神々の決断
神殿。
神々が集まる場所。
天空に浮かぶ巨大な円形の神殿。
石の柱が無数に立ち並び、空は赤黒い雲に覆われている。
その中央に――
神々が集まっていた。
炎の神。
雷の神。
水の神。
風の神。
そして数多くの古い神。
その空気は、いつもの会議とは違った。
重い。
殺気に近い空気だった。
中央に立つ神が言う。
「確認された」
低い声。
「闘神の領地」
「人間の騎士見習い」
神々の視線が集まる。
「名は――」
少し間を置く。
「ホープ」
その名前が落ちた瞬間。
神殿がざわめいた。
別の神が言う。
「間違いないのか」
監視の神が前に出る。
「この目で見た」
冷たい声。
「時間が止まった」
神々が息を呑む。
「時の神の力だ」
そして続ける。
「さらに」
「闘神の神力も確認」
神殿が一瞬、完全に静まった。
やがて怒号が上がる。
「ふざけるな!!」
雷の神が立ち上がる。
「闘神の血と」
「時の神の血だと!?」
炎の神が唸る。
「そんな存在」
「生かしておくわけにはいかん」
水の神が低く言う。
「闘神が隠していたのか」
監視の神が首を振る。
「恐らく違う」
「少年自身も理解していない」
だが別の神が言う。
「問題はそこではない」
静かな声。
「問題は」
その神の目が光る。
「その存在だ」
神々は理解していた。
闘神の力。
神の中でも最強の戦神。
そして、
時の神。
時間を操る神。
その二つが混ざれば――
神の支配すら超える。
風の神が言う。
「未来が見えない」
その言葉に、神々の顔が変わる。
時の神がいた頃。
未来は見えていた。
だが今は違う。
その力は。
あの少年にある。
神が低く言う。
「成長すれば」
「神々すら滅ぼす」
沈黙。
やがて、
一人の古い神が立ち上がる。
声は重かった。
「結論は一つだ」
神々がその言葉を待つ。
そして神は言った。
「今すぐ殺せ」
神殿が震える。
「少年が力を理解する前に」
「成長する前に」
「殺す」
雷の神が頷く。
「賛成だ」
炎の神も言う。
「放置すれば」
「第二の闘神になる」
水の神が低く言う。
「いや」
「それ以上だ」
神々は決めた。
神殿の中央で。
古い神が宣言する。
「神々の総意として決定する」
重い声。
「ホープを処刑する」
「即時」
「神々の刺客を送る」
神殿の空気が震える。
だがそのとき、
一人の神が小さく言った。
「……闘神はどうする」
神殿が静かになる。
誰もが分かっている。
その少年は
闘神の子。
そのとき雷の神が笑った。
「簡単だ」
冷たい声。
「もし闘神が邪魔をするなら」
空気が重くなる。
雷の神は言った。
「闘神ごと殺す」
神々の会議は。
そこで、
戦争を決めた。




