入団⑦
「私を無視するな!!」
赤毛の女がどんっと机をたたくが、やはりアリアネスは目を向けようともしない。
「気位の高いクソ女め!体を喜ばせてくれる男にしか返事をしないのか?伯爵令嬢とは名ばかりで娼館の女と一緒だな。見た目からしてそうではないか!」
全く自分に関心を向けないアリアネスに苛立ち、女が大声で侮蔑の言葉を吐く。
「おいっ!」
あまりのいいようにルイが止めようとするが、女の口は止まらない。
「汚らしい肌の色の女め。お前がなんと呼ばれているのか知っているか?どんな男にでも股を開く雌犬さ!節操のない雌犬が生まれて伯爵家も地に落ちたな!」
「…セレーナ。目をつぶっておきなさい。これから起こることは決してお父様とお母様には伝えてはいけません。」
「かしこまりました。」
セレーナの返事を聞くと同時に、アリアネスが先ほど床から拾った短剣を女に投げつける。あわてて剣を抜き短剣をはじいた女が前方を見ると、目前にアリアネスが迫っていた。
(はやいっ!)
豪快に机の上の料理を蹴散らしながら突進してくるアリアネスを脅かしてやろうと、剣を振りかぶるがそれでもアリアネスのスピードは緩まない。
「このクソ女がぁ!」
怯まないことが気に入らない女がアリアネスをたたき切ろうとすると「そこまで!」といってその剣が弾き飛ばされた。アリアネスも女の直前でその進路を阻まれる。
「私闘は禁止だ。忘れたかキウラ。」
「しかし!こんな女、団員とは言えません!」
止めに入ったアルフォンソに女、キウラが抗議する。




