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第八話 オッサンやられる

「うーん」


俺は目を開く。

見知らぬ天井……。

一体どこだここは……。


「起きました?」


リルラが俺に覆い被さるようにしてきた、だからドアップでリルラの顔を見る。


「うわっ何してんだよ」


俺は飛び起きる。

相手の見かけが少女とは言え、童貞の俺にはきつい。

て……んんんん?


「ここっこれは!」


俺は全裸だった。


「もう忘れたのご主人様!」


全裸のリルラが俺になまめかしい感じでウィンクをする。

俺が退いたベッドには、赤い血が少し付いていた。


「ええええええ~~~~っお、俺としたのか!」


リルラと俺はしたのか!

となると……大人の階段を登ったのか?


「うん」


ポッと顔を赤らめる。


「でも俺は記憶がないぞ!」


「それはご主人様が寝ている間にいろいろとね」


リルラがニヤッと笑う。


「ええええええ無理矢理になんて」


おっ終わった。

初体験を覚えてないなんて、俺ってついてない。

生まれて32年も大事に守っていた……いや、守ってはいないが、起きている時にしてくれ!

寝ている間に童貞喪失は悲しすぎる。


「私は吸血姫なんだから血の吸血ぐらいいいでしょう?目立たないように運んで、宿に泊まるのは大変だったんだから!奴隷は異空間収納に入れたままにしているしね」


「えっ?血?」


あれ?もしかしてベッドの血は俺の血?


「もちろん血を吸っただけよ……もう寝ている間に無理矢理なんかしないわよ……バカ」


バチッン


リルラに叩かれた。




****************************************************




「君たちの名前は?」


異空間収納から、二人を取り出して立たせる。

名前は異空間収納のステータス閲覧ですでにわかっているが、一応名前を聞くとする。

と……そうしたほうがいいと、リルラが言ったからだ。


「アベル……」


弟のアベルは恥ずかしそうに姉の後ろでモジモジとしている。


「ライラです。これから弟のアベル共々よろしくお願いしますご主人様」


姉のライラはお辞儀をして、弟のアベルを自分の横に出して頭を掴んで同じようにお辞儀をさせる。


「さて、ライラとアベルはご主人様に感謝しなさいよ!お前たちは不治の病にかかっていて、本来は死ぬ運命だったのだからね!」


リルラが何故か威張る。

ただ、小さい胸を突き出しているので、威張っているというよりも滑稽で可愛い。


「はい。それはわかっています。これからはご主人様のためにアベルとともに命を懸けて、仕えます」


「……つかえます」


アベルもライラを真似て言おうとするが、上手く言えなくて最後の文句だけいった。


「いいよ!いいよ!そんなに気を使わなくて、俺はレイだよ。よろしく」


俺がニコッと笑うとアベルは嬉しそうに笑い、ライラはほっとした顔をする。


「二人の親は生きているの?親の元に帰りたいなら良かったら帰ってもいいよ」


流石にこんな子供なら親も心配しているだろうし、人さらいとかで捕まっているのなら、親元に帰してもいい。

リルラはまた奴隷を必死に探すだろうけど、特に今すぐ奴隷が必要ってことでもないから、親元に帰すまでにまた見つければいいしね。


「ご主人様?せっかく購入した物なのに手放すのですか?」


リルラが不思議そうな顔をする。


「いいよ、どうせ大したことのない金額だしな。子供は親元の方がいいだろう」


「流石!マイダーリン」


リルラが俺に抱きついてキスをする。


「ううんんん」


童貞の俺には刺激が強い。

一通りのリルラの愛情表現を受けたら、その間はライラは恥ずかしそうに見て、アベルは目を皿のようして俺らを見ていた。




「私たちは親に売られていますから、もう村には帰れません。ですからアベルとともにご主人様の元にいさせてください」


ライラは悲しそうに俺に言った。


「へっ?」


親に売られた?


