処刑
大牙の目つきが一瞬で変わった。遊ぼうなどという気持ちは微塵もない。
大剣を地面に突き刺し、両手を合わせる。魔力を込めると赤い光が両手を包み込む。
合せていた両手を離していく。離れた間から赤い剣が形成せれていく。
「ベルジュ」
そう言葉を発し、左手に赤い剣を持った。゛ベルジュ゛それがこの赤い剣の名前だった。
右手には地面に突き刺した大剣を携えツヴァイを睨みつける。
「それが奥の手ですか?まさかそんな剣で僕を処刑するつもりですか?」
「だと言ったら?」
「僕を馬鹿にするのは程々にした方がいいと思いますね」
嘲笑うかのようにツヴァイは大牙を見て笑った。意にも介さず、大牙はツヴァイに攻撃を仕掛けるべく、地面を蹴った。
空中をわずかに飛んでいる魔物を足場にし、ベルジュで斬りかかる。
ツヴァイの持っていた剣を真っ二つに斬り裂き、片翼しかない翼を斬り落とす。
「かっ!!!!」
ツヴァイの腹を蹴り、空中を飛んでいた魔物に着地する。ベルジュを消し、地面に垂直降下していくツヴァイを見届けた。
地面に着地し、緑色の血が地面に常に流れ落ちる。ツヴァイは気にもせずに大牙を見上げた。
「何故攻撃を続けない?僕はまだ戦える!」
「いんや、もう終わりだよ」
「馬鹿にしてるのか!ふざけるな!」
「ほれ、見えるなら見てみ?」
大牙が指を指した方向に振り向くが何も見えない。
「違う、お前の背中だよ」
ベルジュが斬った切り口から発火が始まっていた。痛みで痛覚が麻痺してるのか、そのことの全く気付かなかったツヴァイは既に遅かった。
背中まで炎が回り、体が燃え尽きるのも時間の問題。
大牙は足場にしていた魔物の首を切り落とし、地面に飛び降りた。
「ああ、そういうことね」
観念したようにツヴァイはため息をつき、大牙を見た。自分の死を諦めたように大牙には見えた。
「何か聞きたいことはあるかい?」
「どうせ悪魔の涙が狙いなんだろ?」
魔物はツヴァイの邪魔をしないように避けて砦に攻撃を繰り返していく。必然的に近くにいた大牙にも攻撃はない。
「その通り」
「じゃあ、魔人の人数と……魔人がどうやって生まれてきたか」
「ここにいるのは僕を含めた三人。他に何人いるかなんて知らない。魔人は魔王が保険に作った上位種の悪魔だよ」
「十分だ」
大牙は大剣を持ち上げ、ツヴァイの身体を真っ二つに斬り裂いた。
一息つき、魔物の群れを排除しに向かった。