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先代勇者は隠居したい(仮題)  作者: タピオカ
リズワディア学園編
40/192

先代勇者はゲス野郎?

カッコよく剣を抜いたものの、俺は空を見上げて固まってしまった。


「降り注げ雷雨! 『Blitz(ブリッツ)Regen(レーゲン)』!!」


雷の雨が、俺に向け降り注いで来ていたのだ。


「っ、『魔装剣』!」


とっさに剣に刻んでいた魔法を発動する。周囲の魔力を吸い上げ、魔力刃を展開する魔装剣。


「なろっ!」


魔力刃を展開した剣で、稲妻を切り裂いて俺は後退する。


雷系中級呪文『ブリッツレーゲン』。古代イシュレール語の中で最も脅威的な魔法の一つと言われている。

魔力の必要量は多いものの、詠唱は短く発動から着弾までが『雷そのもの』な速度のためほぼ不可避。尚且つ当たればダメージ+麻痺まで与えられるため、追撃が可能と言う破格な魔法だ。

流石の俺も、このまま(・・・・)じゃあまともにやりあっちゃヤバイ。


止めどなく降り注ぐ雷雨が、的確に俺を捉える!


「ぜらああぁぁぁっっ!!」


足を踏みしめ、雷雨の悉くを切り払う。


「!! ……まさか(わたくし)のブリッツレーゲンを防ぐとは……」


百合ロールの目が鋭くなった。

今の魔法で決めるつもりだったらしいな。

決まらずとも、一撃でも当たれば麻痺になる。麻痺中の相手をボコるなんて容易いと思っていたのだろう。防ぎきるとは思いもよらなかったらしい。


確かに上位の魔術師でも今のを障壁だけで防ぎきれるとは思えない。アリシアでもてこずった筈だ。

それだけの魔法を、百合ロールは雨あられと放ちやがった。

百合ロール、いや……ヘンリエッタ・デ・クレストリア。『姫騎士』の名前は伊達じゃあ無いみたいだ。


「ですが、これで!!……」


次は雷球がヘンリエッタの周囲に現れ始め、やがて俺の視界を覆う程の数になる。


近代イシュレール語の初級魔法『ライトニングボルト』だ。

初級だからって無詠唱でここまで数を…!


「『shoot』!」


彼女の号令と共に、初級射出系魔法の中では最速を誇る雷矢が俺に向け放たれる。


「こんなの、まともにやりあってられるか!」


放った分だけヘンリエッタの周囲に雷球が増える。

一斉に放って来ない所を見るに牽制か? 

俺は紙一重で雷矢を避けながら思考する。

とりあえず雷矢はブリッツレーゲンよりは捉え易いため、今は足を止めず走り回る事にしよう。


「『Blitz Regen 』!」


「ぐぬっ! ……しまっ!?」


たった一発ながら、雷が俺を捉えかけたために反射的に剣で防ぎ、足を止めてしまった。

そこに狙い済ましたように降り注ぐ雷矢。

障壁も張れない俺は、ひたすら魔装剣を展開した剣で雷矢を切り弾く。



「――雷鳴の衝動たる紫電の稲妻――」


「なにぃっ!?」


俺が雷矢に苦戦していると、沸き立つ歓声の中でありながら凛とした声が、響いた。

あれは、ダメだ。あれはマジでヤバイ!!

世界に言葉が浸透するこの感覚、……上位魔法だ!



「――空に轟け、閃光の一撃…! 其は神の怒りなり――」


「間に、合わねぇ!!」


雷矢の数が多くて忙殺される! やべぇ、完璧に封じ込められた!



「『サンダーボルト』!!」





闘技場に落ちた巨大な稲妻。神の怒りに相応しい一撃は、闘技場の観客席すら黙らせ、静寂が辺りを包む。


「……はぁっ………はぁっ!」


ヘンリエッタは痛む程に早く鼓動する心臓を、胸を手で押さえることで鎮めようとするが止まらない。


初級、中級とは言え、弾幕と呼べるほどの凄まじい量の魔法を放った。

もはやそれだけで大魔術と言って差し支えないだろう。だがヘンリエッタは更に上位魔法すら使用しトドメを刺した。……トドメと言っても死傷を与えないよう手加減はした。せいぜい一、二週間は身体中が麻痺して病院生活は間違いなしだ。