「はい、村が不作で金が無くなったから親に売られました。私にはすぐ下に長男のカインがいましたので、弟妹(きょうだい)たちは弟のカイン以外は売られました。ただアベル以外の弟妹は皆死にました」


「えっそれは結核で?」


うわっえぐっ。


「けっかくと言うものかはよくわかりませんが、咳が止まらなくなって皆血を吐いて弱って死にました。ご迷惑ではなければ、ご主人様の元でご奉仕させてください。村に帰ってもまた奴隷として売られます……私はもう清い身体ではないのですが、お勤め頑張りますのでお願いします……駄目ならアベルだけでもお側に居させてください」


ライラが泣いて頭を下げて訴える。


「お姉ちゃん……僕……僕からもお願いします、お姉ちゃんと一緒に居させてくださいお願いします」


アベルも涙をボロボロと流しながら、言ってくる。


「あー大丈夫だから!親元に帰さないし安心して、二人とも養うから!」


俺は二人の頭をポンポンと撫でてから、二人を抱きしめる。


「うん、姉弟愛素敵!」


リルラは目をウルウルしながら、まるで演劇を観るような目で俺らを見つめていた。




「服を買いに行こうか?あとで食事もしよう」


流石にこのズタ袋に穴を開けた服は、いくらなんでも可哀想だ。


「そういえば、まだこの宿代も払っていませんわ」


「まだこの宿に泊まるつもりだから、宿代は出る時でいいだろう?」


「いえいえ旦那様、この世界では宿代は先払いなのです。途中で逃げる人もいますし、死ぬ人も多いですかね。入る時にはうまく【魅力】(スキル)で誤魔化していますけど、宿から外に出る時は多分文句を言いますよ」


あー世知辛い世界だ。つくづく日本と世界が違うと思った。






***************************************************




「はい確かにいただきました……というか入る時に奴隷を連れていましたか?」


店の主人に一人50ギル、ただし奴隷分は20ギルでベッドがないと言う事。だから140ギル支払った。

俺がリルラに背負われて入ってくるときには居なかったはずのライラとアベルがなぜか部屋にいたから不思議なんだろうな。


「後からこっそりと来ましたから」


適当にごまかす。

不思議そうにしていたが、人数分の料金を払ったので、それ以上は聞いては来なかった。




***************************************************




「じゃあこの服とこの服、あーこれもいいわ!」


「私は……この服でもいいですよ?」


遠慮しているのか、値段の安い方を指さす。


「だめよ!女の子は服で着飾らないと!」


リルラがライラとアベルに服を選んでいるが、ライラが高級な服に戸惑っていた。

この世界では服は高級品だから、田舎育ちのライラにはびっくりしているのだろう。

予算的に一人1000ギルまでとは言ってはいるので、その辺はリルラに任せている。

アベルは男の子だからか、すでに服選びには飽きていて、椅子に座っている俺の隣に座ると、コクコクとうたた寝をしだした。


俺も暇なので異空間収納を操作して、暇つぶしにいじってみる。

あれ?なんだこれ!


【検索】とか言う項目を発見。


押してみる。


【周囲を検索します】

【はい】 【いいえ】


とりあえず、はいっと。


脳内に沢山のデータが入ってくる。圧倒的な量に一瞬眩暈はするが、倒れるほどでもはなかった。


【データベース更新完了しました】


そう目の前に文字が出る。なんだなんだ?何が変わった?

新しい項目を見る。


あっ!




***************************************************



「うふふっと」


リルラは機嫌が良かった。


まあそれもそのはず、俺の新たな能力の【検索】のおかげで、あの店に有った服全て……いや周囲にいた者が着ている服までもが【検索】をしてデーターとして記憶した。

これで【プロセス(加工)】の機能である【コピー(模写)】を使って、異空間収納内にある素材を使ってその服が作れるようになったからだ。

だから予算内で服を買うと悩まなくても、マイケルジャクソンみたいに欲しい服を全て買ったのと同じ状態だ。

宿でリルラが欲しい服を選んで、俺が作って出せばいい。


まあ作れるのは服だけではなく、近くに有った全ての物が作れるみたい……とてつもない機能だった。

これからは検索すれば、半径100メートルの物がいつでもデータを更新してなんでも作れる。ただ材料は必要で異空間収納の中にそれを構成する素材はいるみたいだ。あとで布の元になる素材を沢山購入しておこう。


