第六話 オッサン冒険者ギルドでからまれる
街中を探索していろいろと回って時間を潰した後、武器屋でお金を受け取ると俺は武器屋をでた。
「おっ重い……」
金貨が50枚も入った袋は重かった。
俺には異空間収納があるけど、これがないこの世界の人って大変だな。
金貨を持ち歩くなんて、ただの罰ゲームとしか思えない。こんなので魔物とかと戦えないだろう。
「ご主人様、それは突っ込んではいけない領域です!なろう読者は気にしてません」
なんでリルラは、俺が考えていることがわかるんだよ?
まあいいや、さっそく冒険者になるぞ
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「いらっしゃい、今日はどんなご用件で!」
「却下です。受付嬢は若くて可愛い、お節介焼きの親切な女の人を希望しま……モゴモゴ」
「すみません、うちの子が!初めてなので緊張していて! 」
リルラがとんでもないことを言いだした。受付の男性を女性にしろと文句言いだしたのだ。
「受付は可愛い女の子ではないと読者が引いてポイントが激減します!ブックマークを増やすには女の子でないと!」
俺が塞いでいる手を口から外して、リルラが叫ぶ。
「いやいやなんだよ! 読者やポイントやブックマークって! 」
リルラのこだわりがよくわからん。
「お嬢ちゃん、受付を若い女の子がすると、周りの厳つい男達が興奮して騒ぎばかりを起こしてね。全然仕事にならないんだよ。その上いざなんかの騒ぎがあった時には、女だとオタオタするばかりで止められないから仕方ないんだよ」
受付のガチムチ体型で30代ぐらいの厳つめの男は、リルラを説得するように優しく言った。
確かに女の子だと、ナンパしたりちょっかいをかける人とかがいると思う。
「ぬっぐぐぐう」
リルラは悔しそうに受付の男を睨む。
「すみませんでした。俺が冒険者になりたいのですがいいですか?」
話を変えるようにそう言った。
「すまないね、希望をかなえられなくて! 登録だね、文字は読めるかい? 無理なら俺が代筆するよ」
そう言って紙を出してくる。
「はい文字は読めます。大丈夫ですよ」
識字率があまり高くない世界だからな……てか言語能力のスキルがあってよかった。
ダンジョンに捨てられなかったとしても、このスキルがなかったら言葉も通じない世界で、一人ボッチにされたらと思ったらゾッとする。どれだけ大変だったことやら……。
「これに名前と得意な戦闘型とか書いてくれたらいいよ」
特に難しいことはなく、名前と戦闘時のポジショニングを書くぐらいだ。書くところがそれぐらいしかない。
俺が戦闘をすると、ただ目の前の敵を収納するだけで勝てるけど、剣で戦うタイプではないので後方支援系と書いておくか?
「これでいいですか?書くところが少ないですね」
俺はギルドの受付に渡す。
「うんいいよ、冒険者なんかは沢山いるから細かいこと気にしていたら仕方ないからな、10ギルいいか?それか入場券とかがあったらそれでいいよ」
「はいこれですか?」
俺は入場券の木の板を男性職員に渡す。それをチェックするとノートみたいなものに色々と書き込みをした後に、奥から名刺大の銅の板を取り出してきて、それにノミと金槌を上手く使って俺の名前をあっという間に彫ってから渡してきた。
「これがギルドカードになって身分証明書になる。これで街に入る時の入場料は払わなくてよくなるよ」
「おーそれはよかった」
今は金には困ってないけど、毎回払うのはめんどくさいからな。
「冒険者は50日に一度10ギル払ってな。それが冒険者としての会員費とこの街に税金になる。無くしたら再発行はするけど10ギルはもらうよ」
「なるほど」
俺の場合は異空間収納があるから、なかなか無くすことはないだろう。
「依頼とかはそこの壁に貼ってある依頼を受けたらいい。わからなかったら直接受付に聞いてくれ。これで登録完了だよ」
結構簡単だな。
「えーギルドカードに血の登録は?それでステータスの確認は?ランクがA、B、Cと有って、一番強いランクがSランクになるとかの説明は? 」
隣でリルラが騒ぎだす。
「えーと……ギルドカードに血の登録なんかないし、ステータスなんかは他人に知られるのを嫌うよ? 自分のレベルとかスキルとかを他人に知られたくないし、大体A、B、C?ランク?Sってなに?何の言葉だい? 」
優しく諭すように言う受付の男性職員に対して。
「ギルドカードにお金が入るとかはないの!」
リルラが食い気味で受付の男に食って掛かる。
ギルドカードはどう見てもただの銅の板だ。その板の上に俺の名前が彫金されてあるだけ。これに財布や電子マネーのチャージみたいな機能があるわけない。
大体、こんな科学がない世界で、そんな機能が作れるわけがない。
俺はリルラを掴み引き剥がす。
「すみません、今日出てきたばかりの田舎者なのですみません!ありがとうございました」
男性職員に謝りながらリルラを引き剥がすようにしてカウンターから離れる。
リルラが騒いだためか、かなりの注目の的だ。
「結構元気な子供だな、子供連れでは冒険は大変だぞ」
そう言って俺に緑の髪の30代ぐらいの男が近寄ってくる。
「はあ、まあ……」
冒険者だから少し厳つい顔しているけど、日本人から見たらイケメンで、優しそうな雰囲気をバンバン醸し出している。
「ご主人様、これはいわゆる絡まれてます!新人潰しですよ!」
リルラが耳元でささやく。
「いやいや違うだろ」
向こうはリルラが騒ぐから、近寄っただけだ。
「絡まれたからには、ここは力を見せつけないといけませんね!血祭りにあげてやりましょう」
リルラの目が光る。
「いやいや止めて!向こうはそんな気無いから!これ以上の注目はされたくないから! 」
俺の胸の中でバタバタと暴れるリルラ。
もー勘弁して!
「大丈夫か?」
近寄ってきた男が不思議そうに見つめている。
「はいすみません!うちの子は、田舎者なので都会にきてテンションが上がって」
リルラには悪いが、悪者になってもらう。口を手でふさぐ。
「うちの子もそんな感じだからな……それよりも大丈夫か?手が噛まれて血まみれだぞ? 痛くないのか? 」
「へぇ?」
リルラが俺の手をガジガジとカジって、血まみれになっている。
「うわっ失礼いたしました!」
リルラを小わきに抱えて冒険者ギルドを出て行った。そして人気のない物陰に隠れる。
「ご主人様、なにをするのですか?」
リルラが不思議そうに俺を見つめる。
「なにをするってこっちのセリフだ!」
血まみれの手を出して見せる。ただ不思議と痛くはない。
「レディーの口を塞ぐからですわ!そんな乱暴されると血が飲みたくなるのが当然です」
「いやいや当然ではないって!」
俺がそう言っても何事も無かったように俺の手を舐める。
「うん、美味しい」
血を舐めていくと不思議な感じで傷がまるで何も無かったかのように消えていく。リルラが回復をしてくれているみたいだ。
満足そうなリルラを見てふと思う。
……俺、このままリルラとやっていけるかな?
かなりの前途多難である。
面白かったぞ!続きも読むぞ!更新頑張れよ!
オッサン頑張れ!リルラ可愛い!
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オッサン冒険者ギルドでからまれる
↓
オッサン冒険者ギルドでかまれるでした。
テンプレ
*町の入場料
*ギルドカード登録料
*金貨の重量問題
*受付嬢が可愛い女の子でお節介焼き
*ギルドカードが血で登録
*ギルドカードの電子マネー化
*絡んでくる新人潰しの冒険者
あえてなろう系テンプレをスルーさせました。