表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先代勇者は隠居したい(仮題)  作者: タピオカ
孤島の大迷宮ノルドヨルド編
105/192

真祖の吸血姫

轟々と風が舞い、松明の火が大きく燃え上がる。

そう広くないこの空間に、むせかえるほど濃厚な魔力が溢れ狂う。


「キキキッ……そう身構えるでない、巫女の血統よ」


双銃の銃口を吸血鬼の姫に向けていたベルナデットに、吸血鬼の姫がクスリと笑う。

見た者全てを虜にする様な妖艶な笑みと共に、人を憎悪に駆り立てる魔族の魔力がさらに放出させる。


わらわは『魔界大元帥』と唄われたベルゼビュート大魔王の孫娘、『パイモン』!! キキキッ、二百の軍団を率い世界を蹂躙し尽くす者なり!! 巫女の子孫よ、(わらわ)の前で跪く事を赦すぞ!」


天に向けて指を指し、そう名乗った吸血姫は、俺たちを見上げ(・・・)ながらそう言い放った。


「……あー、もう一度名乗ってみて」

「む? キキッ、恐れるあまり聞き取れなかったみたいじゃのぉ? よかろう、今一度、わらわの名を教えてやろう!」


その、俺のへその辺りまでしか身長のないちっこい魔族は、ニンマリと笑って腰に手を当てて無い胸を張る。


「わらわは『魔界大元帥』と唄われたベルゼビュート大魔王の孫娘、『パイモン』!! キキキッ、総勢二百の軍団を率い世界を蹂躙し尽くす者! ……キキキッ! どうじゃどうじゃ? 怖いじゃろ? 怖いんじゃろ? まぁそれも仕方なきことよ! だってわらわ吸血鬼じゃし。真祖じゃし! キキキッ! 下賤なる神の子達、愚かなる人の子らにはちと刺激が強すぎたかのぉ? うーはーはーはーはーっ!!」


「なんでこう……俺の周りに集まるロリはぶっ飛んだ性格してんだ?」


婆ちゃん然り。

と言うか婆ちゃんとこの吸血鬼だけか?

シルヴィアの妹であるアリシアをロリに含めるならもう二、三人追加だな。


「ヤシロさん! 見た目が女の子だからって騙されないでください! 子供のような姿ですが、紛れもなく魔族です!」


鋭い視線でパイモンと名乗ったロリ吸血鬼を射抜くベルナデット。君は後で俺と個人面談だ。


「キキッ。そこの巫女の血統の言うとおりなのじゃが、今は邪魔になるのでその口、塞いで貰おうかのぉ」


そう言うと、パイモンは自分の口をチャックで塞ぐような動作をした。


「!? む~っ!!」


すると、ベルナデットの口が堅く閉ざされた。口を開けようももがいているので、自分の意志で閉めたわけではないだろう。

一瞬だが吸血鬼の金色の目が怪しく光った。間違いなくこのロリ吸血鬼の仕業だ。


「キキキッ。今も昔も、巫女の血統は話を聞かんからのぉ」


見た目相応の、子供のようにケタケタと笑ったパイモン。

その様子に、敵対する意志を感じなかった俺はベルナデットを手で制す。


「落ち着けベルナデット。どうやらり合いたいわけじゃあないみたいだ」


「魔族を信じるんですか!?」と視線で叫ぶベルナデット。


「話を聞くだけだ。いざとなりゃあ首を切り落として外に放り出すさ」


見た目女の子なのでめちゃくちゃ抵抗あるけど。


「ほぅ。……真祖の対処法を知っておるのか。珍しいのぉ。わらわの全盛期でも対処法を知らぬ者達がたくさんいたと言うのに。それに血統にしては中々座った肝のオノコじゃ。感心感心」


俺の言葉に感心したようにパイモンが俺を見る。

昔婆ちゃんに『猿でもわかる最強種の倒し方』って読み手を明らかにバカにしたタイトルの本を読まされたから知っていたんだ。

その時読んだ目的は竜の倒し方だったけど、当時異世界の情報に飢えていた俺はハードカバーのその本を読み尽くしていたのだ。

吸血鬼は二種類存在する。

吸血鬼に血を吸われ、その分だけ吸血鬼の血を流し込まれて変異した元人間。

そして後天的、先天的問わず、上記の方方法外で吸血鬼になった者を真祖と呼ぶ。


真祖の吸血鬼の不死性は凄まじく、吸血鬼に効くと思われるその殆どが効果が無い。日の光も聖銀の杭も、直接真祖を殺すことはできない。

特に月夜はどんな方法でも『決して殺せない』。

唯一殺す方法が、真昼に日の光を当てた状態で殺す事だ。

日の光で灰にならないものの、大きく弱体化し、不死性が人間程まで下がるのだ。しかしそもそもそんな状態は起こりにくい。

言うまでもなく、吸血鬼は夜行性だからだ。


「(血統?)……で、その真祖の吸血鬼がなんの用だ?」


敵意を感じないものの安心もできず、腰につけた四次元ポーチに手を突っ込み、いつでも抜刀できるよう身構える。


「キキキッ……なんの用? とは随時な言い草じゃわい」


鋭く尖った犬歯を見せながら笑うパイモン。だが、その目は全く笑っておらず、俺の脊髄に戦慄が突き刺さる。


「その黒い頭髪に黒曜石のような深い黒の瞳を持つ人間(・・)……間違いなく、巫女の血統。わらわをこの血に封印せしめた者の血縁者! わらわはお主ら巫女の血統に対し、先代への八つ当たりをさせて貰うつもりじゃ」


つつー、と、ゆっくり指を俺に向けたパイモン。

攻撃か? と身構えた瞬間に、俺は自分の失態に気づいた。


「しまっ……!?」


「キキキッ! 感の良いオノコじゃ。しかして遅い。お主は既に我が術中に嵌まっておったのよ!」


パイモンの指の先から視線が離せない。足も、腕さえも動かせられない。

魔族の中でも上位の存在だけが使うと言われる、催眠術だ。


(これは……不味いっ!)


何が不味いって、こんな上位の魔族とは思ってなかったのだ。

今、俺への生殺与奪権はこのロリ吸血鬼が握ってる!!


「キキキッ、安心せぇ。八つ当たりと言っても、何も八つ裂きにしたりなどはせぬ」


俺の頭をポンポンと撫でて笑うパイモン。

その身体が、徐々に大きくなって行く。


「巨大化!? ……い、いや……違うっ!」


大きくなって行くのはパイモンだけではなかった。

迷宮への入り口であるこの部屋も、大きくなっていたのだ。

まるで、俺以外の全てが大きくなって行くように!


「お、おおおっ、おれのからだがーっ!!」


服はダボダボになり、装備は地面に転がった。

ダボダボの服から露わとなった俺の身体は二周り以上小さく、パイモンとそう変わらない身長になっていたのだ!!


お待たせしました、最新話です。


女体化とショタ化で悩んで遅れてしまいました。真に申し訳ありません。


ではまた次回。お楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
めっちゃくちゃ今更なんだけど、作者『随時』の使い方間違ってるんよ…… 随分って書きたいのは伝わるから無視してたけど
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