悲劇SHOW ―被害者:K―
放課後、俺は足早に屋上へと駆け上がった。
教室で少し時間を食ったから、もしかしたら遅刻なのでは、と思ったからだ。
屋上へ着くと、大介と…水星がいた。
が、何故か企画者の愛乃がいない。
「あれ?アイツいねぇの?」
愛乃のことなら、多分水星の方がよく知ってるだろうと思った。正直聞きたくはなかったが。
水星はこちらをチラ見するなり、こう言った。
「いやぁ彼氏さんだから?やっぱ?彼女さんのことが?心配なのかな?」
…コイツ!!ほんっとうに腹が立つ!!
「当たり前だろ…って、オイ!!」
あぁ、やっちまった。つい本音を口に出してしまった。
「当たり前?やだ〜。本音が口に出てるよ、ヒヒ」
案の定、追い打ちを食らった。
コイツは口で言っても聞かないようだ。
軽く殴ってやろうと手をあげた瞬間、大介に腕を抑えられた。
「…だめ。」
物凄くじっとりした目で訴えられたので、流石に、引き下がるしかなかった。
そんな下らない事をしているうちにアイツがきた。まぁ、理由はなんとなく察している。少し怒りの感情と疲労の感情が表情に滲み出てる。
「またクラスメイトに絡まれてたのか?」
クラスメイトに呆れ…お疲れさんという意味でうっすら笑みを浮かべてみる。
まぁ、アイツが結構大変だって言うことは知っているつもりだった。