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第五話 オッサン武器屋に寄ってみる

「うううう……やっと着いたよぉぉぉーーー!」


ダンジョンから近くの町は、ユーキ達がいるかも知れない。

ばったり町で会うのが嫌なので近くの町に行くのを止めて、召喚された城のある王都に来ている。


ただ俺が歩くと移動に時間がかかりすぎるので、リルラの背中におんぶをされてからの爆走&空を飛んで移動された。


今までに乗った事のあった、滅茶苦茶怖いと言われていたジェットコースターの100万倍は怖かった。


「キャーーー止めて止めて」と叫んでもクスクスと笑うだけで、止めてくれないので正直32歳になるけど、怖くて泣いてしまった。


リルラはきっとドSだ。

俺の泣き顔を見て恍惚な顔をしていた。

このままだと俺の精神が持たない。

だからリルラの言う通りに、奴隷の購入をすることに決めた。

奴隷がいたら、こんな運ばれ方をされることが無いと思うからだ。

多分……。


「ご主人様、今の姿ではすぐに稀人(まれびと)と身元バレするので、変身というスキルを使い、変身してもらえますか?」


そうリルラが言ってくる。ちなみに稀人というのは、俺みたいな召喚された異世界人の事だ。

この世界では、日本人の顔と黒髪と黒い瞳はかなり珍しい容姿になる。だからすぐにバレてしまう。

わかりやすく言うと、日本ではド田舎に白人や黒人が歩いているぐらいの騒ぎになる。

街を歩くと子供たちに、サインを求められたぐらいだ。


「わかった、どうやって使えばいい?」


「使おうと思ったらAR表示的に画面が見えませんか?なろう系ではそれが基本の操作方法です!」


「だからなろう系って!それってなんだよ!」


「深く考えてはいけません!感じるのです、フォースの感じるままに」


リルラはまるで仏像のようなポーズをする。

うーん時々リルラとは、話が通じなくなる。大体フォースってなんだよスターウ〇ーズか!なぜネタを知っている。


相手をしているとなんとなく面倒くさいので、変身スキル出ろと念じてみると、目の前に画面が出てくる。


「おっほんとに出てきた」


「ではそれをタッチパネルのように触って操作してください。それで変身できます! 変身するときは『変身!』と叫んでください」


「それって必要? 」


ここには二人しかいないからいいけど、後で絶対に自己嫌悪が来る奴じゃんそれって……。


「あくまでも私の趣味です。それがなにか?」


リルラのにっこり笑顔が怖い。やればいいんだろ!


俺は操作して変身の項目にある【村人 男A】という項目をタッチする。


「……変身」


恥ずかしいので小声でそう言いながらタッチすると、俺の姿が変わるのがわかる。


「もう少し大きい声がいいですわ」


リルラが残念そうな声で言う。


「……すみませんでした」


俺が謝ると、


「んー、この恥ずかしがるプレーもいいわ」


なんだよそれ?

とりあえず確認しようと近くにあった水たまりを覗くと、以前にユーキが殴って大怪我をさせた村人の男の顔になっていた。


「これって?知っている人の顔になるのか?」


「はい、ご主人様が触れたことのある人に変身することになってますよ!ですからご主人様が女性に変身したら私と百合プレー(レズ行為)もできますわ!今度女性に触れてもらえますか?」


「いや……けっこうです」


俺が女性に触れたことが無いから、変身できないことはわかっているみたいだけど、俺から触れるとか、ましてや百合プレー(レズエッチ)をするつもりはない。



***************************************************




「旦那、城下町の身分証明書、なければ通行料50ギルだ」


街に着くと門番のごつい筋肉質の男達が金を要求する。

大きい街に入るのに金がかかるのだ。理由は街を包むようにある、外壁の維持管理のためらしい。


ただ俺はお金を持たせてもらっていないので、払ったことがなかった。

……というか勇者特権であいつらも払ったことが無いはずだ。王様が発行した書面を見せるだけで、通行料どころか宿などのほとんどの施設がただで使えた。


「今金がないんだけど、中でお金作ってからでもいいかな?」


と聞いてみる。


「あーダメダメ、そう言って払わない奴が多いから、近くの村で金を作ってきてから出直しな」


そう言ってごつい門番が手のひらで、シッシッと追い払うような態度をとる。


「賢明な読者様に説明すると、1ギルは約100円ぐらいの価値があって50ギルということは5000円の価値があります。1ギルは青銅貨1枚、10ギルが銅貨1枚、100ギルが銀貨になっていきます。1000ギルが金貨1枚で10万円の価値があり……」

