040.神社(7)
秘密の研究所を見つけたという収穫はあったが、何も解決していない。
ここには、最近何か変わったことが起きた形跡がなかったからだ。
そこで考えた、研究施設は一箇所に1つか?
別にそんな決まりは無い、関連施設だってあるだろう。
そうすると怪しいのは、陰陽師の支部あたりか?
「ドウさん、陰陽師の支部って近いの?」
「1キロも離れて無い」
「監査に入るわ」
「まさか、支部に何かあるのか?」
「わからないけど、ここでないとすると調べる必要がある。
まあ、他の生物でなければね」
・・・・
陰陽師道場の支部にやって来た。
「最近変わったことか?」
「昨日来て泊まっただけだから何も聞いていない」
改めて支部長から聞き出すと、 一月ほど前に敷地内で陥没事故があったそうだ。
穴は深く、危険なので現在蓋をしているらしい。
「それだっ」
もし、実験体の封印が解かれてキメラが復活して逃げ出したとしたら、蓋がしてあるのでもうここには居ないはずだ。
確認に行こう。
「いや待て、ヒメちゃん、早く解決してしまわないか?」
「見るだけ見ないと」
「いや、分かってくれているなら良いんだ」
そんなに嫌か? 若手の教育って、年齢が近いだけに負担なのか?
まあ良い、とりあえず陥没穴の調査はする事にした。
支部長一ヶ月も放置か? この支部は資金集めのための支部で実力者など居ないという事だ。
良いのだろうか、支部長って? どうやら肩書を売ったらしい、どうやら支部では肩書を金で買えるらしい。 実力を持つ者は本部に集められているのだとか。
陥没事故も単なる事故として報告されていただけだったのだ。
流石にその対応は問題という事で、支部長降格・・・にはならず、資金提供で解決したらしい。
世知辛いね。
さて、私達は陥没穴の調査をする。
私とヒメちゃんとヤタは、スーツで飛べるのでそのままゆっくりと降りれば良いが、
ドウさんは街に出かけ、登山用品店に行ってロープ購入してからだ。
ドウさんが街から戻るまで支部で待つ事にした。
私達はお菓子を出してもらったので、お茶を飲みながら世間話をしていた。
結局ドウさんが戻ってきたのは夕方、調査は翌日へと持ち越された。
近くの街には登山用品店が無く、遠くの街まで行っていたらしい。 ・・ホントかな?
他にも色々買い込んでいた、お菓子とか、懐中電灯とか・・
ちょっと降りて見てくるだけなのに。
ひょっとして式神に提灯とか無いのかな? 聞いてみたら短時間なら使えるみたいだ。 みんな懐中電灯の方が便利なのでそちらを使っているという事だ。
私達みゃー探偵社は幸い他に仕事が入っていない様なのでのんびりと過ごしている。
道場の人達にヒメちゃんは大人気だった。 道場に勧誘されたけど・・私達お金は無い。
そもそもしょぼい術が使えたからと言って、全く嬉しくは無い。
この支部ではせいぜい紙人形を動かすぐらいか・・ふうって息で動かしたほうが早いな。
主の最近の研究により式神に使う図形がたまたま魔力回路のそれに似ていて、“気”の力で魔法を発動出来るのだそうだ。 実に非効率的だとか。
私には主からもらった魔道具があるので全く興味が持てない、もちろんヒメちゃんも同様だ。
私達の使っている懐中電灯も実は魔道具だ。 地下研究施設のときにはドウさんをからかいたいために、電池の節約などと言って消したけど。
事務所の電気製品などは全て魔道具なので、電気代がかからない。赤字の主な原因はマエちゃんの給料だ。
それがなければ、私とノラの餌代だけだ。
ヒメちゃんは基本只働きだ、必要なものは主から支給されるし、ヒメちゃん自身も大金持ちである。
もしお金が必要なら主がくれる・・多分小判で・・。
それにホムンクルスの体をもらった事を考えると返しきれない貸しがあるからだ。
それよりも主から貰える飛行艇が気になる。 どんな物だろう。
明日は陥没穴の調査だ・・・寝よう。