最高の手応えをヘンリエッタは覚えていた。貴族でありながらはしたない格好(・・・・・・・)をしただけはあった。

ヘンリエッタは高鳴る胸を抑えながら、勝利の余韻に浸っている。


今の自分なら、魔術において常に自分の先を行く、憧れのアリシアにすら並び立っているものだと自負していた。



「きっ、決まったあぁぁっ!! 雷の大魔術『サンダーボルト』! これを食らってはひとたまりもなぁい!!」


静寂を突き破るように司会の男子生徒がマイクを使って叫ぶ。それに呼応して会場が揺れる程の大歓声が闘技場を包む。


大魔法戦を目の当たりにして驚き、言葉を忘れていた者達が狂ったように叫ぶ。



「解説のアリシアさん、ヘンリエッタさんの今の魔術についてどう思いますか?」


闘技場で司会の隣に座っていたアリシアが頷いてからマイクを握る。


「今のはとても素晴らしい流れでした。今のを食らっては、私もどうなるか………見事です」


憧れのアリシアの声が闘技場にも伝わり、ヘンリエッタは嬉しさのあまり失神しかけた。


「――しかし、この程度では彼を倒せません」


「!?」


自動で発動する簡易障壁が、砕かれた。


対物障壁と魔術障壁の多重障壁を直ぐ様展開し、それが一太刀で叩き斬られた(・・・・・・)


「なっ――」


ヘンリエッタの視界に映ったのは翠色と蒼色の宝石を剣にしたような双剣。その宝石を使う者が勇と理解した時には、ヘンリエッタは魔剣を振り抜いていた。


「おっと。……良い反応だっ!」


渾身の突きを逆手に持ち変えた翠の宝剣で防がれる。


「!!?」


咄嗟にヘンリエッタは『ライトニングボルト』の魔法を放っていた。

至近距離での射出魔法。避けれない距離で発動したライトニングボルトは、対象が掻き消えてしまい当たらない。


「………高速移動(クイックムーブ)の魔法ですわね」


「あー…うん。そんな所」


突然目の前から消えた男は、背後からヘンリエッタの首筋に蒼色の宝剣を突き付けていた。

煮え切らない返事だが、ヘンリエッタにとってはどうでも良かった。


(この男……私よりも、剣術が上……!)


圧倒的な程の技量の差に、ヘンリエッタは戦慄を覚えていた。


「にしても、ヘンリエッタ・デ・クレストリア。流石『姫騎士』って言われるだけはあるな。この状況で俺にチェックが掛かるとは思わなかったぞ」


勇は自分の背後と両側面から自分を狙う雷の矢に苦笑する。互いに王手が掛かった状態で、どちらも動けない。





いや、まあやろうと思えば抜け出せるんですがね。

しかしあれほどの大魔法の連続に、使わないしって決めてた晶剣を使うしかない状況に追い込まれ尚且つ今のこの状況。……聖剣抜いてないからって言っても、はっきり言ってここまで追い込まれてちゃ俺の負けじゃね?


それに魔法学院なのに片方(俺)は魔法使わないし……魔法戦を期待してた方には悪いが俺が戦闘中に使える魔法なんて魔装系だけなのよ。

知識はあっても使えない……だしね。


ここで無理矢理勝ってもなんか大人気無いしなー。


なんて考えてたら、剣を弾かれた。


「お?」


弾かれたと言っても手から離したわけではないので、腕が上を向く。


片手で万歳状態だ。


「食らいなさい!」


「けげっ!?」


弾いた瞬間に距離を取ったヘンリエッタが、待機させていた雷矢を俺に放つ。しゃがんでそれらをぶつけ合わせて相殺させつつ俺はヘンリエッタに肉薄する。


「くっ…なんて出鱈目な!」


ヘンリエッタは細剣で防ぐ。ギンッ、と剣と剣がぶつかり、鍔迫り合いとなる。


「お前こそ、その歳にしちゃあ十分出鱈目だ。魔剣だけじゃないな?」


「!?」


面白いくらいに動揺を表に出すヘンリエッタ。


「不可解過ぎるんだよ。大魔法級の魔法を連発しておいて魔力の枯渇を見せないし、それ以前に威力がおかしい」


数が多いとは言えたかが初級魔法で俺を忙殺させて身動きを取らせない……なんて事は不可能だ。


「MP回復と魔法攻撃力上昇(ブースト)。……それに自動障壁と来たら………ヘンリエッタ・デ・クレストリア。お前、着ているな?(・・・・・・)


「なっ……ぐっ、何故それをっ!!」


ヘンリエッタの顔が羞恥で赤く染まる。それを見て俺は笑みが堪えきれなくなった。


「ふ、ふははははっ! 一体どんなルートで手に入れたかは知らないが随分苦労した事だろう。

性能クソ高いくせにおっさんどもに大人気な逸品だから流通数自体少ない筈だ。妻に着せたその夜久しぶりに激しく燃え上がったとか良く聞くしなぁあっはっはっはっはっ!!」


ダメだ。面白すぎて笑いが止まらなくなって来た。


「!! 今、ここで!」


鍔迫り合いを避けたヘンリエッタは加速の魔法を無詠唱でこなし、俺から大きく距離を取った。


「―――我が眼前に吹き荒れる風よ、我が脈動たる稲妻に纏いて天空を駆けよ――!!」


またしても世界に響くような詠唱………上位魔法、それも風と雷の統合魔術!


