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2 理不尽な刑罰を受けました


 国王軍の兵士が突然やってきた。

 いま倒産したばかりのギルドになんの用だろう。


 ギルド長が兵士を睨みつける。


「いきなり現れて、なんだというのだ」

「我は王国軍兵士長ザルドフ。いまから王宮に来てもらう。国王陛下の命令だ」


 国王には絶対服従。それがこの国、すなわちこの大陸の決まりだ。

 倒産したばかりのギルドの全員が、王宮へと連れていかれることになった。


 なんのために呼びつけられたのかは不明。いっさい説明がなかった。

 おそらく兵士たちも理由を知らないのだろう。




 僕たちは国王の前でひざまずいた。


「お前たちには罰を与える」


 はあ?


 国王に言われて、皆、ぽかんとなった。

 僕たちがどんな犯罪をしたというのだろう。


「お待ちください。我々は如何なる悪事も働いておりませんが」


 ギルド長は僕たちを代表して奏上した。

 面倒臭そうな顔をする国王。


「俺も詳しくは知らん」


 おいおい、ちょっとちょっと。

 事を把握していないのに、罰を与えるつもりなのか。


「納得できません」


 と、ふたたびギルド長。


「陛下に対し無礼だぞ!」


 国王直属の親兵たちがやってきて取り囲む。

 ギルド長は縛られたまま、殴られ、蹴られた。


 国王がフワーっとあくびする。

 そのあと側近に一瞥を投げた。


 たったそれだけで、側近は意味を理解したようだ。

 側近が国王に代わり、僕たちの前に出てきた。

 どうやら罰の理由について、聞かせてくれるようだ。


 側近がポケットからハンカチを取りだす。

 それを噛み締めながら、ぐいっと下に引っぱった。


「きぃーーーーーーーっ! 希少生物を絶滅させたですって? 許せませんわっ。命の重さは、人間も他生物も同じですのよ!!」


 はあ? 僕たちの表情が固まった。

 この側近はいきなりどうしてしまったのだ。


 国王が側近をジロっと睨む。


「喋り方や仕草まで、イェルネの真似をせずとも良かろう?」

「しっ、失礼いたしました、陛下」


 イェルネとは王妃の名前だ。

 すなわち罰は王妃からの命令だったのだ。


 しかし希少生物を絶滅させたって……? 

 心当たりはない。これはきっと誤解だ。


 国王が長い顎髭を掻く。


「希少生物絶滅か。うむ、確かにこれは重罪だ」

「デタラメな話です! 僕たち、そんなことしませんっ」


 僕はうっかり声をあげてしまった。

 さっきのギルド長と同様、親兵たちにタコ殴りされた。

 いたたたた。ああ、理不尽な……。


 それでも言わなくちゃならない。


「本当に身に覚えのないことなんです」


 すると国王の横目が、側近に確認する。


「と申しておるが、どうなんだ?」


 側近はこう答えた。


「はい。王妃陛下の言う『希少生物』とは『魔物』のことです。三年前、彼らが倒したのを最後に、魔物が出現することはなくなりました」



 えーーーーーーーーっ!



 希少生物って魔物のこと?

 いやいや、それはないだろ。


 だって魔物だぞ? 人を食うんだぞ?

 その根絶は全人類の願望じゃないか。

 僕たちは平和のためにやっただけだ。

 人々の笑顔が見たかったんだ。


 側近が話を続ける。


「奪われた命のことを考えると悲しい、と王妃陛下がおっしゃっています。この大陸の全魔物を根絶させましたことに、ひどく憤慨なされております」


 国王が不思議そうに、側近に問う。


「怒っているのならば、なんでイェルネ本人がここに来なかったのだ?」


「はい。現在、王妃陛下はお部屋で、串焼き兎肉を美味そうに頬張っ……召しあがっています」


 呆れ顔の国王。


「ふう。またか。まだ昼前だというのに。だからあんなにブヨブヨと太っ……。ゲホッ、ゲホッ、なんでもない。いまの話は聞かなかったことにしろ」



 ドシッ ドシッ ドシッ



 聞こえてきたのは大型動物の足音?

 いいや、違った。

 やってきたのは王妃イェルネだった。


「なんの話だい。盛りあがって」


 冷や汗を流す国王。


「い、いや……別に何も。それよりコイツらの刑罰はどうするつもりだ?」


「財産没収はもちろんのこと、逆さ磔にて鞭打ち、焼き印……。ああ、そうそう。ついでに国外に永久追放なんていいわね」


 えっ!!



 僕たちは逆さ磔にされ、鞭打ちと焼き印の刑に処せられた。


 しかしまだこれで終わりではない。

 このあと国外への永久追放が待っているのだ……。



二話目もお読みくださり、ありがとうございます!!

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