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プロローグ

初投稿です。よろしくお願いします。

 私立七ッ谷高校、全校生徒3000人超えのマンモス校。

その教室で、俺は外の風景をぼけっと眺めていた。


 だから校庭に広がる巨大な青白い光を誰より速く見つけたとき授業中にもかかわらず声をあげてしまった。



「…だから……2を……yに………代入して……………」


「おわっ」


「おーい どうした千崎。先生の話聞いてたのか?」



 不味い。あまりに現実離れした光景に思わず声がでた。いつもは声を出して驚いたりしないのに…


 先生に名前を呼ばれ、同級生からの視線に居心地の悪さを感じていると、大きな衝撃が俺たちを襲った。



「きゃー」「なに!?助けてー」「な、なんだ地震か?」


「お前たち机の下に隠れろ!」



 大きな揺れに棚にある教材が落ち、生徒たちが混乱する中、真っ先に自分が隠れた先生は、机に頭を突っ込んで情けない体勢で俺たちに指示を出していた。



「よーし、揺れはおさまったが校内放送があるまで動くんじゃないぞ」



 先生のマニュアル通りの先生の言葉を聞き、教室内がひそひそと少し騒がしくなり出した頃、さっきの光がクラスの一人一人のからだを包んだ。




 ―――




 気づくと俺たちは、あたり一帯が真っ白な空間にいた。


 ここにいるのは俺のクラスだけじゃなく、同じ制服の大勢の奴らと、学校で働く教職員。つまり、学校にいた全員がここに集められている。


 これが噂に聞く異世界召喚か。よくある異世界召喚なら、この場所はスキルか何かがもらえる神の間ってところか?



(いかにも、察しのいい者がちらほらおるようで話が早い。わしはお前たちの言う神に近い存在。 だが、お前たちは召喚されたわけではない。あちらの世界に必要とされる訳でもなく送られるのだ。)



 白い空間に老人というには力強い声が響く。その声でざわざわとしていた空間が静かになる。


 神ではないのか…。姿を見せないのはなぜだ?

 だれかの質問に答えたのか?いや、ちらほらということは俺以外にも似たように考えたやつが複数いるってことだ。全員が声を出して話したわけじゃないなら、神(仮)というのは心が読めるのか…


 俺が考えごとをしているとき、神(仮)に向かって声を上げた人がいた。



「おい。どうゆーことだよ。誰かに呼ばれたわけでもねぇってのに何しに他の世界におくられんだよ。ふざけんじゃねぇぞ姿をみせやがれ!」


 荒れてるな…。それにしてもよく3000人超の中であれだけ感情を剥き出しにできるな… この場で主導権を握っているのは明らかにあちらだというのに…


 あれは3年の遠藤先輩だな。俺は2年だから直接の関係はないが、3年のカーストトップ集団にいたはずだ。ちょいワル系のイケメンだとクラスの女子が噂してたのを聞いたことがある。


 そのとき、なんの前触れもなくそれは起こった。


 パァン!


 遠藤先輩の頭がはじけ飛んだ。轟く爆発音が時間をとめたように感じた。

 近くにいた先輩の取り巻きたちは頭から真っ赤に染められ放心している。





「「「きゃーーー」」」


 先輩の姿を見た女子生徒の何人かが、悲鳴を上げた事で時間は進み出した。


 騒ぎは段々と広がっていくが声を上げて叫んだのは初めの女子生徒だけだった。みんな目立ち先輩の二の舞いとなるのを恐れているのだ。人影に隠れその瞬間を見ていない生徒たちも先輩の成れの果てを捉え、目を背ける。中には取り乱し、嘔吐する姿もあった。



(今からみせる世界は、ジギタリス。地球とは違い、世界の果てがあり、太陽や星が周りを回る宇宙の中心だ。わしは説明を好まん。お前たち目を閉じろ。)



 遠藤先輩のことなどなかったかのように淡々と話を進める神(仮)が、短く命令すると脳に直接映像がながれこんできた。


 強制的に頭を支配する映像にすこし気分が悪くなる。確かにこれは目を閉じないと映像と視界がごちゃごちゃするな。流れる映像は見渡す限りの森林、砂漠、海などで時々姿が見える動物はどれも地球にいない形、大きさだ。流石は異世界といったところか。映像が自然から街の景色に変わった。大きな城が中央にそびえる様は、ものすごい迫力だ。


(ここは、王国の王が住む場所、王都アルラーン。あちらの世界は地球と比べると文化的に遅れておるが、魔法が発展しておる。魔法のある世界は多くはないが確かにある。

 だがそのいずれも完全に魔法が発達し切る前に滅びておる。魔法は強大ゆえに簡単に破滅を招く。魔法に完全なものは無く、わしらでさえも未だその深淵に至ることができておらん。仮に何処かに神がおろうとも認識することも今ままではかなわん。

 魔法を極め神に至らんとするための異世界、魔法のある世界。お前たちに無い、魔力を世界が与える。その量はその者の魂が耐えられる限界。つまり器が耐えればどんな魔力をも身に宿すことが出来る。長い年月を要する限界魔力量の保有を若くして手に入れる。魔力が無限に近ずけば肉体は死から遠のく。少なくともお前たちは本来の倍は生きることとなる。 

 あちらでは魔法に頼るほか生きる道は無い。そして魔法にできぬことは何一つとしてない。

 お前たちの中から共に並び立つ者が現れることを期待する。)



 それを最後に俺たちは、またもや光に包まれた。
















 白い空間。そこには二人の人影があった。そこに居るだけで圧倒する存在感は並の存在に息することすら許さない。


 そんな空気を物ともせず明るい、人を惹きつけるような声が響く。


「フフフフッ♪ らしくないなー。あんな長台詞(ながゼリフ)柄じゃないじゃん?それに期待するって、そんなこと言うなんて思いもしなかったな。気になる女の子でもいたのかな?」


 小柄な影が弾むような声音でたずねる。


「…一人……」


「ん?」


「一人いたのだ…。…な…が。」


「へぇ…自分が世界で最上なんでしょ?あなたが認めるほどの器ねぇ…」


「いや…わし程ではなかった…(()では。あれは器かどうかもわからぬ()だ。どれだけ注ごうと飲み込まれる。どこまでも深く…)」


「自分大好きは認めるんだー。」


 思考の渦にある相手に、その声はとどかない。


(ふーん。そんなに気にかけるところを見るとよっぽどだったのかな?見てみたかったなぁ。まっ機会はいつでもあるか…。魔法のある世界から魔法のある世界へ移すほうが、魔力に慣れた者の魔力を増やせるから効率いいのにさー。同郷らしいし、わざわざたくさんの魂を送ったのは意味があったのかな。)

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