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第24話 白咲さんと苺とチョコレート







「あー……やっぱやらかしたか〜金田のやつ」


 帰りに寄ったコンビニで白咲さんの話を聞いた黄瀬さんは予想通りと言わんばかりの反応をしていた。



「あはは……なんというか、金田くんらしいね……」



 対する黒宮も金田の被害にあっていたからか、驚くことなく金田ならやりかねないなという反応だった。

 まぁ、その笑顔はとても引き攣っていたが。多分金田の行為に本気で引いているのだろう。


 元から最底辺だった株をさらに下げ続ける男、それが金田だった。

 


「佐藤くん……助けてくれてありがとね」


「え? いや……そんな全然」



 そんな全然ってなんだよ!? アホか俺は!?

 く、コミュ強イケメン陽キャならここで気の利いたセリフの一つや二つ言えるんだろうなぁ……


 もともと、今日の白咲さんはどこか元気がなく俺達は心配していた。


 きっとその原因は金田に相談していた内容だろう。白咲さんは金田に相談していた内容までは教えてくれなかった。


 本人があまり言いたくないのか黒宮も黄瀬さんもそこについては詮索をしていない。



「うーん。これはマジでしばらくはさとちんは華ちーのそばにいた方がいいんじゃない?」


「……正直、私はいて欲しい……かも」


 どこか申し訳なさそうに白咲さんは言った。


 まぁ、あんなことがあった後だ。また、同じことを金田にされるんじゃないだろうかと恐怖感を持っていてもおかしくはない。

 

 いくら大天使だの最強女子だの周りから言われても白咲さんだって、一人の女の子なんだ。



「佐藤くんには私たちと一緒に居てもらうのが良いじゃないかな?」


「ねねっちの言う通り、さとちんを私たちのグループに入れるのが最善か……喜べさとちん君、オタクの夢であるハーレムだぞ」


「……いやいや、全然ハーレムじゃないでしょ」


「ほ〜? その言う割にはニヤついてますけど〜?」


「エッ!?」


「うっそ〜」



 こ、この女ぁ〜!! コミュ障陰キャの心を弄びやがってぇ……!!

 なんか、黄瀬さんと話しているといつも向こうのペースで良いようにからかわれてる気がする。



「っていうか、さとちんなんで眼鏡外してるの? え? もしかして華ちーを助ける時にカッコつけたかった?」



 違うわい!!



「違うよ。やよいちゃん。実は佐藤くん、目すごくが良いんだよ。いつも裸眼だと見えすぎて疲れるから曇り用の眼鏡をかけてるんだって」


「へ〜そうだったんだ。……ねねっちってさとちんのことよく知ってるんだね」


「え〜? そうでもないよ〜?」


「ああ、うん。そこで嬉そうにするのね……」



 なぜか嬉しそうに微笑む黒宮と改めて何かを察したような表情をする黄瀬さん。


 そんな二人にやりとりを不思議に思いながら改めて、白咲さんを見る。


 ……やっぱり、いつもより元気がない。どうしよう。黒宮や黄瀬さんはあえて突っ込まなかったんだろうけど、白咲さん何かあったんだ。


 どうしよう。さっきコンビニで買ったアレを渡すか? でもぉ……う〜ん。


 ここぞという時に勇気が出ない。自分の行動が正しいのかわからないから。


 もしかして今からしようとしている自分の行動は余計なお世話かもしれない、黒宮や黄瀬さんのように何もしないのが正解かもしれないし……と考え込んでいるうちに駅の改札まで来てしまった。


 黒宮や黄瀬さんと雑談していたからか白咲さんの様子は元気になっていた。だけど、から元気のように感じるのは俺だけだろうか?



「それじゃ、佐藤くん今日は本当にありがとう」


「いや……あの、白咲さん、大丈夫?」



 俺がそう聞くと困ったように笑顔を見せて



「……大丈夫だよ。バイバイ」



 と嘘をついた。



 だから、俺は改札に向かおうとする白咲さんの手を掴んだ。白咲さんは驚いたように大きく張った目で俺の顔を見つめている。 



「……これ」



 鞄の中から先ほど買ったアレ……チョコのお菓子(苺チョコ味)を取り出して白咲さんに渡した。


「……えっ? これはー」


「チョコレートと苺が合わされば……さ、最強だからこれで、元気モリモリ……的な?」


「……!!」



 いやキモ過ぎんか? 

 何言ってんだ俺は!? 何が元気モリモリだっ!? 馬鹿じゃねぇの!?


 うわあああああ絶対きもいって思われてるよこれ!! ああああああ!! 


 ただ、相談に乗れないからせめて少しでも元気になればと思って渡しただけなのに……!!



「そ、そういうことなので!!」



 気持ち悪い自分から逃れるように改札口から離れた。

 さっさと家に帰って枕に顔を埋めて思い切り叫ぼう。そして忘れるんだ!!

 

 ……こんなん人生の黒歴史確定だ。



「待って!!」



 いきなり、後ろから手を掴まれる。振り返ると息を切らした白咲さんだった。



「……ごめん、佐藤くん。ちょっと付き合ってくれない?」






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