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先代勇者は隠居したい(仮題)  作者: タピオカ
リズワディア学園編
27/192

先代勇者は目覚める

「あれが、リズワディア…!」


「クケー!」


二人の少女を助けてから少し経ち、彼女達を守りながらも森を通り抜けた俺たちの前に現れたのは巨大な時計塔を中心に築かれた大都市だった。


「は、はいっ。正確には魔法学院都市リズワディアでしゅっ」


「……リズワディア魔法学院を中心に発展していった、中立都市」


良く噛んでしまう眼鏡っ子マナ・ルリエとクールな黒髪ロングっ子のエリ・テレストリア。

俺が助けた二人の少女はズィルバに跨がっている。


彼女達を助けるために街道から外れてしまった俺は彼女達に逆に助けられて森からの脱出に成功した。


まあ飛べば現在地を調べられるのだが彼女達の前で出来る筈もなく迷いかけた時に魔法を使ってくれたのだ。


道中自己紹介を済ませた俺は彼女達が魔法学院の生徒であると教えて貰っていた。

彼女達が森に入っていたのも、薬のもとになる素材集めが理由だったらしい。


「物凄くデカイ時計塔だな……目測で数百メートル……東京タワーと互角か?」


一番に目を引くのは巨大な時計塔だ。

リズワディアまで結構距離があるが、それでも見た目巨大さを損なわない辺り時計塔を見上げた時のインパクトは計り知れないだろう。

記念撮影とかしたい。写真が欲しいぜ。


「とうきょう?……リズワディアの時計塔と並ぶ高さを誇るなんて…とうきょうとは一体なんなのでしゅか!?」


知識欲を刺激され興奮してしまったマナが目を爛々と輝かせながら噛む。

しまった、素で漏らしてしまっていた。


「マナ、落ち着いて。ヤシロさん困ってる」


「はっ!?………も、申し訳ありませんヤシロさんっ。わ、私珍しい事に敏感で……」


「ハハハ……うん、大丈夫。もう七回くらい聞いたから」


そう、このやり取りは既に道中七回も繰り返していたのだ。

俺の指弾を始めズィルバの事など、彼女は事ある度に暴走し、それをエリに止められている。



「そう言えば聞いてなかったけど、薬ってのはなんの薬なんだ?」


右手で掴んでいたのを持ち直しながら聞くとマナは眼鏡をくいっ、と上げた。


「マナポーションなのです。ですがただのマナポーションではなく、私とエリはマナポーションⅡを作っています」


マナポーション。

RPGゲームをやった事のある人ならば半分以上の人が聞いた事のある単語だと、俺は思っている。

魔力を回復させる作用を持つこの薬品は、このレインブルクの世界でも一般的だ。

ただ少し値が張る事が問題ではあるが。



「へぇ、薬草学も学んでるのか。……確かマナポーションⅡを作るには月草とケリテの実に、少量の魔力。月草が魔力に反応し、魔力を帯びた月草にケリテの実の果肉をすりつぶして煮出せば完成……だったか?」


昔リーゼリオンの第三皇女…つまりシルヴィアの妹に仕込まれたから、俺は魔力がなくて魔法がまともに使えない癖に魔術関連の知識だけは豊富だ。


今にして思えばエルフの言語であり近代魔法言語のアレクセリア語を早く覚えられたのも第三皇女のおかげだったりする。


俺が唯一使えるオリジナル魔法、『魔装』系の魔法も第三皇女と共に考えた魔術だったしなー。

化け物揃いで有名なリーゼリオン宮廷魔導団の奴等でさえ霞む程の知識量と才覚を有する神童。

その第三皇女のお陰で、俺は何度も助けられた。

アイツには感謝しても仕切れないよ、本当。


「良くご存じで!………実は、マナポーションⅡを作るには黄金率と呼ばれる、効果を最大限に引き出す素材の量と煮出し時間があります。これは、ご存じで?」



冒険者と名乗っていた俺が、マナポーションの材料と作り方を知っていたことに驚き手を合わせたマナの目が、キラリと光ったのを俺は見逃さなかった。あ、いや光ったのは眼鏡か。


見るとエリも無表情に近いが、どこかこちらを測っているような目で俺を見ていた。



……うーむ、答えても良いが変に目を付けられるのも困るしな~。


「た、確か月草7のケリテの実3の割合。煮出しは四十分掛けてゆっくり煮出す……だったか?」


「惜しいですね。煮出す時間は四十分が基準になりまして、もっとも効果の発する時間更に二十分です」


マナが胸を張って自慢するように答えた。


すると、ブカブカなローブの上からでもわかるくらいに胸が強調される。


な、なんと言う巨乳…!まだ12歳くらいの少女でありながら俺の手で掴み切れない程の大きさを誇るとは……っ。


これはあれか? ロリ巨乳と言う奴で?


