魔族襲来(4)
6ヶ月……半年も更新が遅れ申し訳ありませんでした!
久しぶりすぎてキャラ掴めていないし文章も稚拙(元から)で本当に申し訳ありません
『吸血鬼』と呼ばれる者達の中のカテゴリーの一つに、『真祖』と呼ばれるものがある。
その『真祖』とは一体なんなのか、その問に答えるには先ず『吸血鬼』自体を知る必要性が出てくる。
『吸血鬼』、つまりヴァンパイアとは人の生き血を吸い、己が糧とする魔族である。
そしてそれだけでなく、逆に己の血を流し込む事により相手を『吸血鬼』にすることさえできてしまうのだ。
吸血鬼となった者がまた吸血鬼を作り出し、新たに吸血鬼となった者が新たな吸血鬼を作り出す。
そうやってねずみ算式に増えていく吸血鬼。……しかしここで疑問が浮かぶ。
では、一番大本の吸血鬼はいかにして産まれたのか。
それには諸説ある。
曰く、生を受けた頃から吸血鬼だった。
曰く、吸血以外の何かしらの要因によって、後天的に吸血鬼へ変異してしまった。
などなど挙げれば切りがない。
だが、彼ら、大本になった吸血鬼達には共通する事が一つだけあった。
それは、総じて、化け物が如き強さを誇っていたこと。
人を超越した魔族すら容易く屠る身体能力を持ち、人を超越した竜すら越える魔法を操る、魔界の王族。
その力は凄まじかった。
魔王が存在していなかった何千年もの昔、数多いる魔族を制し魔界を支配していたのが吸血鬼達だった程に。
そう、『吸血鬼』を産む大本の『吸血鬼』、それが、『真祖』と呼ばれる者達である。
◇
「キキッ、クキキキッ!クカカカカカカッ!!たかだか数百年魔族をやった程度の若造が、魔族の支配階級『真祖の吸血鬼』たるこのわらわに敵うと思ってか!この愚か者がぁ!う゛ぁーかっ!!」
美しき金色の髪は己が放つ魔力の暴風に乱れぬことなく太陽の光に煌き、その金色の瞳は獰猛に見開かれ、唇は愉悦に妖しく歪む。
公爵級と見紛うほどの風格と威圧を持って、荒れ狂う魔力の風の中、艶やかなる吸血姫が顕現する。
「パイモン!?」
突然現れたパイモン。それも爆発的な魔力を帯びて大人の姿で現れた事に驚いて勇が声を上げる。
「キキキッ!わらわ、降臨!!泣け、喚け、そして死ね!!わらわを崇め、奉り、祈りながら死ぬがよいわ!ウハハハハハーっ!!」
足まで届く金髪を体内から溢れだす魔力の暴風で靡かせながら、真祖の吸血鬼、パイモンが高らかに笑う。
めっちゃハイテンションで。
「……君テンション高くない?」
「ウハハハーッ!仕方なかろう主よ。あ奴を見よ主」
パイモンは美しく整った顎をツン、とウムブラへ向けた。
「魔族としての格は下じゃがあのリッチー、わらわと同じ『不死者』に属する者……知っておるか主よ、我ら『真祖の吸血鬼』が処女の血と同じ位に興奮し好む事柄を?」
「いや、知らんが……」
勇は首を横に振った。
それを見たパイモンはクスッ、と小さく笑い、その次の瞬間には口元を吊り上げて嗤う。
「それは……『不死殺し』じゃ」
恐ろしくも妖艶な笑みを見せ、パイモンはそう言った。
「他種族の不死者どもを狩る事こそ、わらわ達真祖の吸血鬼の趣味。……クキキッ。見よ、主様。わらわの前に現れた、魔道に堕ちた不死者の姿を。なんと極上の贄ではないか……ク、ククキっ、キキキィッ!」
「これはこれは、驚きました。……魔族が人側に付くのですか?」
光の十字架で地面に縫い付けられたウムブラが呆れたように言葉を発した。
