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先代勇者は隠居したい(仮題)  作者: タピオカ
リズワディア学園編
46/192

先代勇者の熱血指導? その2

襲踏。


一度でも中二に足を踏み入れた者ならば聞いたことがあるだろう、『縮地法』。

その縮地法から発展した、超高速戦闘用の歩行術。



と言う設定だった……

、のだがこの世界に来て実際にできてしまった技の一つでもある。


「そーだな、まずはお前ら、そこから前に十歩いて見ろ」


「え?」


「良いから」


俺の言葉に首を傾げた生徒一同。

アリシアが最初に歩き出した事により、ようやく皆歩き出した。


良し。皆十歩歩いたな。歩幅や歩き方にばらつきがあり、十歩でも生徒間に少しだが差ができている。


「んじゃ次は足の先で地面を後ろに蹴るようにして歩いてみろ。歩幅は意識するな? 足にだけ力を入れてみろ」


そしてまた元の場所へ歩いて行く生徒達。大げさな動作をする生徒もいるが、十歩歩いた後には皆、気づいたようだ。


「結構歩く速度が変わったろ? 簡単に言えば襲踏はこれをすごくしただけだ」


馬鹿げた脚力で瞬間移動みたいな速度を出すだけだ。

ね? 凄く簡単でしょ?


「そ、そんなことできるわけがありませんわ!」


ヘンリエッタが怒ったように叫ぶ。まあそうだよな。


「まぁ普通は無理だ。だが当然、やり方はある」


『ふふん。ご指名?』


チラとアリシアを見れば意を得たとばかりに微笑み、ピアスを通じて聞いてくる。


『ああ、出番だお姫様』


『仕方ないわね。まあ、これも妻のつとめ、かしらね』


そう良いながら一歩前に出たアリシアは、一瞬にして俺の隣に来た。


「!?」


俺やアリシア以外には瞬間移動のように見えただろう。

踏み込みから着地までの動作が綺麗過ぎて、そうとしか見えないんだ。


「足の裏に魔力を溜めて、踏み込みながら軽く爆発させる勢いで解放する。んで、止まる時にはその反対をやれば良いんだ。魔力の解放でブレーキをかけて、地面を足の裏で掴む。そんだけだ」


「これ……そんな、言うほど簡単な技術じゃ、ない」


「へぇ……気づいたか」


エリがものっ凄い不機嫌な顔で俺を見る。……いや、ごめん無表情にしか見えない。だけどなんとなく不機嫌そうに聞こえたので多分不機嫌なんだろう。


「まあそこら辺はやってみればわかるが、こいつは意外と難しい。的確な魔力のコントロールが求められるからな。……まあやってみた方が早い。やってみな」


俺がそう言うと、ヘンリエッタは足に魔力を溜め始め、


ドンッ!


「っ!……ふ、ふふ! できましたわ!!」


一瞬で十数メートル先に移動した。

停まり方がまだ完璧ではなく、地面に滑った後のような物が残ったが、それでも一発でやりやがった。


『……色々残念だと思っていたが、意外と凄いのな、ヘンリエッタ。お前が三日かけたことを一瞬とは……』


『うぐっ……わ、悪かったわね! 私はシルヴィお姉ちゃんみたいに戦う事だけ特化みたいな魔法使いじゃないのよ』


ピアスを通して言うと、アリシアが視界の端で俺を見て頬を膨らましていた。


「私にかかれば、この程度の技などやり方さえわかれば簡単ですわ!」


オーホッホッホッとお嬢様特有の高笑いを見せるヘンリエッタ。


ふふふ、まあ確かに凄いと褒めてやろう。……だが、貴様はまだ、本当の襲踏を知らない!


「それじゃあヘンリエッタ、方向転換してみろ」


「ほ、方向転換………ですの?」


「そうだ。俺が初めてお前に使ったとき、直進してたらぶつかっていたコースだったろ? なのにお前の背後に立っていたのは、二回襲踏を使って回り込んだからなんだ。一回なら意外とできるが、二回からはかなり難しいぞ」


ソースはアリシアとシルヴィア。レオは知らぬ間にできてやがった。

俺たちに知られないよう特訓してたんだろう。


「ふ、ふん。よろしくてよ。……こ、この程度っ……!?」


ズコーー!