「なるほど、魔法騎士のお前が動きにくいローブを着ている理由も得心がいった。ソレ(・・)を見られたくないならだよなぁ? ソレは魔術的な作用に関係してくるから、鎧とかじゃあ隠せない。いんや、隠したら意味が無くなる!」


俺の想像が正しければ、ヘンリエッタが着ているものは、俺が三年前に概要と魔術式だけをアラクネーの知人に渡した物だろう。

ここに再召喚されてから俺の世界の服……ナース服などを見かけたのも、俺が残した物をアラクネーが作り上げたせいなのだ。

……まあそれは置いておいて、奴は今、一国のお姫様なくせに破廉恥な服を着ているはずだ。


「今の装備はローブ以外にはソレ(・・)とニーソだけか? うひひひ、この露出狂め! 衆目に晒してやるぜぇ!」


およそ今の俺は勇者、それ以前に主人公らしくない笑い声に悪役面をしているのだろう。

だがしかし、笑いが止まらない。あ、ダメだ横っ腹が痛くなって来た。


「こ、この外道! 恥を知りなさい!」


「今から恥を知るのはテメェの方だぜ『姫騎士』さんよぉ!」


もはや俺の勝ちは決まった。後はどうやってローブを脱がすかだが………ふむ、良い手が思い浮かんだぞ。


「吹き(すさ)べ、雷の旋風! 『サンダー(Thunder)ストーム(storm)』!!」


カチン、と俺は剣を鞘に入れて腰を低くして構える。居合いの構えだ。


暴風を纏った雷が、俺を目掛け放たれる。二つの魔法を合わせて発動する統合系魔法。その中でも上位魔法を掛け合わせた最大級の魔法サンダーストーム。

もはや疑う余地もない。アレを装備しているせいかは知らんが、今の彼女は戦術級の魔術師だ。


だが、


「まだまだだな。……アリシアやシルヴィアはソレ無しで災害(ハザード)級だぜ」


カチン、と再び納刀した音が響く。


「!? そんなっ、あり得ませんわっ!……」


暴風は切り裂かれ、雷は穿たれ霧散する。剣撃の極地、最速にして最強の一撃は最大級の魔法を掻き消した。


確かレオにも教えたはずだったが……多分レオならもう使えるんだろうな。まあ良いや、これで、王手だ。


俺はウエストポーチに手を突っ込み、スローイングナイフを投げつける。


「きゃあ!?」


カツン、と甲高い音がして自動障壁に突き刺さったナイフは次の瞬間小爆発を起こす。

魔装系の応用型の、徹甲榴弾(ピアシングボム)型だ。ナイフの先端が障壁に突き刺さり、僅かに障壁内部に顔を出した先端が小爆発を起こすと言うすぐれもの。

あまり威力がないのと、爆発は集束した魔力のため、対魔性能を持った防具には防がれる点が難点だが、今回はそれのお陰で上手く対魔性能を有するローブ(・・・)にのみダメージを与えられたはずだ。

ワイルドボアを仕留めた後に、改良を加えていたそれが役にたった!



「い、いやぁっ!」


一瞬の閃光の後、両手で自分を抱き締めるよう身体を隠し、ヘンリエッタは踞る。


その腕の隙間からは、紺色に白のゼッケンを標準装備といった旧型スクール水着……旧スクが見てとれた。


ヘンリエッタ・デ・クレストリアは、オーバーニーソックスに旧スクと言うおっさん歓喜な服装をしていたのだ!




アンケートの結果発表!



【通常授業時】


ブレザー……七十三票

セーラー服…三十六票


【運動着】


ブルマ……四十一票

短パン……四十二票

スパッツ…二十一票 (追加案)


【その他】


スク水……七十二票

競泳水着…三十二票


またその他に


ブルッツ

レオタード

マイクロビキニ

セーラーブレザー

セーラーハイレグブルマー


なだも集まりました。


通常授業時もその他はブレザーとスク水の圧勝に終わりましたが、ブルマと短パンは最後の一票になるまで一進一退の激しい攻防を見せてくれました。

また追加案のスパッツが凄まじい勢いで票が入ったのは驚きました。


さて、アンケート結果はこのようになりました。


【通常授業時】

ブレザー

【運動着】

短パン

【その他】

スク水


百名を越える投票者の皆様に感謝!

ありがとうございました。


今後のストーリーをお楽しみにください!

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