例にもよって物陰に隠れてライラとアベルを収納し、二人が着ているズタ袋の服を模写コピーによって服に変化させた。

店にとっては金を払わない冷やかしの客になっただろうけどな。


「ご主人様……似合ってますか?」


ライラが着たばかりの服を、恥ずかしそうに俺に見せてくる。

白色のワンピースで、茶色の瞳と髪によく合い、とても似合っていた。


「うんうん、すごく似合っているよ」


そう言うと顔を真っ赤にして、微笑んだ。


「僕のは?」


アベルもライラを真似て、服を見せてきた。黄色のシャツに半ズボンで少年らしい服で似合っている。


「似合っているよ」


アベルの頭を撫でるニコニコと嬉しそうに笑う。童貞なのに二人の子供が出来たみたいだ。


「じゃあ飯にするか?」


「「はい」」


二人ともお腹が空いているのか、ライラとアベルが嬉しそうに見えない尻尾を振っているように見えた。




***************************************************




飯屋に入ると二人に好きなだけ食べさせた。

リルラの方は全く食べない。俺の血を吸ったからいらないと言っていた。

俺は簡単なパンと肉とスープを頼んだが、俺にはこの世界の食べ物は口に合わなくて、少し食べたら残りをアベルに上げた。

今度日本の料理を作ってもいいかな。



正直今はお金はいらないから、冒険者の仕事をするほどではない。

魔物を収納してから、武器や防具に変化させてから売った方が、断然お金にはなる。


ただ、リルラが……。


「ご主人様にはバンバン魔物を倒してSランクの冒険者になってもらいます!」


そう言った。

Sランクなんて無いのに……。

まあ確かに、このまま商人のふりをして武器屋で物を売っていれば怪しまれる。それよりは冒険者の仕事をしていたほうがいいとは思う。

そして何度も武器を売りに行くと、変に思われるかも知れないのと、買い取る限界もあると、リルラに言われたからだ。


「じゃあ明日は冒険者ギルドで依頼を受けて仕事をしてみるか?」


「はいご主人様」


俺はリルラの言う通りしている。

だって怖いもん。


**************************************************




いろいろと町を探索して、必要な物を購入してから、宿に戻った。

荷物を持たなくてもいいのは便利だ。

リルラが言うには、異空間収納の中は時間も停止しているから、劣化もしないと言っていたので、鮮度の落ちやすい食料品もたくさん買った。


部屋に入ると俺は【変身】のスキルを解除する。

ライラとアベルには、俺の本当の姿を知ってもらっていてもいいかなと、思ったからだ。

それと【変身】している間は、魔力を微妙ながらも消費し続けているみたいで、徐々に力が抜ける感覚が落ち着かない。


俺の本来の姿を見た二人は、初めは驚いていたがすぐに慣れたみたいで、俺がベッドに腰掛けるとアベルがすぐ横に座ってきたぐらいだ。


「ではでは、今日のメーィンイベント!」


部屋でまったりとしていると、そんなことをリルラがそんなことを言いだした。


「メインイベント?」


「はい!ご主人様の貞操を全て頂くためのイベントです!私がたっぷり楽しんだ後にはライラたちにもご主人様の身体を楽しませますから安心してください」


「へぇ?」


なんかとんでもないことを言ったぞ!

俺があまりの事で固まっていると、リルラが俺をベッドに押し倒してきた!


「アッーーー!」


俺は悲鳴をあげた。



***************************************************



翌朝、宿を出る時に。


「昨日はお楽しみでしたね」


朝まで弄ばれて疲れ果て、目の下に隈を作った俺に、宿屋の主人がそう言ってきた。


タイトル通りにやられたオッサン。

ノクターンではないので細かいシーン省きます。


次回「勇者パーティーのその後」

見てくれよな






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