「うわぁ……へ、ヘンリエッタさん大丈夫か?」

「あ、あれはおでこから行ったぞ!?」


男子連中が、方向転換に失敗して滑ったヘンリエッタを見て騒ぎ始める。


シュタッ!


「……死んでます」


「し、死んでませんわ!」


倒れたヘンリエッタに襲踏を使い駆け寄り脈を測ったエリに、額を押さえながら立ち上がるヘンリエッタ。

あ、涙目だ。


……ん?


「この短期間で使いこなしてやがる……ッ!」


「どやぁ」


黒髪を風になびかせ変わったポーズでドヤ顔を決めるエリッ!

彼女の後ろで、精霊(スタンド)もポーズを取ってやがるッ!!


「ヤシロ先生、貴方が見るのは私じゃない。……貴方の後ろでこの真理が起こっている」


「なにぃ!?」


エリの指差す場所、つまりは後ろに振り返った俺は、真理を垣間見る。


「わきゃっ!? う、うう~っ……難しいですぅ」


そこにはうつ伏せに倒れる少女の姿が。

……この一文だけならばなんら変わった所がないように見える(倒れてる時点で普通ではない)だろう。


しかし、その『少女』の二文字を『マナ』に変えれば?


「じ、自分のおっぱいで、クッションだとぉっ!?」


意外ッ! それは少女特有の低身長に合わない破廉恥バストッ!

破廉恥バストが、主を守るが如く地面とマナの間に入り込み、マナへのダメージを最小限に留めるッ!!


「……なるほどな。つまり………巨乳は無敵、と言うわけだな?」


「そう。そして、=マナは無敵」


俺はここに、新たな盟友を得た。


「ヤシロ先生ぇ! 俺っちのもちゃんと見てくださいよ!」


「野郎に興味はねぇ」


「女子との扱いの差が酷い!」


つっても正直な話、俺概要しか教えらんないんだよなぁ。

魔力無いし。そもそも襲踏だって俺の力業をシルヴィアが勝手に再現したのが仲間内で広がっただけだし………。


「転がって覚えろ。でなけりゃ強くなれないぞ?」


「えぇ~~」


まあ男子連中は無視だ。……問題は、



「大丈夫か? マナ」


「えっ、あっ、は、はひっ!」


持つ女性からしてみれば邪魔なものとしか扱われない豊満バストを持つ少女だ。


聞いた事はないだろうか? 「運動するのに邪魔」「肩が凝る」「このサイズのブラが少ない」「エロい」

……そう、それは巨乳を持ちし女性の言葉だ。ちなみに最後のは俺の言葉。


男達からしてみれば幸福の象徴たる巨乳も、女性からしてみれば巨大な重りが二つある事に他ならない。

そんな物を持って運動するんだ、圧倒的なハンデを負っていると言って良い。


「マナ、お前は襲踏をしなくて良いぞ。……その胸ではキツいだろ」


「い、いえっ、頑張りますっ!」


俺の言葉にマナは慌てて立ち上がり、襲踏をしようと足に魔力を溜める。


「待て待てっ! 何も見限ったわけじゃない。もともとマナには襲踏以外の方法を教えようとしてたんだ」


「ほ、本当ですか?」


うわ、やばい。

この涙目で上目つかいとかマジやばい。俺もうロリコンでも良いや。


「ハッ、殺気!?」


「三度目は効かない、か」


エリが放った精霊の拳ラッシュを咄嗟に振り向いて片腕で防ぐ。


「……っと、話が脱線しかけたな」


「ば、バカな………」


エリの精霊を一撃で叩きのめしてマナに向き直る。

そして俺は四次元道具袋に手を突っ込む。


「ドート先生に、マナは体を動かすより頭の方が得意って聞いてな。そんなマナには足を動かさず動ける道具。……と言うより空を飛べる道具をプレゼント!」


「空を、飛ぶっ!?」


俺の言葉にエリが叫ぶ。まあそうだろうな。この世界では空を飛ぶには魔空挺(まくうてい)のような巨大な動力が必要になる。

だが俺は、四次元道具袋に入る大きさのアイテムにで空を飛ぶことを可能にしたのだ!


「やっぱり魔女の必須アイテムはこれでしょ」


俺はソレをマナに手渡した。


「……これは、……箒?」


そう、魔女の必須アイテム……空飛ぶ箒だ。


お待たせしました、指導回は次回でラストです。

長い説明よりもエロネタの方が筆が進む事に気づきました(笑)


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