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「おーいリルラ、どこを向かって何を喋っているんだよ」


リルラがなにもない方向を向かってぶつぶつ独り言を言っている。


「なろう読者にテンプレ通りお金の種類を説明をしようと思いまして、まず金貨の単位までを説明するのが基本ですから」


「何言ってんだよ、わけわかんないよ」


リルラがときどき変なことを言う。


「それは失礼しました、お金の件ですねお任せください」


そう言うと門番達に近づく。


「なんだいお嬢ちゃん」


門番の男が不思議そうにしてリルラを見る。


「私たちを無料で通して」


リルラがそう言うと門番達が頷く。


「はい、こちらを持っていってください、入場券になります」


目の焦点が合っていない門番が、木板で出来た入場券を渡してくる。


「ご主人様、行きましょう」


木板を受け取るとリルラがスタスタと中に歩いていく。


「今のは?」


「吸血姫のユニークスキルの【魅了】ですわ、これで相手を一時的な使役下に落としてなんでも言う事を聞きます。まあご主人様のように異常状態を抵抗できるスキル持ちには効かないですけどね」


「あーなるほどよく吸血鬼が使う催眠術みたいなものか?」


「吸血姫ですわご主人様!」


「イタタタ」


リルラが俺の耳を摘まむ。




***************************************************




「ここが冒険者ギルドですわ」


ちょっと石で出来た大きめの建物だ。

地方都市のハローワークぐらいの大きさの感じだ。


「どうすればいい?」


「では中で登録……と言いたいところですが、登録料がかかります。また【魅了】を使って無料としてもいいですが、人が多いところだと怪しまれますわ」


「確かに」


さっきみたいな一対一での対応ならいいけど、他の人がいる場合は間違いなくばれてしまう。


「ですから武器屋で売りましょう」


「えっ?なにを?」


俺は異空間収納に入れているダンジョンにいた魔物の死骸しか持ってないぞ。

これが売れるのか?


「ご主人様の力を持ってすれば簡単にできます、こちらへ」


リルラに武器屋に連れていかれる。


「へい、らっしゃい」


上半身裸の暑苦しそうな中年男性が出てくる。


「いかにも武器屋って風貌ですね……」


リルラがあきれたようにそう言う。


「おい!リルラ」


いくら何でもそれは失礼だろ。


「いいってことよ、子供はそれぐらい元気がなくては?何をお求めで?」


気の良い人で良かった。厳つい顔でも優しそうだ。


「ここでは武器や防具の買い取りとかを、していますか?」


リルラがそう聞く。


「まあしているよ、物の状態さえよければな!痛んだのはなしだぜ」


そりゃそうだ武器や防具は高いから、中古でもいいって人がいるだろうけど、用途が用途だけに傷が多いのが多く、壊れたような奴は引き取れないだろう。


「宿にはありますから、後で持ってきます、ねえお父様」


「お父様?……イタタタ」


そう聞き直すとリルラが俺の足を踏みつける。


「あらごめんなさい、間違えて踏みました」


あー話を合わせろってことか?


