005.日常のお仕事(2)
みゃー探偵社の仕事は、もちろん今回のようなやばい仕事ばかりではない。
そんなのやっていられない。
日常的な仕事をそつなくこなしてている。
しかしたまに厄介な仕事も来る。
『迷い爬虫類の捜索』だ、私もノラも逃げられてしまう。 マエはきゃーと言って逃げてしまうし。
そんな時役に立つのがスメちゃんだ。
スメちゃんには、特技がある。 爬虫類を手づかみで捕えられるのだ、私やノラは肉球なので出来ない。
雇って良かったと思う。 仕事の幅が広げられた。
彼も楽しそうにやってくれている。
そんなある日、めずらしい依頼が来た。
『迷い人探し』だ、普通はこういう依頼は別の探偵社を紹介してあげている。
出来ないことは無いが専門外であるし、他の探偵社の仕事を奪ってはいけない。
ところが今回は事情が違った、いつもこの手の仕事を回してあげている探偵社から紹介されたらしい。
どうやらネコが絡んでいるらしい。
話を聞いてみると、どうやら本来の依頼者はネコ(にゃんた)らしい。
そして代理人が依頼者の猫山猫太という人だ。
事情はよくわからないが、にゃんたの飼い主が行方不明になっていて探してほしいという事だ。
猫山氏は、少しだけネコ語がわかるらしく、にゃんたとはたまに話をするが飼い主は見たことが無いらしい。
前世がネコと言い張っている可愛そうなおじさんだ。
にゃんたから直接話しを聞けるのは良いが、飼い主の特徴がどうもわかりにくい。 依頼料は猫山氏からもらえるから良いけど。
まず、ノラににゃんたの匂いから猫山氏の匂いを差し引いた飼い主らしき人物の匂いを覚えてもらい、 にゃんたの行動範囲から探してそこから追跡することにした。
・・・
飼い主の家はここだな。 にゃんたも、ここ、ここって言っている。
ちょっとした屋敷である。 いや、かなりでかい屋敷である。 自分が小さすぎてサイズ感が分からない。
本当に飼われていたのかな・・にゃんたのみすぼらしい姿からこの屋敷の住人が想像できなかった。
表札には『皇』・・・ってスメちゃんの家か?
今日は非番なので来ていない。
さっそく呼び出してみる。
ぷるるるるる ぷるるるるる
「スメちゃん、現在位置を送るから来て」
GPS情報を送った。
「おまたせ」
スメちゃんは何処からかやって来た。 ここじゃないのか?
「あっ、ここは皇家の本家ね」
なるほど。
話を聞くと最近直接的な付き合いは無いので内情はよくわからないそうだが、
面識はあるので別に訪問するのは構わないらしい。
お邪魔してみよう。