第14話 きらりとバスケ。
きらりが俺に気づいた。
タタッと駆け寄ってきて、いつものポンコツに戻った。
「そうくん。いまの見てた?」
「あぁ。ほとんどな」
「恥ずかしい。わたしのイメージ、脳筋に変わっちゃった?」
「いや、むしろ。綺麗だと思ったよ」
「そっか。綺麗か。えへへ……。そうくんに褒められたのはじめて」
「いや、そんなことは」
……そんなことは、あるみたいだった。
好みのタイプというものは、簡単には変わるものではなく、俺も変わってない。
それに、きらりのことは大切だけれど、家族愛に近くて、神楽坂さんに感じるトキメキとは少し違う気がするのだ。
俺は……きらりを褒めることに臆病になっている。
でも、この子は、世間という汚泥の中の清水のような存在で、自分が清浄であることに自負をもって欲しい。
だから、これからはもっとキラリを褒めようと思う。
「きらり」
「?」
「バスケしてるの、すごくカッコよくて可愛かった」
うう。小っ恥ずかしい。
神楽坂さんには、きっと余裕で「キミ、かっわいぃねー」と言えるのに、なんできらりには言えないのだろう。
おれは、チラリときらりを見た。
すると、両手を軽く握るようにして、頬のあたりに当てて、目尻に涙をためていた。
そして言うのだ。
「そうくん。すっごく嬉しいよ。ウチ、バスケのこともっと好きになった」
おれは心の中で思った。
——じゃあ、俺のことは?
しかし、そんな俗な俺とは違って、きらりは、幸せそうな顔で話を続けた。
「ウチね、昔、色々辛くて。でもね、バスケしてたら元気でたんだ。だから、そうくんにバスケしてるウチを褒めてもらえて、すごくすごく嬉しい」
相変わらずの尊さだぜ。
はぁ。
どうも調子が狂うなぁ。
でも、俺のタイプを度外視すれば、この子が神楽坂さんにも後れをとらない容姿なのは分かる。
それに、性格なら、きっと世界の誰にも後れをとらない。
でも、俺は。
俺はきっと、目の前の宝石を、石としか思えない馬鹿なのだろう。




