表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天まで届く  作者: ラズリ
6/12

予感

数分ごとに海斗の財布からお金が減っていく。そのつどため息をつきながら財布な視線を落とした。


「食べるなとは言わないけどさ。もうちょっと抑えない?」


ミーアは饅頭を両手に持ち、一つを口にくわえている。おいしそうに食べるから気分は良かった。


「ほんはにお金ははった?」


「飲み込んでから喋りなよ」


数回噛み、飲み込んでからもう一度言った。


「そんなにお金かかった?」


「それなりにね」


本当のところ、まだまだ余裕がある。遠慮してほしいのが本音だった。


護衛だがミーアの財布になった覚えはなかった。


それから数分後、大牙が壁から壁へと跳び移りながら海斗を捜していた。


市民から歓喜の声を浴びながら、汗をかいて捜した。


「いた。海斗!」


見つけると海斗の目の前に飛び降り、息を整えた。海斗は嫌な予感が頭を過ぎった。


「東西にある砦が魔物の大群の襲撃を受けてるらしい。統率のとれた……な」


「統率?誰かが指揮してるってこと?ありえない」


「とりあえず加勢に行がないとまずい!」


海斗は右手を強く握った。血が出そうな力強さで。ミーアにクルスタワーに行っておくように頼み、海斗と大牙は東へ動いた。


西には他の仲間が数人向かっていると大牙から聞いた。


「クルス王国の中に入れるわけにはいかない。片っ端から消していくよ」


魔力を足に込めて身体能力を向上させ、砦に急いだ。大牙もそれに続く。


到着した時、魔物の臭いより人間の死臭の方が強かった。明らかに数負けしている。


「どこから来たよ?こいつら」


「どこでもいいよ。やるよ」


砦にある防壁の上で二人は大剣を構えた。上から銃を撃っていた兵士たちに遠くの魔物を撃つように指示し、魔物の大群の中に身を投じた。


魔物と違い、一発でも急所に喰らえば致命的な傷を負う。スリルの中、大牙と海斗は大剣で命を奪い続けた。


「数が多すぎる!」


海斗は愚痴をこぼしながら大剣に魔力を流した。緑色の光を放った。


「風牙!」


大剣を振ると衝撃波が発生し、複数の魔物を切断した。


指輪を大剣に変化させ、二本目にも魔力を込める。


「大牙!跳べ!」


大牙は頭上に跳び上がった。海斗は目で確認し、その場で回転を始めた。


衝撃波がいくつも発生し、魔物が次々と絶命していく。


何度か繰り返すと魔物は四分の一まで数が減っていた。


「海斗!後は俺がやるから西に行け!」


「頼んだ!」


大剣をしまい、クルス王国の中を突っ切る。途中であることに気づいた。


「非常事態なのに何で皆外にいる?」


普通ならば兵士が避難させるか家に居させるはずだった。にもかかわらず、市民は外を歩き回っている。


クルス王にも魔物が攻めてきているという話は回っているはず。


「海斗!」


声に振り向くと同じギルドのメンバーが近づいてきた。


「樹里!君も来てたの!?」


海斗は樹里という女の子に信頼をおいていた。大牙と同じくらい。


「うん。今から西の砦に向かうところ」


海斗は口許に手を当てた。頷いてから樹里の肩に置く。


「西が終わったらすぐ城に来て。嫌な予感がする」


「わかった。じゃあ仕事終わったらまた……ね?」


「たまにはゆっくりするのもいいね」


樹里はくすっと笑った。いつも大牙と一緒にいることを知っている。


苦労してそうな海斗に隠れて想いを寄せていた。


今の目標は大牙のポジションを奪い、海斗の隣にいることだ。


そんなことはいざ知らず、樹里を見送ってから海斗は城に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