訓練③
「訓練ではまずは素振りから始めるのね!勉強になるわ!」
「無駄話はやめろ!!」
「はい!」
キウラに怒鳴られてもうれしそうにアリアネスが素振りを続ける。どうも誰が最後まで素振りをし続けられるかを競うものらしい。何十分も続けていると、少しづつ「もうだめだぁ!」といって床に座り込むものが出てくる。しかしアリアネスは笑顔で素振りを続けていた。
「素晴らしいわ!これを続ければ二の腕痩せにもつながるかもしれないわ!」
「しかし、腕が太くなる可能性もあります。あまりに大きくなるとドレスを作りなおさなければならなくなります。」
「それは問題ね…。」
「無駄口をたたくなと言っているのが聞こえないのか!」
「っ!!」
黙らないアリアネスに業を煮やし、キウラが木刀でアリアネスの肩を強打する。
「何を!」
セレーナがキウラを睨み付けるが「こんなこと団員なら日常茶飯事だ!それともお嬢様だから免除されたいのか?」
「セレーナ、よいのです。わたくしは大丈夫。黙って素振りを続けますわよ!」
「はっ!」
もくもくと素振りを繰り返すアリアネスをキウラが悔しそうに見つめる。結局1時間素振りを続けたアリアネスとセレーナを「止め!」とアルフォンソが止めた。額にじんわりと汗を浮かべたアリアネスがふーっと息をはく。
「さすがにきついわね。」
「次の剣技の訓練の前に休憩をとる。5分後に集合だ!」
「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」
アルフォンソとルイが修練場を後にする。アリアネスも水分補給をしようと水場に向かう。
「…道具係を誑し込んで、軽い木刀に変えてもらったか。俺もぜひお相手してもらいたいぜ。」
地面に座り込んでいた団員の一人がにやにやと笑いながらアリアネスに声をかける。
「軽くなきゃ、1時間も素振りするなんて無理な話だ。さっそく特別扱いとは羨ましいことだ。」
ほかの団員も話に乗ってくるが、アリアネスはその声を無視した。
「…行くわよ、セレーナ。」
「…はい、お嬢様。」
逃げるのか、お嬢様!と後ろから聞こえる冷やかしの声にアリアネスは一切耳を貸さなかった。




