にしてましたしね?♡」
「否定はできない」
「私の話をちゃんと聞いてくれたし、女として見られてるなら、今のところは満足しときます」
今と言わずに、未来永劫満足しておいてほしいんだが。
「んじゃあ、用事も済んだしおれ行くわ」
椎名は、俺の行く手を塞いだ。
「先輩っ。一つだけお願い聞いてくれませんか?」
「卑猥なことじゃなければな」
「違いますよ。わたしのこと、名前で呼んでください」
俺は鼻を掻いた。
ちょっと照れくさい。
「わかった。めぐる 改めてよろしくな」
「はいっ♡」
やばい。
椎名を女として意識したせいか、所作が可愛く見えてしまう。
おれはクラブハウスの廊下を歩いて、校門の方に向かっている。
それにしても、椎名は神楽坂さんのことを「可愛いだけで性格が悪い」って言ってたな。
俺からしたら、普通に可愛くて、性格が良さそうに見えるけどね。男と女で見え方が違うのかな。
俺は建物をいくつか通過して本館に入った。
あと少しいくと校門だ。
すると、神楽坂さんがいた。




