二つの神
世界が動き出した。
雷が落ちる。
炎が揺れる。
神々の力が空を満たす。
そして
母......時の神の剣が、ホープへ振り下ろされる。
ホープは受け止める。
ドン――!
衝撃が大地を砕く。
神々が空から見守る。
母と子の戦い。
ホープの目から涙が流れる。
「……やめて」
剣を押し返す。
「母さん」
時の神は微笑んでいる。
だがその剣は止まらない。
時間を裂く斬撃。
ホープが避ける。
闘神の力で踏み込み。
剣を振るう。
だが攻撃は当たらない。
時の神の力。
時間を歪める神。
その戦いは圧倒的だった。
それでもホープは諦めない。
「母さん!!」
叫ぶ。
「もうやめてくれ!!」
その声が響く。
一瞬。
ほんの一瞬。
時の神の動きが――
止まった。
ホープの目が見開かれる。
その瞬間
思い出す。
花園で抱きしめてくれた腕。
「私の子です」
あの声。
涙。
温もり。
ホープは剣を握る。
震える手。
踏み込む。
「……ごめん」
剣が走る。
ドン――
闘神の剣が。
時の神の胸を――
貫いた。
世界が静まる。
神々も。
空も。
大地も。
すべて。
止まったように感じた。
ホープの手が震える。
「……母さん」
涙が落ちる。
時の神は胸を貫かれながら
静かに微笑んでいた。
優しい笑み。
花園で見た母の笑顔。
そして小さく言った。
「……ありがとう」
ホープの目が揺れる。
時の神はホープの頬に触れる。
その手はとても温かかった。
「あなたは」
息を吐く。
「強い子」
その体が光り始める。
神の力が空へ溶けていく。
その光の中に――
もう一つの影が現れる。
ホープの目が見開かれる。
「……父さん」
そこにいたのは闘神。
闘神の魂。
闘神は静かにホープを見る。
そしてほんの少しだけ、
優しく笑った。
言葉はない。
だがその目が言っていた。
よくやった。
それから二つの光。
闘神と時の神、
二つの魂が寄り添い合い
空へ
ゆっくり
溶けるように
消えていった。
ホープはその場に立ったまま涙を流していた。
空は静かだった。
神々が降りてくる。
雷の神。
炎の神。
水の神。
風の神。
そして。
創造の神も。
胸を押さえながら、空に立つ。
神々はホープを見る。
長い沈黙。
やがて創造の神が言った。
「……闘神」
ホープの目が上がる。
創造の神は続ける。
「お前は」
「闘神の子」
ゆっくり言う。
「そして」
「新たな闘神」
神々が頷く。
雷の神が言う。
「認める」
炎の神が言う。
「この世界の均衡を」
水の神が言う。
「お前に委ねよう」
創造の神が最後に言う。
「我々神々は」
空を見る。
「調和、均衡、安定を約束する」
それは神々の誓いだった。
長い沈黙。
ホープは空を見る。
父と母が消えた空。
ゆっくり言った。
「……俺は」
大地を見る。
闘神が守った土地。
人間。
エルフ。
獣人。
様々な命が暮らす世界。
ホープは剣を握る。
闘神の剣。
そして静かに言った。
「この土地を」
空を見る。
「守る」
その言葉は新たな時代の始まりだった。
神々の戦争は――
終わった。




