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先代勇者は隠居したい(仮題)  作者: タピオカ
港町ベ・イオ編
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修道女は見た

 まだ陽が昇ったばかりの、空気が澄んだ時間帯。

 夏を間近にしながら少し肌寒さを感じるような空気がベ・イオの街を包む。

 そんな、一部の人間しか起きていないような時間にベルナデットは目覚めてしまった。


 「ふぁ……」


 大きな欠伸をすると、ベルナデットは寝間着を脱ぎながらベッドから立ち上がる。

 早くに起きてしまったのなら二度寝をすれば良い。

 勇ならそんな事を言うだろうが、陽が登った後に起きたら神への祈りをしなければならないのが教会の教えなのだ。

 修道服に身を包むと、胸元から簡素な銀製のロザリオを取り出し陽に向かって膝を付く。


 一日の始まりに、神の加護に感謝する。

 祈りを終えて立ち上がったベルナデットからは、眠気が吹き飛んでいた。



 少し早めのお祈りを終えた私ですが、早くに起きてしまったせいで手持ち無沙汰になってしまいました。簡単に言うには暇です。

 私のせいで戦う事になってしまったヤシロさんの為に何かできないか、と愚考してましたが、この街に来るまでの間に、「お前は飯を作るな」と言われてしまったせいで朝食を用意してあげることもできません。


 ……あんな大見得を切っておいて負けた私。本来私が矢面に立たなければならないのに、興味心でヤシロさんを誘っておいて、ヤシロさんにだけ戦わせている。そのクセ役にも立たない今の現状は、とても苦痛です。


 ヤシロさんのお役に立てないか考えていると、隣のヤシロさんの部屋から、扉を開ける音と足音がするのに気づきました。

 足音は遠ざかり、階段を降りて行く音が。


 どうやらヤシロさんも早くに目が覚めたのでしょう。

 普段寝坊助さんなヤシロさんが早起きとは珍しいです。


 緊張感で早く起きてしまったのでしょうか?

 激励だけでも出来ないかと思った私はヤシロさんを追い掛けます。


 「んじゃ、裏庭借りますよ?」


 「あんまり散らかさないでくださいね?」


 「軽く体を動かすだけだって昨日言ったじゃないすか」


 扉を開けてすぐ声を掛けようとすると、ヤシロさんと宿の亭主との会話が聞こえてきました。

 裏庭? 運動? ……緊張を解すため、でしょうか。でも昨日、と言ったし……。


 私が少し考えていると、パタン、と裏庭への扉が閉まる音がしました。


 「おはようございます、亭主さん」


 「あ、おはようございます。貴女も裏庭ですか?」


 「?」


 二階から階段を降りながら亭主に挨拶をすると、意味のわからない問いを返されました。


 「あまり広くはないですが、使うのでしたらどうぞ」


 そう言って亭主はフロアの掃除をし始めました。

 

 「運動……腕立て伏せとかスクワットでしょうか?」


 あまり広くない所で行う運動とするとこれらしか浮かばないのですが、これらなら部屋ですれば良いと思うんですが……確認すれば済むことですね。


 裏庭へのドアをゆっくり開くと、


「っしょっと」


今まさに上半身裸になったヤシロさんの姿が!


(わ! わわ! な、なんで脱いでるんですか!? へ、変態だからですか?変態だからなんですね!?)



 変態とは知っていましたが、まさか露出趣味まであったなんて!

 いや、わかりますよ? ヤシロさん結構良い身体付きしてますもん。セクシーですもん。でも、だからってそれを晒して悦に浸るなんて良くありません! 不健全です!

 ……外でではなく裏庭なのはまだ羞恥心があったからでしょうか?


 などと考えていると、ヤシロさんは腰に付けたポーチから一振りの剣を取り出しました。

 蒼い刀身は宝石のように透けて、輝いている。

 一目見ればわかります。あれは間違いなく『魔剣』です。それも相当の業物! 

 何故そんなものをヤシロさんが持っているのかは置いておくとして、ヤシロさんはその魔剣を両手で掴み、ゆっくりと身体を動かし始めました。


「あれは……素振り?」


 振り上げて降ろす。振り上げて降ろす。

 そんな普通の素振りをひたすら繰り返し続け始めたのです。


 しかしよく見ていると、ヤシロさんの額には汗がにじみ始めました。まだ始めてまもないのに、です。


 「なんで、たったあれだけで……」

 「勇のアレは全身の筋肉をくまなく使用しているんだ。並みの運動以上にキツいぞ?」

 「!? ゆ、ユースタスさん?」


 突然背後から声を掛けられ、驚いて振り向くと、そこにはジャン・ジャック・ユースタスさんが居ました。


 「ジャンで構わない。まぁ使っている……と言うよりかは、制御していると言った方が正しいか。……彼はアレを日課にしているんだ。自身の身体がどこまで動くのかを知るために。そしてその再確認のためにね」


つばの丸い羽根付き帽子を指で持ち上げながら言うユースタスさん。


 「日課? でも、今までヤシロさんがこんなことしてる所、見たことないです」

 

少なくとも、私がヤシロさんと出会ってからはりさえ見てませんでした。


 「だから今日のように朝早くからやっていたのだろう。自由奔放な性格に見えるだろうが、その実真面目で、努力家でね。こういった事は意地でも続けるタイプなのさ」


 やれやれと言った感じにため息をついたジャンさんは息を大きく吸って、


 バンッ!


 「勇! 神に仕えし修道女が、半裸の君を見て興奮しているぞ!? これは背徳的だとは思わないか!?」

 「なにを言っているのですかアナタはぁぁぁぁっっ!!」


 裏庭へのドアを蹴破って叫んだのです。

 まだ陽が登ったばかりの、空気が澄んだ時間帯。そんな、一部の人間しか起きていないような時間だと言うのに!

 くぅっ、失念してました! いくら偉人だとしてもヤシロさんの知己、変態に準ずる性格の持ち主だとは……っ!!


 「……い、いやん」


 そして当のヤシロさんはと言うと、女の子のようなポーズで身体を隠すのでした。

お待たせしました、最新話です。


いやぁ、前回のゲームの話ですが、もちろんと言うかなんと言うか、担当の人に怒られました(笑)メールでですが。


そろそろ真面目に行かないと見捨てられちゃうので頑張ります。


ではまた次回!

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