ようせいさんとひとめぼれ
暖かい日差しでウトウトとしていたころ、何の前触れもなく突然に「ようせいさーん」と言われながらぎゅーっと強く抱きしめられました。突然のことに驚いた私でしたが、強く抱きしめてきた村娘さんが涙を流しているのを知って、優しく抱き返しました。
泣いていた村娘さんが少し落ち着いたころ、私は「どうしたのですか?」と村娘さんにたずねました。
「実は……」
どうやら、その村娘さんは隣村で出会った青年に一目惚れしてしまったようなのです。ですが、その村娘さんは幼い頃から鼻炎が酷くて自分自身に自信を持てなくて、涙を流しながら私のところに来たのでした。
私はその村娘さんに言いました。
「前に私の居た国では、国民の約半数の方があなたと同じ病に悩まされていました。特にハウスダストやスギの花粉が主な原因です。実はそのような原因の場合には対処する方法があるのです」
「ようせいさん!」
村娘さんはそう言うとさらに強く私を抱きしめました。
「ですが、聞いてください! その方法は治療に3年から5年と長い月日が必要です。完治できることをお約束できませんが……」
「はい! はい!」
いつしか村娘さんの涙は悲しいものから暖かいものに変わっていました。私はより詳しく舌下免疫療法について説明したあと、村娘さんに適した治療を進めていくことにしました。
実際の治療を進める前に、いくつか法を調べてみると、どうやらいま私がいる国では、日本の江戸時代のように医師免許や薬剤師免許はなく、薬師の独立処方権も認められているようでした。私が魔王として統治していた時には免許も関連する法も整備していたはずですが、数百年の間に何かがあったのかもしれません。いまはその疑問を脇に置いておいて、村娘さんの治療に専念することにしました。
「あのー、治療のお礼はどうしたら?」と冷静になった村娘さんは私にたずねました。
「完治はお約束できないのでお礼は必要ないです。もしどうしてもと言うのなら、あなたの願いが叶ったら杏の苗を5本植えてください。花は綺麗で果実は咳などに効きます。果実を食べるのは1日1個程度までで、妊娠したりお腹が緩くなりやすい方は食べるのを止めてもらうこともこの機会に覚えておいてもらえると嬉しいです」
私はスクッと立って腰に手を当て、フンスと鼻息を立て、村娘さんにさらに言いました。
「種子はちゃんと勉強すれば杏仁豆腐という甘くてとても楽しい食感のお菓子になったり、咳に効く薬になったりします。ただし、しっかりと勉強しなくてはダメですけどね。いいですか、とっても大事なことなので2回言いました」
あまりにもドヤ顔の私が面白かったのか、村娘さんは「じゃあ、杏の苗を植えられるように頑張ります」って微笑みながら言いました。その後さらに、どうして5本の苗を植えるのかと聞かれたので、重症が治ったら5本、軽症なら1本の苗を植えてもらうように昔からお願いしているのですと私は答えました。
後に風の噂で聞いた話によると、鼻炎が大きく改善した村娘さんは見事意中の相手と結ばれ、可愛い娘や息子さんと仲睦まじく暮らしているようです。その家の東方側には10本をこえる立派な杏林ができているのだとか。
そう言えばもう一つ、時間のあるときに村娘さんに「ようせいさん」と呼ぶ理由を聞いたら、幼い聖女様を短くして、様なしで親しみを込めて呼ぶと、幼聖さん(ようせいさん)となるからだと言われました。
小心者の私は、この新たな呼び名で(リンネ式に代表される階層分類体系で見て)妖精属の方々に怒られないか、数日はビクビクして過ごしたのでした。もちろん、そんな小心者の私を老夫婦は大変に可愛がってくれて私の心を癒してくれたのでした。
シャーロックホームズの日本語版は、優しい作りで、難しい漢字をあまり知らなくてもスイスイと読めて楽しいものだった記憶があり、私もそれを目指したかったのですが、やはり難しいですね。スイスイ読めて楽しい物語が描けるようにこれからも頑張っていきたいです! でも、冷静になってみると、やっぱり無理ーーー。
リンネ式に代表される階層分類体系のファンタジー版があるならこのような感じ???
精霊界 > 小人精霊門 > 有翼網 > 妖精目 > 妖精科 > 妖精属 > 妖精種
舌下免疫療法については、広報あさか2023年5月号 (No.792)の「わたくしたちの健康」がオススメです。この他の関連情報として、
広報あさか2015年4月号(No.695)
広報あさか2009年2月号 (No.571)
砂川市立病院の広報誌ひまわり(No.79)
があります。いずれも重要な情報が記載されております。無料で読めますので興味のある方はご一読ください。
他の病気については、朝霞地区医師会「わたしたちの健康」での“記事タイトルで検索”を利用したり、和光市での一覧も便利です。大切な人々のためにも是非とご活用頂けましたら幸いです。
小さなお子さんの病気については、Youtube動画の「コアラ小児科チャンネル」がオススメです。初夏でもRSウィルスなどが流行しているため視聴をオススメします。
みほははさんの「母の勘を信じて」は共感しかないです。
予防接種については、アンサングシンデレラの第32話にも情報があります。
アレルギーに関しては下記が重要です。
マンガでわかる! 子どものアトピー性皮膚炎のケア
小児アレルギー科医の備忘録
インフルエンザについては、アンサングシンデレラの第11話も重要です。そこに書かれている情報を正しい情報元から集めてくるのも大変であるため読むことをオススメします。風邪とインフルエンザの違いについては、高知医療センター 広報誌「こころ」(2022年10月発行、第48号)にも記載があります。アンサングシンデレラでの記述と一致しており、しっかりとした監修の元で行われていることがわかります。あなたは一人ではありません。
書籍としては、病気がみえるシリーズ、標準医学のシリーズ、一目でわかるシリーズも理解には有効です。アンサングシンデレラの第4話では「病気がみえるシリーズ」が備えてあって“おお!”と感動していました。
以下はネタバレを含みます。個人的な感想です。情報元はMDSのプロフェッショナル版などもご参照ください。
ほとんどの女性で妊娠中に片頭痛は寛解(ただし第一と第二トリメスターでは憎悪)の傾向にあるため、一次性頭痛と判断するには二次性頭痛でないかを“より”疑わねばならない。このような違和感に気づいた当直の薬剤師は流石だと思いました。