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先代勇者の薬草集め

困った。困ったぞ。


召喚と新人への世界観説明が終わると共にその日はお開きとなり明日、つまり今日から勇者としての活動を始める事になったのだが………



困った。困ったぞ。



イケメン野郎こと天城海翔と、件のイケメン率いるハーレム軍団が何故か凄いやる気に満ち溢れている。


いや、わかるよ?魔力測定したら100とか1000なんてもんじゃなかったんだから。

最低値のイケメン君でも七千。

ショタなんか一万五千を叩き出したのだから。

なんつー数値だよ。既に戦術(タクティクス)級越えて災害(ハザード)級だよ。



え?ショタって誰かって?……いやー、俺も驚いたよ。

どう見ても女の子にしか見えなかった男装した少女。

実は彼女……いや彼は男だったのだ。


イケメン君と共に温泉並みの広さを誇る風呂場を堪能してたのだが、胸から腰まで、大切な所をタオルで隠した彼が現れた。

慌てた俺だが、彼本人から男だったのだと知らされこの世の無情さにむせび泣いたのは良い思いでである。


こんな可愛い娘が女の子な筈がないとは良く言ったもんだよ………



ま、まあそれは置いておいてだ。



驚愕の数値に姫さんは喜びの余り卒倒。


俺の保有値ゼロと言う報告を受けようやく起き上がったくらいだ。


その姫さんを始め宮廷魔術師達から褒め称えられ彼らは調子に乗ってしまってるのだ。



べ、別に俺の事は無かった事扱いされてふて腐れてるんじゃないんだからね!?




…………ぐすん。



さて、この様子だと勇者をやる理由もなくなった俺。

まあ引退って事で後任の勇者君に後を任せよう。


しかしお姫様から説明がなされてなかったが元の世界への戻り方が分からない。


どうしようかと思っていると、俺はふと思い出した。


確かこの世界には傭兵だか冒険者だかのギルドがあった筈だ。

そこに入って適当にクエストこなして静かに暮らすって言うのも一つの手かも知れないな………。



そうと決まれば即断即決!早速お姫様に聞いてみるか!






追い出されました。



え、何この状況?


一人暮らししたいって言ったら別れの言葉を交わす間もなく城の外に出されました。


……そりゃ魔力の無い厄介者だろうけどさぁ~、そっちの手違いから巻き込まれたんだぜ?俺。

手切れ金すら渡されなかったよ。




ま、良いか。前回楽しめなかった異世界ライフを楽しむとしますか。前向きに行こー!


第二皇女にも言われてたしね。


「貴様の良い所は馬鹿みたいに前向きな事だ」


って。


…………ぐすん。





気を取り直して、目指すは冒険者ギルド!

一角千金目指して邁進するぜ。







「いらっしゃいませ。ギルドへようこそ」


満面の笑みで迎えてくれる巨乳美女。

いやぁ、受付嬢が可愛いとテンション上がるよねっ!


「今日はどのような用件でしょうか?」


「ギルドに入りたいんです。どうすればなれますか?」


「ギルドは我々が指定したクエストをクリアして頂くと登録完了となります。登録の際の料金は不要ですのでご安心ください。……クエストをお受けしますか?」


受付嬢が机下から一枚の紙を取り出す。


「お願いします」


「はい。では先にお名前、年齢、種族などをこちらの紙に記入してください」


紙と羽ペンを渡された俺はサラサラと文字を書き、紙を返す。



「ユウ・ヤシロ様ですね?。……ではこちらがギルドカードとなります。こちらのギルドカードは緑、…一番最初の、仮登録時の色となります。ギルドカードはギルドのランクに応じて赤、青、紫、銅、銀、金、白金、黒。と色が変わります。ギルドランクは規定数クエストをこなし、昇格許可が降りた方のみ昇格クエストの受理が可能となりそれをクリアするとランクが上がります。……その他にご質問はございますか?」