「そうだな、リルラ」


「そうかいまあ持ってきてくれたら見るよ」


武器を買ってくれる客でないとわかったから、少し残念そうにしている。


「良かったら武器とか見せてもらえる? 」


「おおっもちろん良いぜ! 自慢の一品ばかりだ、いくらでも見ていってくれよ! 買うならお安くしとくぜ! 」


リルラがそう言うと、武器屋の親父はまるで自分の作った武器を買ってくれるようにセールスをする。


「はい」


そう言って鎧や武器を見る。

今の俺はナイフしか持っていないから、金が入ったら剣ぐらいは買っていくか?と思いながら見ていく。


「お父様、全部の商品を触れて確かめていきましょう」


そう言って俺にウィンクをする。

何か意味があると思い、言った通りに触れながら全部の商品を見た後。


「またお邪魔します」


と言って武器屋から出て行った。

リルラに連れられて物陰に隠れている場所に連れていかれる。


「ではご主人様、収納した魔物の素材を使って、鎧や武器を製作しましょう」


「えっ?製作?そんな技術はないよ」


技術がないというか、作ったことが無い。


「ご主人様の能力なら大丈夫です。では魔物の素材を元に、今触った武器等を作れるかどうかを考えてみてください」


「あっうん」


リルラの言った通りに考えると、目の前にいくつかの鎧や武器等の映像が浮かぶと、それを加工するかとかの選択画面が出てくる。


「それを加工すると選択してください」


例にもよって浮かんだ画面を操作して選択していくと、


【加工しますか?】

【はい】【いいえ】


表示した画面が見える。


【はい】を押すと身体の中の何かが、抜けていくような感覚がする。


【上手にできました】


そんな画面が浮かぶ。


「ではご主人様出してみてください」


その物を出した見ると……。




***************************************************




「なかなかすごいぞこれ!新品か?傷一つないぞ」


武器屋の親父は驚いていた。


何せ魔物の素材で作った防具や盾、そして武器が大量にあったからだ。


近くにあった商人の馬車の荷台を、リルラの【魅了】で借りてから、異空間収納から荷台に出してここに持ってきたからだ。


「はい全て新品です。実は隠してたのですが、貴族に言われて大量に仕入れたのですが、もう間に合っていると引き取り拒否されて困っていました、できるだけ高く買い取ってもらえませんか?」


とリルラがこう言えといった通りの事を言うと、


「全部合わせて1万5000(金貨15枚)ギルでどうだい」


「駄目です赤字どころか、飢え死にします!5万ギル(金貨50枚)です」


「いやいや高すぎる、良くて1万8000(金貨18枚)ギルだな」


武器屋の親父も食い下がる。


「駄目です、絶対に5万ギル(金貨50枚)!それでも赤字ですよ、ここに売っている武器や防具の質と値段とかの儲けを考えたら、6万ギル(金貨60枚)で買っても、損は全くないはずですが?無理なら他を探します」


リルラの鑑定能力では、全て合わせると販売価格7万ギル(金貨70枚)ものだ。買い取り価格も6万ギル(金貨60枚)が妥当と出ていたぐらいだから、大量にあるからと安く買いたたかれても、5万ギル(金貨50枚)は固い。


気の良さそうな感じがしたのは、俺の気のせいだった。かなりせこい親父だ。


「ちっ……商売人め……わかった5万ギル(金貨50枚)で買おう、ちょっと一時間半はど待っていてくれ!金を商人ギルドで借りてくる」


そう言うと武器屋の親父は店を閉めてから出かけていった。


「ご主人様ナイスなのだ!」


リルラが手を上げてハイタッチを要求する。

それよりも……なのだ?まあツッコミはあえてしない。


「リルラ、ナイス」


俺は少し恥ずかしいが、リルラとハイタッチをした。



元手0ギルで5万ギル(金貨50枚)……つまりは500万円だよ。

便利すぎるこの能力!


さてさて、次回はどうなるでしょうか?


1.オッサン冒険者ギルドで絡まれる

2.オッサン奴隷を買う

3.オッサン犯される


オッサンに未来はあるのか?


うわぁぐぐぐ(サザエさん風)


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お願いします。

感想もください。



テンプレ

*黒髪珍しい

*黒い瞳珍しい

*便利な錬金術

*ご都合展開

*稀人

*AR表示

*金貨とかの円に換算する価値説明と銅貨何枚で銀貨になり、銀貨何枚で金貨という説明

*ギルドがある

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