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幸せの翼  作者: 悠月かな
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美しく咲き誇るリラムーン(ラフィ)

僕は、食堂での夕食を終えて部屋に戻ってきた。


「さてと…明日から本格的な学びだな…」


ソファに座り、テーブルに置いてある百科事典を手に取る。


「転記は終わったけど…この百科事典を学びにどう活かすか…なんだよね」


パラパラとページをめくっていく。


「学びのヒントになるものはあるかな…」


すると、リラムーンの木の枝がスルスルと伸び、僕の手に絡み付いてきた。


「リラムーン?どうしたんだい?」


なぜか枝は、僕の手を引き上げたり降ろしたりを繰り返している。

どうやら何かを伝えたいようだ。


「そうか…ページをめくれって事かな?」


僕が尋ねると、絡み付いていた枝がスーッとほどけた。

パラパラとページをめくっていると、再び枝が伸び僕の手を止めた。


「このページなのかい?」


そのページには、リラムーンの事が書かれている。

リラムーンは、5年に1度条件が揃わないと花を咲かせない。

希少な花だと言える。

満開の可憐な淡い黄色い花を見ると、幸せが訪れるとも言われている。

しかし、ある日突然全てのリラムーンの木が枯れてしまった為、花を見られる事は皆無となってしまった。


「リラムーンの花はやっぱり綺麗だね。この間、君が咲かせてくれた花は素晴らしかった。また、咲かせてくれるかい?」


僕が問い掛けると、リラムーンは再び枝を伸ばしページの端をトントンと叩いた。

すると、不思議な事に百科事典からリラムーンの木が何本も飛び出してきた。

僕の部屋に立ち並ぶ満開のリラムーン。

可憐な黄色い花が美しい。

その時、爽やかな風が僕の頬を撫でた。

リラムーンの木がサワサワと揺れている。

優しい風に乗り、花がハラハラと舞い落ちてきた。

手を伸ばし、花びらを掴もうとする。

しかし、花びらは僕の手をすり抜けハラハラと落ちていってしまった。

もう一度掴もうとしたが、やはり掴めない。

僕は満開のリラムーンの木を触ろうと試みる。

幹に手を伸ばすが、すり抜けてしまう。


「そっか…触れないんだ…」


しかし、満開のリラムーンは見事だ。

この美しい光景も、昔は当たり前に見られていたのだろう。

その時、一陣の風が吹き抜けリラムーンの花が吹雪となって舞い散った。


「なんて綺麗なんだ。」


止むことのない花吹雪。

僕は、この美しい光景をブランカに見せたい…

彼女と共に幸せになりたい…そんな思いが溢れ出る。

いつか、この光景をブランカと共に見ようと心に決めた。


「ブランカは、きっと瞳をキラキラ輝かせるだろうな…」


彼女の喜ぶ顔が脳裏に浮かぶ。

知らず知らずのうちに、頬が緩んでいた。


「うん。子供達の学びが落ち着いたら、ブランカと一緒に見よう」


僕が呟いた時、本棚のリラムーンが再び枝を伸ばしてきた。

開いたままの百科事典の端を、もう一度トントンと叩く。

すると、満開のリラムーンの木々は百科事典にスーッと戻っていった。


「なるほど…君は、百科事典の使い方を教えてくれたんだね。ありがとう。明日からの学びで、早速使ってみるよ」


僕は、本棚のリラムーンの幹を優しく触れた。


「君達も、いつか美しい花を咲かせてくれるかい?」


リラムーンは、僕の問い掛けに答えるように優しくサワサワと揺れていた。




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