「キキッ、外法にて魔へ化した人の子がおるんじゃ。変わり者同士そう不思議じゃなかろう?」
「キヒヒッ、それは確かに」
互いにクツクツと嗤うパイモンとウムブラ。
その嗤いが終わると、突然弾かれたようにパイモンがウムブラへ向けて手を伸ばす。
そしてそれと同時、ウムブラを縫い付けていた光の十字架がパキッ、と甲高い音を立てて崩れ去った。
「「『厄災よ来たれ』!!」」
全く同時に放たれた同一の魔法。互いに纏うように集う赤黒い霧を、パイモンとウムブラは抵抗しつつ相手へ魔法を放ち続ける。
「そんなっ!?『洗礼の十字架』を、何の兆候も無く……――っ!?」
「呆けておるな巫女の血統よ。来ておるぞ!」
「……――ォォォオオオオォォォオオッッ!!」
「!?」
悲鳴のような雄叫びを上げながら迫るはウムブラが使役する、影より現れた漆黒の騎士。
騎士はウムブラと対峙するパイモン……否、勇に向け猛進する。
「行かせま、せんっ!!」
ベルナデットが叫び、スリットの入ったスカートを手で払うように捲くり上げふとももに付けたホルスターから魔銃を抜く。
「『突風の槌』!!」
風の魔方が刻まれた弾丸を魔銃のシリンダーに注ぎ込み、撃鉄を挙げて総弾数六発分を漆黒の騎士に叩き込む。
風で構成されたソレは無色透明、不可視の魔弾。
常人であるならば掠めるだけで四肢が吹き飛ぶ程の強烈な一撃。それを六発、その威力は、漆黒の騎士を空中高く放り上げる程の爆風を生んだ。
だが漆黒の騎士は空中で身体を捻り、体勢を整え難なく着地する。
「――ォオオオォ……」
ビル風のような低く、それでいて響く声を出しつつ、騎士は構えをとった。
ベルナデットをようやく、敵と認識したのだ。
そして――
「かはっ!?」
一瞬にして、ベルナデットは吹き飛ばされた。槍の石突き部分でわき腹を殴られたのだ。咄嗟に障壁を張ったものの、威力を殺し切れず、ベルナデットは空中に投げ出された。
「――ォォォオオオオオオォォッッ!!」
逃がす気は無いと追撃に走る騎士に、
「「やらせないぜ!」」
二人のクオンが立ち塞がった。分身だ。
「おっと。大丈夫か?ベルナデットの姉ちゃん」
「あいたたっ……ありがとうございます、助かりましたクオンさん」
空中に投げ出されたベルナデットを三人目のクオンが抱きとめ、地面に降り立つ。
「うわ、分身とは言え一瞬かよ……どうするよベルナデットの姉ちゃん。アイツ強いぜ?」
降り立ったクオンの隣に、もう一人分身のクオンが並び立つ。見れば最初に現れた分身のクオンは漆黒の騎士に倒され、煙となって消えていた。
「治癒……強いですね。まともにやっては勝てません。……どうしましょうか」
「分身増やしてもそれ以前の問題っぽいしね……」
治癒の魔法で痛む身体な治しながら尋ねるベルナデットにクオンは苦笑しながら答える。
分身を倒した騎士は、こちらの出かたを待つように腰を落とし槍を構えた姿勢のまま動かずにいた。
「身体強化の術にも限度がある。……悪いけどコレ以上のはちょっと持ってないかな」
「あるにはありますが……到底アレに追いつける気がしません。私の認識速度外の速さで迫られるとか、対処のしようがありません」
「なら、力を貸してあげるわ」
「え?」
突如背後から聞こえた声に振り返ると、そこには若葉色の髪の幼いエルフが立っていた。
「貴女達にも、加速した世界を教えてあげる」
今後は水曜日更新……できたらいいなと思います。
ではまた次回