俺が女体の神秘に戦慄を覚えていると、クールっ子のエリがマナの胸をわしづかむ。


こう、ぐわし!っと。


「ひゃんっ!?」


「この小柄さで、Dを誇ります」


「な、なんですと!?」


俺の知るバストサイズ測定法と同じかどうかはわからないが、それでもエリが揉みし抱く双丘が、並みではないと否応無しに示してくる!


「え、エリ!!」


マナが涙ぐみながら批難の目を向けると、エリは両手をわきわきさせながら手を離す。

こ、子供のバストだが、正直エリを羨ましいと思ってしまった。


いかんいかん、子供の味方の勇者がこんなことではイカン。


「ヤシロさんが喜ぶと思って………つい」


「つ、ついじゃないよ、もう!」


「反省………てへ」


自分の頭をコツンと叩くエリ。棒読み過ぎて逆に関心してしまう。


「でもほら、ヤシロさん鼻の下伸びてる」


「うへっ!?」


突然話を振られ、しかも俺の醜態に関しての事なので思わず声を上げてしまった。


「やっ、ヤシロさん!」


「お、おお俺は修羅!修羅道に女人は要らず!!」


「でも目は釘付け………マナのおっぱいは罪なおっぱい」


「エリ!」


「脱兎」


マナの追求をシュルリと蛇のような動きでズィルバから降りたエリは俺の後ろに回り込む。


「おいコラ、これは俺が折檻食らうフラグ!」


「きゃー、助けてー(棒)」


「命の恩人に感謝がなくない!?」


「…………さっきのサービスシーンは、ヤシロさんのためにと…」


「…………そうか、俺のために悪いな…ってなわけで礼として腕で胸を寄せて谷間を作ってみてくださいお願いします」


年下相手に誇りもなにもなげうって土下座をかまし、俺はその後、顔を真っ赤に赤らめたマナの谷間を存分に楽しんだのだった。





「あ、そ、そそそうだっ……ヤシロさんはリズワディアにはどの程度滞在するのですか?」


リズワディアの街に入り、リズワディアギルドの前で別れようとした俺たちだったが、マナが赤ら顔でそう聞いて来た。


流石にまだ恥ずかしいのかな? 結構ガン見しちゃったし。


「あー、……特に考えてなかったな。手持ちがあんまりないから、ギルドで少し仕事して金貯めて、……二週間くらいかな?」


「二週間……で、では私達はこれで……っ」


「どなどなー」


若干駆け足で去るマナとそれに引きずられて行くエリ。


随分と性格の違う二人だったな。


「ま、もう会うこともないだろう」


学生だろうから忙しいだろうし、所詮俺は冒険者だ。

まあもう一度会えたらいいな、くらいに思っとこう。



「すいませーん!ギルドの方、いらっしゃいますかー?」


右手で引っ張ってきたものが、ギルドの扉では狭くて引っ掛かってしまうため、扉を半分開けての御呼びだし。


「はい、どうかなさいましたか?」


金髪眼鏡の爽やか系イケメンがギルドの受付から離れ、駆け寄って来る。



「いやさ、この街に来る途中で死んでて(・・・・)、勿体無いから拾って来たんだけどさー」


「え?……こ、これは……迷いの森の主、ワイルドボア!?」


扉から外を見たイケメンはトラック並みの巨体の猪を見て口を広げて固まった。



……やっぱり、街で問題だったタイプの奴か。


あの森の主だろう大猪…ワイルドボアの牙を片手に、俺は自分の読みに舌打ちした。


タイトルの目覚めたとはロリ巨乳に目覚めた………と言うことで(笑)





申し訳ありません、諸事情により前話の感想なども含め、深夜の一時頃から返信させてもらいます。



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