余命三ヶ月の少女と青年の話
余命三ヶ月の彼女はジッと外を見つめていた
何をするでもなく、ただ外を眺めている
彼女には愛する人がいて
もう一度外で自由に生きたいと願った
だがそれは叶うことはないのだろうと
彼女自身が諦め始めていた
否、諦めている
「……愛してるのよ」
ふと顔を上げて部屋の入口を見つめた
そこには顔を伏せた青年が立っていた
彼こそが彼女の愛する者で、未来を誓った者だった
ぼんやりと外を眺めていた彼女は
彼の方を向き柔らかく花のように微笑む
「貴方のこと、愛してるわ」
儚くてガラス細工のように繊細な笑顔
それを見て青年は静かに泣き崩れるのだった
なぜ彼女が…
その問に応えるモノは存在せずに
三ヶ月後…彼女はその笑顔のまま静かに息を引き取ったのだった