渡されたカードを受け取った俺は首を横に振る。


「はい。ではギルド登録クエストを行って頂きます。……クエストはこちら、『薬草採取』のクエストです」


渡された紙はクエスト用の紙らしく成功条件などが細かく記載されていた。


「王都近くですと妖精の森に多く薬草が生えています。妖精の森は魔物が出現する事もなく安全な場所ですので安心して採取を行ってください」


説明の最後にニコリと微笑まれた俺は意気揚々とギルドを後にした。





妖精の森。今では希少種とされる下位の風精霊『ピクシー』の分布地の一つと知られている。

ピクシーは人間に好意的で、気に入った人間にはイタズラしてしまうと言う特性を持っている。



「いでっ、いででっ!おいこら耳引っ張んなっ――んひっ!?どこ入ってんだコラ!」


社勇、絶賛イタズラされ中です。


20cmほどの身長で、透き通った羽根を持つ彼ら、彼女らは俺が森に入った途端に髪の毛を軽く引っ張ったり服の中に潜り込んだりと俺にイタズラしてきた。


妖精がイタズラ好きで気に入った相手にしかしたいと知らなければ叩き落としている所だ。


なんでこんなに気に入られているのかと言うと……たぶん三年前に助けた事を覚えてるんだろう。

魔物に蹂躙されていたこの森を以前救った事があったのだ。


気に入られるのは良いが、薬草集めがままならない。


「あー、テメェら。後で遊んでやっから少し離れてくれ。薬草採取しないとイケないんだ」


そう言うと俺に群がっていた妖精達がピタリと動きを止め、一斉に離れて行った。


「え?……なに、なにごと?」


蜘蛛の巣を散らすように散ったピクシー。


そこで俺はピクシーの生態を一つ、思い出した。



ピクシーは魔物の存在に敏感で魔物の存在を感知すると逃げる習性がある。


となるとまさか………魔物か?。


受付嬢の巨乳ちゃんが魔物はいないと言っていたが、三年前、この森に魔物が押し寄せた事実がある。


俺は右手を前に向かって突き出した。



何時でも抜く()用意は出来ている。魔物が姿を見せた瞬間に三枚に下してやる。


俺が息巻いていると、視界に映る影


(くるかっ?)


抜刀しようと仕掛けた所で、俺はその手を降ろした。


「……うわぁお」


見ると両手一杯に薬草を抱えた妖精達が………っ


「可愛すぎだろこいつらっ」


俺のために薬草を集めて来てくれたこいつらに、俺は日暮れになるまで遊んでやった。





「す、凄い量ですね」


「あはは……すみません」


妖精がくれた薬草を両手いっぱいに抱えてギルドに戻ってくると巨乳ちゃんこと巨乳受付嬢のねーちゃんがひきつった笑みで答えた。そりゃあそうさ。受付のテーブルに置くと巨乳ちゃんの視界が遮られる程の量なのだから。


これだけあればどれだけのポーションが作れるのだろうか。


「薬草束につき1フォルン銅貨となります。これだけの量ですと銅貨では多くなりすぎると思うのですが銀貨や晶貨になりますがよろしいですか?」


「はい。あ、あとお金を入れるような巾着袋ってあります?買えるなら差し引いてくれて良いので」


「はい。当ギルドでは1700フォルンで道具袋をご用意してます。如何でしょうか?」


道具袋って確か空間魔法で半四次元ポケットになる不思議アイテムの事だよな?。


1700か……現実世界に換算すると約20万前後か。……買いだな。


「差し引いてください」


「はい。では右手にあります椅子に座ってお待ちください」


見るとギルド職員が慌ただしく薬草の山を幾つかに分担して裏に運び始めた。

多すぎてごめんなさい。


俺は巨乳ちゃんの言う通りラウンドテーブルの空いてる椅子に座る。


「あんた、名前は?」


座ると同時に声を掛けられた俺は声のした方へ視線を向ける。


するとそこには褐色肌の健康系美女(巨乳)が立っていた。


「俺、勇って言います。ユウ・ヤシロ」


「ふふっ、あたしはトーレ。よろしく頼むよ、大型新人」


そう言って俺の肩を叩いて笑うトーレさん。……や、やっぱり異世界っていいなぁ。巨乳美女がわんさかいるっ!


褐色の美女って良いですよねっ!



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― 新着の感想 ―
漫画見た感じあとから設定が出るだろうけど、とりあえず気になったのは言葉が通じてることと、読み書き出来ること あとは『一束』で一フォルンにしかならないのに、道具袋1700フォルン(薬草1700束分。一束…
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