037.神社(4) 祠(1)
宮司さんによると、神社の遷宮は通常近くで行われるらしいが、
戦後一度大きく離れた場所からこの近辺に行われたらしい。
その以前あった本宮の場所には祠が建っているという。
当時の記録としては場所と時期のみが記されていて、その理由はよくわからないらしい。
「あっ、そこ道場の近くだ」
陰陽師の道場の近くらしい。 そもそも陰陽師の道場という物は無い。 勝手に名乗っているなんちゃって陰陽師団体がいるだけ、だと思っていた。
陰陽師が無くなってからも、陰ながら組織を維持し続けているらしい。隠れ陰陽師が実態だ。
陰陽師ブームで洒落で集まる者達から資金を得て細々と伝えられている。ドウさんはこれでもエリートらしい。
旧陸軍の生物兵器開発にも関わっていたことは既に知っているが、そのほかにも色々な組織が絡んでいたらしい。 陸軍、陰陽師、神社、医学会、工業会 などだ。
世代を経て忘れ去られているが、特にこの中で陰陽師が責任を取って影の組織へと落ちることで、他の組織が存続していったと言える。
陰陽師が生物兵器の封印を担当したのは言うまでもない。
そして本来その封印物の管理をしているのが陰陽師のはずだ。
時が経つにつれてそれも忘れ去られていってしまったのか?
何処かで申し送りが途絶えてしまったらしい。
ドウさんは、古い文献を読み漁り、その事実を知り呪術・封印術の勉強を初めたのだそうだ。
そんな歴史はどうでも良い、が、ドウさんによって淡々と語られていった。
まあ色々と使命感を持って仕事をしているんだね。 よかったね。
私の仕事はカー子の友達(巫女のミーコちゃん達)が安心して暮らせる様にする事だ。
ドウさんの仕事に対するプライドなんてどうでも良い。
魔物が居るなら排除する。(担当は私じゃないけど)
みゃー探偵社の仕事はそれで完了である。
ここでドウさんのこだわりを聞いていてもしょうがない、
とりあえず件の祠に行ってみることにした。
祠と行っても小さな御堂ぐらいはあり、数人が入れる大きさだ。
祠といえば封印、封印と言えばドウさんの専門だ、 よしっ、任せよう。
私は安全なヒメちゃんの背負うリュックシェルターの中で観察する事にする。
そう、安全第一である。




