007.日常のお仕事(4)
それから死角を利用して筆談で情報を聞き出したのち、おいとまする事にした。
この家を出てから尾行がつくかもしれない。 犯人は我々が何者かを突き止めるはずだ、それを阻止したら、誘拐がバレたと思われてしまうので尾行をまいてはいけない。
次の日、出勤すると、隠しカメラや盗聴器がいっぱい付けられていた・・・怖い。
怪しまれずに撤去するために、エマに頼んで言ってもらう
「さあ、今日は大掃除をする日だよ、全員で掃除だ、天井裏から床下隅々までぴっかぴかにするよ」
大掃除を開始した、当然隠しカメラや盗聴器は回収した。
「みゃーちゃん、これどっから見つけたの? こんなに沢山隠しカメラや盗聴器買ってあったっけ、
ままあいいや、倉庫に保管しておこっと」
ちょっと棒読みっぽい
電磁シールド付きの金庫室に収納した。
次の日は仕掛けられて居なかったが、忍び込んだ何人かが罠にひっかかっていた。
主の造った牢獄ダンジョンに落ちただけだから放置する。
弱りきったところて疑われないように普通に不法侵入者として警察に突き出した。
まあ探偵社だから色々あるのだろうと言う感じで。
その様子を遠巻きに監視していた人物が居たので、怪しまれないように引き渡し後も普通に振る舞った。
監視していた人物が撤退したのを見計らって、今度はこちらのターンだ。
その監視していた人物の尾行を開始した。 近所の猫たちをかき集めて色々な所に配置して移動を捉えていく。 尾行させるのは素人ネコなので心配だから、決められた位置に配置したところで、こっち、こっちと見てもらうだけだ。 ネコネットワークだ。
主からもらったマジックバッグからキャットフードをお礼に渡していく・・・ありがとにゃ
そうして、尾行者の尾行を終えてアジトを見つけ出した。
隠密スキルを発動してアジトに一匹乗り込む。
肉球忍び足は誰も気が付かない、隠形で姿は見えないようにしている。
話し声を聞き、お嬢様の居場所を探る。
「ほらっ、食事だ、食べろよ死なれちゃ困る」
とある部屋の前で男が怒鳴る。
食器を差し入れる隙にするっと中へ入る。
男は去っていく、
「あらネコちゃん、いつの間に」
私は人の言葉が話せないので、マエに書いてもらったメモを取り出して、お嬢様に渡す。
「えっ?」
『このネコに状況を説明してください、 byにゃんた』
「にゃんたってあの迷いネコちゃん・・・の友達?・・・ってこのメモは?」
理解は出来ないだろうが
「ああ、猫語のわかる人に書いてもらったのね」
なぜ理解している・・・のか理解できない。
猫山氏と同じで前世がネコ?
もう一枚メモを渡した
『ドアを開かないように固定して、私が守る、私の影に隠れて』
出来ないかな、私は小さいから影も小さい。
そこで猫用スマホを取り出し、GPS座標を送る。 念話は必要ない。あいつは念話使えないし。
あとはスメちゃんがやってくれるはずだ、私は部屋に踏み込まれたときにお嬢様を守れば良いだけだ。
まもなくして救助隊がやってきた、騒がしくなってきた。
もちろん警察では無い・・・黒メガネ集団だ。
あっという間に制圧した様だが、一人だけ扉を打ち破り部屋に入ってきた。
「こっちへ来い・・」
ばちっーーン
バリアを張っていたので、弾き飛ばされた様だ。 哀れにも部屋の外へ飛ばされ落下した所を黒メガネ集団に抑え込まれた。圧死しそうなぐらいに。 むぎゅう、という声が聞こえた。
私はお嬢様に抱かれて悠々と扉を抜け、外に出た。 役得だ。
「皆様、ありがとう」
一件落着の様だ、私はにゃんたの依頼を無事解決する事が出来た。 ミッションクリア
そして無事猫山氏から依頼料を受け取った。
誘拐事件は思惑外であったが、にゃんたは嬉しがってそれからもお嬢様の所に出入りしている。 どうやら今回の事件をきっかけに正式に飼い猫となった様だ。
事件自体は政敵の雇った暴力団の仕業らしいが、そんな事はどうでもいい。 にゃんたが幸せになったんだから。
ただ、スメちゃんの株が少し上がった様だ。 よかったね。